訪問着の着付け方は難しい?訪問着を自分で着付ける方法について詳しく解説! 

着物の中でも比較的着る機会が多い訪問着ですが、着る際には必ず着付け師に着付けを頼むことを億劫だと感じている方も多いのではないでしょうか。
自分で着ることができたら一番良いけれど、着付けは難しそうと感じている方のために、今回は訪問着の着付け方について詳しく解説していきます。いきなり完璧に着付けるというのは難しいですが、空いている時間に練習しながら、少しずつ訪問着の着付けに慣れていけると良いでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. 訪問着はいつ着る着物?
  2. 訪問着の格
  3. 訪問着を着るシーン
  4. 季節ごとの訪問着
  5. 着物初心者が訪問着を自分で着付けるのは難しい?
  6. 繰り返し練習が大事
  7. YouTube動画を参考に練習する
  8. 自分で着られない時にはプロを頼る
  9. 訪問着を自分で着付ける!
  10. 訪問着を装う際に必要な小物と着付け道具一覧
  11. 着物(訪問着)を着付ける
  12. 帯を着付ける
  13. プロに頼む訪問着の着付け
  14. 着付け師による着付け
  15. 訪問着着付けの相場
  16. 着やすい訪問着と着にくい訪問着
  17. 着やすい訪問着
  18. 着にくい訪問着
  19. 訪問着に合わせるヘアスタイル
  20. 簡単!アレンジシニヨン
  21. 基本の夜会巻き
  22. 便利グッズも活用する
  23. 訪問着に合わせるメイク
  24. 全体の仕上がりイメージ
  25. ファンデーション
  26. アイブロウ
  27. アイメイク
  28. チーク
  29. リップ
  30. 訪問着のコーディネートについて
  31. 訪問着の保管方法
  32. 訪問着のアフターケア
  33. 保管方法
  34. まとめ

訪問着はいつ着る着物?

訪問着の着方について見ていく前に、訪問着とはどういう着物なのか、どういったシーンで着られる着物なのかということを今一度ここで確認しておきましょう。

訪問着の格

訪問着は、胸から衿、裾、袖に絵羽模様が広がるとても華やかな着物で、留袖に次いで格が高い着物として扱われます。セミフォーマルという位置付けで装われることが多く、社交着として活躍してくれる着物なのです。

ちなみに、訪問着にはセミフォーマルの装いに相応しい袋帯を合わせて装います。

訪問着を着るシーン

訪問着は、結婚式、披露宴、パーティー、茶会や茶事、お見合い、結納といったシーンはもちろん、入園式・卒園式の母親の装い、入学式・卒業式の母親の装い、お宮参りの母親の装い、七五三の母親の装いとしても活躍してくれる着物です。

格の高い料亭やホテルでの会食などでも訪問着を装うという方もいるように、ワンランク上のワンピースドレス相当の和服は訪問着や付け下げなのだということは覚えておくと良いでしょう。

季節ごとの訪問着

訪問着と一言で言っても、季節に応じて素材を着分ける必要があります。ウールのスカートを夏に履かないのと同じで、着物も夏物と冬物では違いがあります。

着物の場合、10月頃から5月頃までは袷と呼ばれる種類の着物を、6月前後と9月前後は単衣と呼ばれる裏地のない着物を、夏には薄物と呼ばれる透け感のある涼しげな絽や紗の着物を着分けます。訪問着も袷、単衣、薄物を季節によって着分け、季節感を楽しみます。

袷の訪問着だけしか持っていないと、いざ夏の結婚式に着物を着ようと思っても、暑さの面から現実的ではありません。もちろん、空調の整ったホテルなどでは袷の着物を着て参列することもありますが、ガーデンパーティー風の屋外結婚式に袷の着物を着るのはなかなか難しいものがあると言えます。

着物を着る機会を増やしたいと考えている方は、ぜひ夏用の訪問着も誂えてみてはいかがでしょうか。もしくは、お手軽に利用できる着物の宅配レンタルを活用してみるのもおすすめです。レンタルであれば、気分に応じてさまざまな柄、色の着物を着ることができるので、「着物1枚に帯3本」のコーディネーションでは飽きてしまうという方にも着物の宅配レンタルはおすすめです。

着物初心者が訪問着を自分で着付けるのは難しい?

着物初心者にとって訪問着を自分で着付けるというのは難しいのでしょうか。小紋とは異なり、合わせる帯が袋帯となり、ただのお太鼓ではなく二重太鼓で結ばなくてはいけないというのは少々ハードルが高いと感じる点かもしれません。しかし、練習を積めば誰でも着付けられるようになるので、ぜひチャレンジしてみてください。

繰り返し練習が大事

着付け教室に通ったことがある方はご存知かもしれませんが、着付けは繰り返し練習することで身に付きます。普段、洋服を選ぶ代わりに着物を選び、毎日着物を装っているとより上達が早くなるのです。

初めて着付けにチャレンジする場合、1度や2度の練習で着付けを完全に会得することはできません。もし、訪問着を着る日が決まっているのであれば、その日に合わせて練習予定を組み、日々着付け練習に励むのがおすすめです。繰り返しやった分だけ上手になるので、ぜひ投げ出さずに練習をコツコツ積み重ねてみて下さいね。

YouTube動画を参考に練習する

訪問着の着方を着付け教室に通わずに学ぶのであれば、YouTube動画がおすすめです。最近のYouTubeの着物動画にはさまざまな方の着付け方法がアップロードされています。概ね同じことを言っているのですが、細かいところで多少やり方が異なることもあるので、着物系YouTuberの着付け動画を見比べて、もっとも自分にとって分かりやすいものを選び、それに沿って着付けの自主練習をしてみるのが良いでしょう。

着物のことがまったく分からないという着物初心者の方は、オンライン講座を受講してみるのもおすすめです。着付け教室に出向かずとも自宅で自分のスケジュールに合わせて授業が受けられるというのは大変魅力的ですね。自分の生活スタイル、スケジュールとよく相談しながら無理のない方法で着付けを学び、訪問着の着付け方をマスターしましょう。

自分で着られない時にはプロを頼る

繰り返し練習をしていてもなかなか習得までには程遠いということもあるでしょう。技術の習得には人それぞれのペースがあるので、無理をしないで練習を続けてみましょう。1年後にはきちんと訪問着を着られるようになっていることでしょう。そうは言っても、「この日に着なくてはいけない」という日がありますよね。

もし、練習を重ねていても「訪問着を着る予定の日」までにきちんと着られるようになっていなかった時には、無理をせずプロの着付け師に着付けを依頼するというのも一つの選択肢として頭の片隅に置いておくと良いのではないでしょうか。「自分で着たいけれどうまく着られなかったらどうしよう」と焦ったり、不安に思ったりすると着付けはなかなかうまくいきません。「いざという時にはプロがいる」という選択肢を残しておけば安心感にも繋がるので、意外と上手に着付けることができたりするのです。

訪問着を自分で着付ける!

では、本題でもある「自分で訪問着を着付ける方法」について解説していきます。

訪問着を装う際に必要な小物と着付け道具一覧

・和装ブラジャー、肌襦袢、裾除け(肌襦袢と裾除けが一体化しているものでも可)

・半衿(塩瀬の白色のもの)が付いた長襦袢(淡い色目のものが多い)

・衿芯

・着物(訪問着)

・伊達衿(必須ではないので、訪問着を着るシーンに合わせて用意するのがおすすめ)

・帯(袋帯)

・腰紐(ユナベルトや腰紐ゴムベルトでも可)

・胸紐(4本ぐらい)

・伊達締め(2本。シャーリングタイプのものは自分でも締めやすいのでおすすめ)

・コーリンベルト(無くても大丈夫だが、衿の着崩れ防止におすすめ)

・帯枕(長さ20cm程度でガーゼ紐が付いているものが望ましい)

・帯揚げ(絞りやぼかし、綸子のものなど)

・帯板(ゴム付きが使いやすい)

・帯締め

・足袋(木綿の白色。こはぜは好みで4枚でも5枚でも)

・クリップ2,3個(着付け用のクリップ。必須ではないが、あると便利)

・バッグ

・草履

・ヘアアクセサリー

着物(訪問着)を着付ける

①    下着を和装用のものに替え、肌着や裾除けを着ける。


②    肌着や裾除けの上に長襦袢を羽織る。衿先を合わせたら左手で双方の衿先を持ち、右手で背縫いを持ち、一度下に落としてから衣紋の抜き加減を調整する。


③    衣紋が決まったら前で衿合わせをする。それぞれの手で衿先を持ち、右手が下、左手が上になるように衿合わせをして、衿の位置が決まったらアンダーバストのところに胸紐を掛けて締める。その上に伊達締めを締める。


④    長襦袢の上に訪問着を羽織る。この時、長襦袢の衣紋が崩れないように、身体に沿わせるように着物を羽織るようにすると美しく着られる。
片方の手で両衿を持ち、もう片方の手で背縫いを持つ。背縫いを持っている手を優しく下に引っ張ってから手を離し、長襦袢の衣紋に着物の衿が5mm被るようにし、耳の後ろで着物と長襦袢衿が付け合わさるように調整する。(長襦袢と着物の衿がズレないようにするために、衣紋の中心を着物クリップで留めておくと安心。)


⑤    両手で着物の衿先を持ち、手を外側から内側に捻るようにして着物を少し巻き込みながら、着物の裾全体が15cmほど上がるように着物を持ち上げる。そして、裾が床と平行になっていることを確認しながらゆっくり裾を下ろしていく。
裾の位置は、訪問着を装う場所やシーンによるところが大きいが、床すれすれの位置を目安にすることが多い。この時、歩いた際にかかとで後ろの裾を踏まないか確認し、踏むようであればもう少し丈を短く調整する。(雨の日などは泥跳ねなどがあるので、多少短めに着付けると良い。)


⑥    着物の丈が決まったら、その位置をキープしたまま上前の位置を調整します。着物の左脇線がきちんと左の脇に来ていることを確認して、一度上前を前で合わせ位置の確認をする。この時、右の腰に上前が被り過ぎているようであれば、上前の位置が巻き込み過ぎということになるので、調整が必要になる。

逆に上前の右端が右腰骨に掛かっていないと肌けてしまうことがあるので、きちんと上前が右腰骨に掛かって(右の腰骨に上前の衿先が掛かって)バランスの良い位置にあることを確認する。


⑦    位置確認ができた上前は一度開き、下前を入れ込む。この時、下前の衿先は左脇の中に差し込むように入れておくと良い。そして、褄先を20cmほど上げる。下前に余分がある場合は、自然に折り返しておく。


⑧    再度上前を合わせて、褄先は5cmほど上げる。上前の位置が決まったら、腰紐ないしはユナベルト(腰紐ベルト)の中心を衽線に当て、そのまま腰骨の上を取って後ろに持っていき、少し高い位置で交差をして、横に一締めする。緩まないように紐を前に持ってきて留める。(もし着物の総丈が短めならば、通常の腰紐の位置よりも低い位置で腰紐を結び、おはしょりをできるだけ出せるように調整する。)


⑨    身八つ口から手を入れて前のおはしょりと後ろのおはしょりを整える。両手の指先を立ててトントンと整えると美しくなる。上前を一度左に開き、下前の褄先がきちんと上がっているかの確認を行う。
もし上がっていないようであれば身八つ口から右手を入れ、下前を上に優しく引っ張る。勢いよく引っ張ってしまうと後ろの背中心がズレてしまうことがあるので気を付ける。


⑩    左右の掛け衿を合わせる。半衿は2cmほど、伊達衿は5mmほど見えるようにした前の衿を整える。そして、おはしょりがぐちゃぐちゃにならないよう、余分を三角形に折り上げておはしょりに響かないようにする。左の身八つ口から左手を入れ、三角形に折り上げたおはしょりを押さえる。
ここでコーリンベルトを下前の衿先あたりに留める。
右手で上前の半衿と伊達衿を同様に整えて衿合わせをする。

衿の位置が決まったら、コーリンベルトの逆側で上前の衿先あたりで留める。この時コーリンベルトの左右の高さが同じになっていることを確認する。ちなみに、コーリンベルトは長さ調整がきく方を上前側にして使用する。これは、下前の衿をコーリンベルトで押さえてからでもコーリンベルトの長さ調整が出来るようにするため。
コーリンベルトで留めた後、三角形に折り上げたおはしょりが落ちていないかの確認をし、コーリンベルトで挟むように押さえておく。


⑪    アンダーバストの位置で胸紐を結ぶ。胸紐まわり(前後)のシワやたるみを左右に寄せ、おはしょりのもたつきを無くすように整え、余分は上に上げて伊達締めで留める。

帯を着付ける

訪問着に合わせる帯は袋帯になります。帯枕にはあらかじめ帯揚げを掛け、ズレ防止のため輪ゴムで留めておくととても着付けがスムーズにできます。

①    ゴム付きの帯板を装着する。二つ折りにした袋帯のて先を左肩に後ろから預ける。この時、輪は外側に向くようにする。て先の先端はおはしょりの右端にくるのを目安に長さ調整する。


②    帯を胴に一巻して締め、柄終いが左脇に来ていることを確認し、必要に応じて調整する。二巻して左右に締める。この時、左手にて先、右手にたれを持ってしっかり締める。やや斜め上方向に引き上げながら締めるとよく締まる。


③    右手で引き続きたれを引っ張りながら持ち、左手のて先は後ろに落とす。て先を帯の下線で折り上げ、て先の先端を前に持ってきて、帯の上線のところに着物クリップで留めておく。


④    右手で持っているたれの表を出す。この時も帯が緩まないように前に引っ張る力を抜かないようにすると良い。たれ先を自分の顔の方に寄せるイメージで帯を引き上げる。この時、帯は邪魔にならないように右肩に乗せるようにする。

たれ先の先端が自分のウエストラインにきたら、先端から手幅二つ分を測った位置に帯枕を帯の上に乗せる。帯と帯枕の位置がズレないように左手で両方を挟み持ち、肩に預けてあった帯の残りを下ろして帯枕を覆うようにする。この時、たれ先よりも二重になっている帯の方が長いことを確認する。(二重になっている帯の方がたれ先よりも短いと二重太鼓ができない)右手で帯枕のトップが当たっている位置を綺麗に整える。帯を左右にしごくイメージで枕裏も綺麗に整えておくとお太鼓が綺麗に作れる。


⑤    右手で帯枕の中心を帯ごと掴み、背中の方に移動させる。帯枕の左側を左手で、右側を右手で持ち替え、少し背中を反らせてから、帯の上線に帯枕全体が乗るように乗せ、帯枕のガーゼと紐を前に持ってきてしっかり締める。帯枕ガーゼの結び目は帯板の中へと落としておく。帯枕のガーゼや紐が緩んでしまうと帯が崩れる原因になるので、ややきつめに締めておくと安心。帯揚げは前に持ってきて仮止めしておく。


⑥    帯枕の下のぐちゃぐちゃを整える。前から帯の下線をたどり、左脇へと帯のたるみや余分を持っていく、余分やたるみは帯枕の下のぐちゃぐちゃ部分まで引っ張り、ぐちゃぐちゃの部分を広げてきちんと三角形に整えながら、上に折り上げる。これは帯枕土台にもなってくれるので、きちんと整えたいところ。(ただし、後ろでの作業になるため、見ることができず分かりにくいですが、最初は感覚的にトライしてみても問題ないです。)


⑦    たれ先の長さを人差し指一本分ぐらいに測り、仮紐をその位置に一度置く。仮紐を離してそのまま二重になっている帯に下から当て、仮紐が当たっている位置で二重になっている帯を折り上げ、そのままたれ先帯の上に当てる。紐はそのまま前に持っていき、仮止めする。


⑧    帯前に留めておいたて先を外し、先ほどの仮紐が通っている位置に左から右へて先を通す。て先の端は4cmぐらい出し、余分は左側で調整して中へ中へと折り込む。て先の上を通るように帯揚げを掛ける。帯揚げはて先の真ん中を通るようにして、前でしっかり留める。

帯揚げの締め方は、着物の打ち合わせと同じように紐を交差させ、一度結んで締める。締めたら、紐を立て、結び目を右手の中指で押さえる。上になっている紐で輪を作り、下になっている紐を左側から通し、左右に引っ張って締める。紐の端は上から下へ紐に絡げておく。仮紐を取る。

⑨    帯揚げを整える。帯揚げは、左右の長さを揃え、耳を内側にして三つ折りか四つ折りできれいに畳む。中心で着物の打ち合わせと同じように交差させ、一結びし、結び目を立てる。強く締め過ぎると結び目が目立ってしまうので、引き締め過ぎないように気を付ける。


⑩    上になっている帯揚げを綺麗に整え、端を少し折り上げて、先端は左に流す。下になっている帯揚げを、上の帯揚げで作られた輪に通して軽く左右に引く。左右の帯揚げの端を帯と着物の間に入れて整える。


⑪    帯の中心の結び目は帯の中に押し込む。さらに、両手の親指で結び目をしごくようにして整える。

プロに頼む訪問着の着付け

今日はきっちり訪問着を着たい、腕の調子が悪くて自分で訪問着を着られそうにないといった時は、無理せずプロの手を借りましょう。

着付け師による着付け

結婚式や式典など厳かな場所に訪問着を着て行く際には、やはり着付けもビシッと決めていきたいものです。自分で着付けることができるという方は、自分で着付けていくのがおすすめです。しかし、自分の着付けに自信がないという方や当日当番などを担っていて着付けている暇がないという方、ヘアセットは自分でできないので着付けも含めてプロに頼みたいという方、さまざまな方がいらっしゃることでしょう。

ちなみに、プロの着付け師に訪問着着付けをお願いした場合、20分前後で仕上げてもらうことができます。着崩れの心配もなく、綺麗に仕上げてもらえるので、短い時間で完璧に装いたい時には、着付け師を頼るというのも良いのではないでしょうか。

訪問着着付けの相場

プロの着付け師に訪問着の着付けをお願いするとどれぐらいかかるのか気になる方も多いでしょう。訪問着の着付け(二重太鼓結び)の相場は4000円から10000円で、6000円前後となることが多いです。

着付け代は着付けてもらう場所によっても前後することが多く、ホテルでの着付けは10000円前後、美容院での着付けは6000円前後、出張着付け(自宅での着付け)は5000円前後が相場となっています。ただし、これはあくまでも着付けだけの料金相場なので、出張代、ヘアセット代、早朝料金代などは別途加算される場合が多いということは念頭に置いておくと良いでしょう。

着やすい訪問着と着にくい訪問着

訪問着の中にも着やすい質感のもの、着にくい質感のものはあります。特に着物初心者の方は、着にくいタイプの訪問着ではなく、着やすい訪問着を何度も着て練習するようにすると良いでしょう。ここでは、一般的に着にくいとされる訪問着、着やすいと考えられている訪問着について解説しています。

着やすい訪問着

着やすい訪問着は、やはり自分のサイズに合った訪問着です。自分の寸法に合っていない訪問着はおはしょりの調整、丈の調整などが難しく、とくに着物初心者の方にはおすすめしません。

また、素材でいうと紬の訪問着は大変着やすいです。普段着やカジュアル着として知られる紬の素材をそのまま用い、そこに絵羽模様が広がる紬の訪問着は、その独特の風合いと着やすさから人気がある着物です。紬はよく知られている縮緬素材の訪問着とは異なり、シャリ感がある素材の生地で、滑りにくいという特徴があります。

正絹の中でも縮緬などは非常に滑らかな生地質をしているため、着付けている時にも生地が滑ってしまうということが時折ありますが、紬の場合はそこまで生地質が滑らかではないため、滑りにくいのです。その点を活かし、訪問着の最初の練習には紬の訪問着を選んでみるというのもおすすめです。慣れてきたら違う生地質の訪問着でも練習してみてくださいね。

着にくい訪問着

着にくい訪問着は、自分のサイズに合っていないものです。洋服の様に形が決まっているわけではない着物は、着付け次第で多少のサイズの違いがあっても着られる場合があります。しかし、その調整をするのは意外と難しいのです。とくに、着物初心者の方はまだ着物を着ること自体に慣れていないので、着付けながらさらにサイズ調整までしなくてはいけないというのは無理があるでしょう。できるだけ、自分の寸法に合った着物を着るようにしましょう。

また、素材の違いで着にくい訪問着というと、綸子の訪問着が挙げられます。綸子はとても滑らかな肌触りを特徴とし、絹独特の光沢が大変美しい着物ですが、滑らか過ぎる生地質ゆえ、とても着付けがしにくい着物であるのです。

着物上級者でも「綸子の着物はちょっと」と避けられる方もいるぐらい着付けの難易度が高い着物なので、着物初心者の方は綸子の着物に最初から挑戦するのはやめておいた方が賢明でしょう。着物を着ることに慣れた暁にはぜひ綸子の訪問着の着付けにも挑戦してみてくださいね。

訪問着に合わせるヘアスタイル

着物を自分で着付けるのであれば、ヘアセットも自分でできた方が何かと便利でしょう。ここでは簡単にできる訪問着用のアップスタイルヘアアレンジについて解説しています。

簡単!アレンジシニヨン

もっともシンプルなシニヨンとしてお団子スタイルにするというのも良いでしょう。しかし、ややカジュアルな、お稽古ヘアスタイルという印象を持たれてしまう可能性があり、格の高い訪問着のヘアスタイルには少々そぐわないところがあるとも考えられます。

では、どのように訪問着用のヘアスタイルにすれば良いのかということになりますが、工夫次第で簡単にアレンジシニヨンを作ることができるのです。ここでは、一例をご紹介していますが、YouTube動画には「セルフでできる簡単な和髪」といったものが沢山アップロードされているので、暇な時などに覗いてみると参考になるかもしれません。

【用意するもの】

・ヘアジェルやヘアオイル

・プラスチックゴム

・コームやブラシ

・簪や和バレッタ

・アメピンやボブピンやUピン

・固定用のヘアすプレー(必要に応じて)

①    髪全体にヘアジェルやヘアオイルを馴染ませる。後ろのやや高い位置で一つ結びにする。

②    一つ結びの根元から三つ編みにして先端をプラスチックゴムで留める。

③    ②で留めたゴム部分を内側に折り上げ、ピンで固定する。

④    最後に最初に髪を固定したゴム部分(一つ結びにした時のゴム部分)を隠すようにバレッタや簪で装飾して出来上がり。

とてもシンプルですが、高見えする和髪アレンジなのでぜひ挑戦してみてください。

三つ編みが難しいという方は、一本結びにした髪の先端を髪の毛がバラバラにならない位置をプラスチックゴムで固定して行ってみてください。

基本の夜会巻き

【用意するもの】

・ヘアジェルやヘアオイル

・コームやブラシ

・夜会巻き用のコーム

・アメピンやボブピンやUピン

・固定用のヘアスプレー(必要に応じて)

①    ヘアジェルやヘアオイルを髪全体に馴染ませておく。

②    低すぎない位置で、髪の毛を後ろで一本にまとめてねじり上げる。根元までしっかりねじり上げ、毛束がたるまないようにしっかり上に引き上げる。

③    ねじ上げることができたら、毛先部分を折りたたんで、毛束の中に入れ込む。

④    ねじり上げた部分の表面をコーム(表面が下)で少しすくい、反転させてコームの表面を出すようにしながら毛束の下に差し込んで固定する。さらにUピンやアメピンなどを用いてきちんと固定する。後れ毛の処理も行う。

便利グッズも活用する

シニヨンが上手くできないという方や、ちょっと髪の毛の長さが足りなくて上手にアップスタイルにできないという方におすすめなのが、シニヨンウィッグというものです。お団子の形になったウィッグで、自分の束ねた髪の上から被せてクリップ留めすればあっという間にシニヨンスタイルが完成するという優れものなのです。

シニヨンの形もさまざまで、三つ編みでできたシニヨン、パールの飾りが付いたシニヨン、お花のように美しくまとめられたシニヨンなど、自分ではアレンジできないであろう素敵なものが沢山あるので、気分や装う場所に合わせてウィッグを変えてみるのも面白いでしょう。

また、髪の毛の量が多くてシニヨンウィッグでは上手く留めることができないという方は、大きめの和装ウィッグを使ってみましょう。ポニーテールウィッグなどの大きめウィッグを用いると上手にまとまるのでぜひ試してみてくださいね。

訪問着に合わせるメイク

訪問着は社交着として着られることが多い着物なので、普段メイクをしないという方でも、訪問着を着る際には軽くメイクをして整えるのがおすすめです。では、どんなメイクが訪問着には似合うのか見ていきましょう。

全体の仕上がりイメージ

和メイクは洋メイクとは異なり、主張し過ぎないものが好ましいです。できるだけナチュラルに、それでいて上品さが感じられるメイクを目指すと良いです。

アイシャドウなどは色物を使うと浮いてしまう恐れがあるので、ベージュ系など目立ち過ぎないものを使うと失敗がありません。

ファンデーション

和メイクの場合、ナチュラルさを重要視するので、お化粧の土台となるファンデーションの塗り方がもっとも大切になってくるといっても過言ではないのです。

洋メイクの場合、顔の陰影をはっきりさせるために、ファンデーションを塗りながらシャドウも入れていくことがあります。和メイクの場合は逆に陰影をつけないのが望ましく、シャドウは基本的には入れません。平面的で陶器のような顔づくりをしていくのが良いでしょう。

ただし、この時ファンデーションを重ね過ぎるのはあまりおすすめできません。薄塗にしてもカバー力のあるファンデーションを用い、厚塗りにならないように気を付けてみると良いでしょう。立体感をおさえた、明るく透明感のある顔になっていたら最高です。

アイブロウ

着物に似合うアイブロウは、やや太さがあるアーチ形のなだらかなものだと言われています。角度をつけ過ぎず、優しい印象になるように描いてあげると良いでしょう。
眉毛を太くする際に濃くなり過ぎてしまうことがありますが、濃くなってしまった時にはぼかしブラシなどを使って上手に色の濃淡を調整します。

アイメイク

先ほども触れたように、アイメイクは控えめにするのが基本です。アイラインは細く、瞼の際に入れるように描きます。アイラインが濃く太くなってしまうと舞台メイクのようになってしまい目立ち過ぎるので気を付けましょう。
アイシャドウはパールトーンのベージュ系を基本に、装う訪問着が紫系であるならば、薄い紫色のアイシャドウを用いるというのも良いでしょう。

ピンク系や赤系のアイシャドウは使い方によっては目が腫れているかのような印象を生み出してしまうことがあるので、使用する際には気を付けましょう。寒色系の着物に合わせて緑や青などの寒色系のアイシャドウを用いる際には、かなり薄付けになるようにし、着物の地色よりもメイクの方が目立たないようにするのが良いです。

アイシャドウは、「ほんのり色付いているかな?」程度に色を差すのが和メイクにはちょうど良いということは覚えておくと良いでしょう。

また、まつ毛はカールさせ過ぎず、自然にカールしている感じに整えるのがおすすめです。マスカラを用いる際には付け過ぎに注意し、濃く太くなり過ぎないように仕上げましょう。

チーク

顔全体のメイクが陶器のような仕上がりになっているので、チークにほんのりローズカラーやオレンジカラーを入れて整えてあげると、とても美しい仕上がりになります。

血色を良く見せようとチークを入れ過ぎるとチークだけ悪目立ちしてしまう恐れがあるので、あくまで「ほんのり色付いている」を目安に軽くチークを入れてあげるのがおすすめです。

リップ

リップ(口紅)は年代によっても多少色味が異なります。20代の人には明るい色味の赤やピンクが、30代、40代の人にはやや発色をおさえた明るいピンク系やピンクベージュ系がおすすめです。50代、60代の人には明るさがあるピンクベージュがおすすめですが、落ち着きのあるベージュ系の赤色なども素敵です。

明るめの色味のリップはふっくら仕上げてあげるとメイクのバランスが良くなるので、ぜひ試してみてください。

訪問着のコーディネートについて

ここでは訪問着のコーディネートについて解説しています。参考にしてみてください。

訪問着は結婚式などの華やかな席に装うのとちょっとしたお食事会やお呼ばれのコンサートなどに装うのでは、やはり区別を付けて装うのが良いと言えるのでしょう。

結婚式などに装う訪問着は、吉兆文様のおめでたい柄裄のもので、黒留袖や色留袖の次に格が高い着物としての威厳を出したいものです。合わせる袋帯は金糸や銀糸がふんだんに使われた豪華なものを選び、衣裳で慶びを表現できるそんな装いにまとめられるととても素敵です。

気軽なパーティーや観劇、お食事会用に訪問着を装う際は、少し気軽な訪問着の装いというイメージでコーディネートしてあげると良いでしょう。ユニークな柄のものや地色が濃い色、艶やかな色の訪問着などと合わせる帯は袋帯でも構いませんが、洒落袋帯と呼ばれるものでも良いでしょう。

洒落袋帯とは、形状は袋帯と同じものなのですが、金糸や銀糸を使わず豪華さを抑えながらも、面白い柄や文様で人目を引く素敵な帯で、少しカジュアルダウンさせたい装いの時に大変おすすめです。

このように、一言で「訪問着」、「袋帯」と言ってもさまざまなバリエーションがあるので、装う場所、季節、格に応じて訪問着を着分けられると、より着物の世界の楽しみが広がっていきます。訪問着を着るということに慣れたら、さまざまな色柄の着物にも挑戦してみてくださいね。

訪問着の保管方法

訪問着を着た後はどうしてますでしょうか。汚れがひどい時にはクリーニングに出すのがおすすめですが、格段汗もかいておらず、目立つ汚れも付けていないという時には、きちんとアフターケアをした上で、自宅で保管します。

訪問着のアフターケア

脱いだ訪問着は衣紋掛けに掛けて風通しの良い場所で陰干しします。解いた帯もハンガーなどにかけて陰干しすると良いでしょう。この時、着物や帯に目立った染みや汚れが無いかをよく確認しておくと安心ですよ。
また、直射日光が着物や帯に長時間当たってしまうとヤケの原因になってしまうので、必ず陰干しするようにして下さい。

保管方法

訪問着を保管する際は、きちんと畳んでから、湿気の少ないところで保管します。

訪問着の畳み方は「本だたみ」と呼ばれるもので、もっとも一般的な着物の畳み方として知られています。この方法を知っておくと、小紋や紬などを畳む際にも迷わずできます。
「本だたみ」のやり方は以下の通りです。

①    衿を下にして着物を広げます。下前の脇縫いを内側に折り、さらに後ろ身頃に前身頃がきちんと重なるように折ります。

②    下前、上前両方とも衽の縫い線から手前に折り返し、衿肩あきのところを着物の折りスジに従って内側に折ります。

③    下前の衽に上前の衽を重ね、衿も重ねます。この時、衿先、衿下(褄下)、褄先が揃っていることを確認しましょう。ここがズレていると着物をたたんだ際にシワができてしまうので気を付けたいところです。

④    両手で上前の衽を持ち、背縫いのところで内側に折ります。下前の脇縫いに揃え、両袖までシワがないようにきちんと重ね、シワ取りします。

⑤    上になっている左の袖を袖付けから折り返し、身頃の上に重ねます。

⑥    着物の裾は3分の1ほど、衿の方に折り上げておきましょう。

⑦    ⑥で折り上げた裾の和を持って身頃を二つ折りします。この折ったところに真綿の棒などを挟んでおくと折りジワ防止になります。また、紋や刺繍などは和紙などを当てて置くと保護になるのでおすすめです。

⑧    下になっている袖は外側に折って、完成です。

この大きさはちょうどたとう紙に入るぐらいであり、和箪笥にも入るぐらいのサイズ感になるので、保管に適した大きさなのです。

着物の保管はたとう紙の中、あるいは和箪笥の中が最適ではありますが、衣装ケースに入れて保管されている方も少なくありません。衣装ケースに入れて保管する際には、防虫剤、湿気取りなどを併用するのがおすすめです。ただし、防虫剤などは直接着物に触れないよう工夫しましょう。防虫剤などの薬品が直接着物についてしまうと変色してしまったり、生地が変形してしまったりする恐れがあるので気を付けたいところです。

ちなみに、袋帯の畳み方は、帯に付いている元々の折り筋に従って、縫い目や折り目を合わせて畳むのがおすすめです。もし、長年使用しているうちに元の折り目がどれなのか分からなくなってしまったということがあった際には、以下の畳み方を参考にしてみてください。

①全通柄や六通柄の場合

柄を表にして、中央で二つ折りにします。さらに中央で二つ折りにし、最後にもう一度中央で二つ折りにします。

②ポイント柄の場合(柄部分に折り筋が付かない畳み方)

て先が左側にくるように、帯の裏を上にして広げます。て先を20cmほど内側に折ります。
柄が表になるように帯全体を二つ折りにし、この時折り目に柄が来ていないことを確認します。
さらに外側に二つ折りにし、この時お太鼓になる部分(柄部分)がちょうど真裏になっていることを確認します。
最後に、内側に二つ折りにして、お太鼓部分の柄がちょうど真ん中に出てきます。
もし、お太鼓部分の柄が真ん中に出てこなかった時には、一番最初に折った、て先の長さを調整してみましょう。

袋帯も着物同様、折った部分に真綿の棒などを挟んでおくと折ジワが付きにくくなるので大変おすすめです。また、金糸、銀糸、箔、刺繍などが施された柄部分には、保護として和紙などを当てておくと良いでしょう。折って畳んだ袋帯はたとう紙に包んで収納しておくと、傷や汚れが付きにくくなります。

まとめ

訪問着の着付け方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

訪問着の着付け方については、やはり文字面だけでは分かりにくいところがあるので、ぜひYouTube動画などを見るなどしてイメージを持てるようにしましょう。もし、YouTube動画の解説が分かりやすいというのであれば、それを参考に訪問着の着付け練習に励むというのも勉強になります。

ここで紹介した訪問着の着方はあくまで一例であり、この通りにしなくてはいけないということではありません。ただし、将来的に着付け師になりたいという方やゆくゆくは着付けの資格を取りたいという方は、きちんとお教室に通って手の使い方などを学ぶのがおすすめです。

着物を自分で着られるようになると、式典やちょっとしたパーティーなどの時に着るものに困らなくなるので、大変おすすめです。ぜひ、訪問着着付けに挑戦してみてくださいね。

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