50代を迎えての結婚式への参列は、お子様の結婚式を母親として迎える方、ご親族として列席される方、あるいは大切なご友人や職場の同僚の晴れの日を祝う立場の方も多くいらっしゃいますよね。
大切な節目に礼節を尽くすため、日本の伝統である着物で装いたいと考えられる方も多いもの。しかし、着物を選ぼうとすると意外に大変。着物の種類、柄は?小物はどんなものがいい?マナーの面は大丈夫?日頃、着物に慣れ親しんでいない方ならなおのことハードルを感じますよね。
この記事では、50代の女性が結婚式で着物を選ぶ際に知っておくべき基本のルールから、品格ある色柄選びのコツ、自信を持って美しく着こなすためのポイントまで解説します。
- 50代が結婚式で着物を選ぶメリットとは?
- 1.もっとも品格のある礼儀正しい服装
- 2. 会場が華やぐ
- 3. 50代の大人らしい美しさと魅力を醸す
- 立場別ルールあり!50代の結婚式、ふさわしい着物の種類は?
- 【早見表】50代の結婚式・立場別 着物チャート
- 1.【新郎新婦の母親】として出席する場合
- 2.【伯母・叔母など母親に近い親族】として出席する場合
- 3.【姉妹・いとこなどの親族】として出席する場合
- 4.【友人・来賓】として出席する場合
- 50代の品格を引き立てる色・柄選びのポイント
- 失敗しない地色の選び方(色留袖・訪問着)
- 年代に合う柄の選び方
- 着物の次に準備!帯・小物・髪型の基本マナー
- 帯・帯揚げ・帯締め
- 【小物】草履(ぞうり)・バッグ
- 【髪型】品格あるヘアスタイルのポイント
- こんな時どうする?よくある質問Q&A
- Q:両家の母親で色柄を合わせる必要はある?
- Q:父親がモーニング(洋装)の場合、母親が黒留袖(和装)でも大丈夫?
- 大切な晴れの日を楽しく迎えましょう
50代が結婚式で着物を選ぶメリットとは?
結婚式の服装として洋装のフォーマルドレスも一般的な現在、なぜ、50代の装いとして和装が選ばれているのでしょうか。着物で結婚式に参列する良さをご紹介します。
1.もっとも品格のある礼儀正しい服装

着物は、日本の伝統的な正装です。特に結婚式のような厳粛な式典において、着物は新郎新婦やご両家、そして他のゲスト様への敬意を最も高く、深く示すことができる装いです。
洋装のドレスもマナーに沿えばもちろん問題ありませんが、着物が持つ第一礼装、準礼装といった「格」の概念は、礼節を重んじる日本の文化そのもの。その場にふさわしい最高級のおもてなしの心とお祝いの心を、装いを通じて伝えることができます。
2. 会場が華やぐ
結婚式はお祝いの席。ご自身が着物を着て列席するだけで、その場の雰囲気が華やぎます。繊細な染めや刺繍、金銀の箔が施された着物は、それ自体が美術品のような美しさを備えています。
特に、新郎新婦の母親や親族が揃って着物姿でお迎えすれば、結婚式全体の格が上がり、会場は一気に厳かで晴れやかな空気に包まれます。ご友人の立場であっても、品の良い華やかな着物姿は、主役の二人にとって嬉しいお祝いの彩りとなるでしょう。
3. 50代の大人らしい美しさと魅力を醸す
着物は年齢を重ねたからこその深みや落ち着きといった、大人の魅力を最大限に引き立ててくれる服装です。
重厚感のある古典柄や、渋みのある上品な色合いを楽しめるのも50代ならでは。ボディラインが浮き出るものではないので、体型を気にせず楽しめるのも、着物ならではの大きな魅力です。
立場別ルールあり!50代の結婚式、ふさわしい着物の種類は?
結婚式の着物選びで最も重要なのが、ご自身の立場に適ったものを着ることです。着物には「格」という、その着物がどれほどフォーマルかを示す序列のようなものがあります。
大きく分けて以下のようになります。
- 第一礼装☆もっとも格が高い
- 準礼装
- 略礼装
ここでは、結婚式に出席する際の主要な3つの立場(母親・親族・友人)別に、どの格の着物を選ぶべきかを具体的に解説します。
【早見表】50代の結婚式・立場別 着物チャート
まずは、立場別に一目でわかる早見表にまとめました。ご自身の立場と照らし合わせて見てみましょう。続いて、由来と解説を紹介します。
| 立場 | 格 | ふさわしい着物 | 紋の数 |
| 新郎新婦の母親 | 第一礼装 | 黒留袖 | 五つ紋 |
| 親族(伯母・叔母) | 第一礼装 | 黒留袖 | 五つ紋 |
| 第一礼装~準礼装 | 色留袖 | 五つ紋 or 三つ紋 | |
| 親族(姉妹・いとこ) | 準礼装 | 色留袖 ※1 | 三つ紋 or 一つ紋 |
| 準礼装 | 訪問着 | (紋は無くてもよい) | |
| 友人・来賓 | 準礼装 | 色留袖(訪問着仕立て)訪問着 ※2 | (紋は無くてもよい) |
| 準礼装 | 付け下げ | (紋は無くてもよい) | |
| 準礼装 | 色無地(紋付き) | 一つ紋 |
※1…ただし、既婚者であれば黒留袖でも問題ない
※2…50代など大人の装いであれば、上半身まで柄のある訪問着は避ける
1.【新郎新婦の母親】として出席する場合

新郎新婦の母親として出席する場合は、結婚式においてゲストをお迎えする主催者側の立場です。そのため、最も格の高い第一礼装である「黒留袖(くろとめそで)」を着るのが基本です。
黒留袖とは、その名の通り地色は黒で、背中・両胸・両袖の後ろの合計5か所に五つ紋(いつつもん)が入っているのが特徴です。裾(すそ)部分には、おめでたい意味を持つ「吉祥文様(きっしょうもんよう)」などが豪華に描かれています。
新郎新婦両家が並ぶ場面の多い結婚式では、両家の服装の格を揃えるという意味でも、両家の母親が黒留袖を着用するのが一般的なので、相手方の服装についても注意しましょう。
2.【伯母・叔母など母親に近い親族】として出席する場合
新郎新婦から見て伯母・叔母にあたる方は、母親に次いで近しい間柄です。
「黒留袖」または「色留袖(三つ紋・五つ紋)」がふさわしいでしょう。
黒留袖を選ぶ場合は母親よりも柄行きが控えめなものを選ぶと、立場をわきまえた奥ゆかしい装いになります。
色留袖は、黒以外の地色(淡いピンク、水色、グレー、クリーム色など)の留袖で、裾にのみ模様が入ります。黒留袖との大きな違いは紋の数で格を調整できる点です。
紋は、第一礼装である黒留袖と同じ五つ紋を入れることもできますし、三つ紋や一つ紋にすることも可能です。伯母・叔母の立場であれば、五つ紋または三つ紋の色留袖を選ぶと、主催者側としての格を示しつつ、母親(黒留袖)より一歩控えた品のある装いになります。
3.【姉妹・いとこなどの親族】として出席する場合
新郎新婦の姉妹やいとこも親族ですが、伯母・叔母よりはゲストに近い立場となります。そのため、
「色留袖(一つ紋・三つ紋)」または「訪問着(ほうもんぎ)」が良いでしょう。
50代であれば、既婚・未婚を問わず着用できる色留袖(一つ紋か三つ紋)が上品でおすすめです。
また、より華やかにお祝いしたい場合は訪問着も選択肢となります。訪問着は、色留袖に次ぐ準礼装の着物です。色留袖との違いは、模様が裾だけでなく、肩や胸、袖にもつながるように描かれている点です(これを絵羽模様(えばもよう)と呼びます)。未婚・既婚を問わず着られ、結婚式のお呼ばれ服として最もポピュラーな着物です。親族として着用する場合は、あまりに華美になりすぎない、格調高い古典柄などを選ぶと良いでしょう。
4.【友人・来賓】として出席する場合
新郎新婦の友人や、職場の同僚・上司として出席する場合は、招待されたゲストとしての扱いになります。ゲストは、主催者側であるご両親やご親族(特に黒留袖・色留袖)よりも格の高い装いをすることはマナー違反です。そのため、「訪問着(ほうもんぎ)」が最適です。
準礼装である訪問着は、ゲストとしてお祝いの気持ちを表すのに最適な華やかさと品格を併せ持っています。黒留袖や色留袖のように裾だけに模様があるのではなく、上半身にも華やかな柄があるため、着席している時間の長い披露宴でも、周囲を明るくする彩りを添えることができます。
訪問着以外では、「付け下げ(つけさげ)」や「色無地(いろむじ)」も選択肢になります。付け下げは、訪問着よりも柄が控えめで、より軽やかな準礼装です。
色無地は、黒以外の一色で染められた柄のない着物ですが、背中に一つ紋を入れることで準礼装となり、結婚式にも着用できます。ただし、柄がない分、50代の方が着ると少しシンプル過ぎる印象になる場合もあるため、帯や小物で華やかさを出す工夫が必要です。
50代の品格を引き立てる色・柄選びのポイント
着物の種類が決まったら、次はいよいよ色と柄選びです。洋服選びと同じで、自分に似合うか、年齢にふさわしいかは非常に重要なポイントです。
50代の女性が持つ品格、落ち着き、円熟した美しさを最大限に引き出すための、色・柄選びのコツを、着物の種類ごとにご紹介します。
失敗しない地色の選び方(色留袖・訪問着)
黒留袖は地色が黒と決まっていますが、色留袖や訪問着は、多彩な地色の中から選ぶことができます。これが楽しみでもあり、悩みの種でもあります。
TPOとしてのNG!避けるべき色
まず、結婚式のお呼ばれとして避けるべきは、花嫁の色である白一色の着物です。白地であっても、柄が全体にしっかり入っていれば問題ありませんが、白が際立つデザインは避けるのが賢明です。
また、真っ赤、ショッキングピンクなどのあまりに派手すぎる原色も、50代の品格としてはややミスマッチです。主役より目立ってしまう可能性もあるため、控えたほうが無難です。
50代の肌を美しく見せる!おすすめカラー


ほとんどの礼服着物の素材は、正絹(しょうけん)という絹で作られています。そのため、どの生地もツヤと輝きがあり、レフ版効果のようにお顔を華やかに見せてくれます。
加えて自分の演出したいイメージに合わせて色を選ぶと、さらに大人の肌を美しく演出してくれます。
- クリーム・ベージュ系
肌なじみが非常によく、優しく穏やかな印象を与えます。柄に使われる金彩とも相性が良く、上品な華やかさを演出できます。 - 薄いグレー・シルバー系
知的で洗練された、都会的な印象を与えます。甘くなりすぎず、スタイリッシュに着こなしたい方におすすめです。 - 藤色・水色系
肌の透明感を引き出してくれる色です。特に、黄みがかった肌色の方には、補色の効果で肌を明るく見せてくれる効果が期待できます。 - 若草色・抹茶色・淡いグリーン系)
派手すぎず、地味すぎない、絶妙なバランスの色です。穏やかで安心感のある人柄を演出します。
顔映りの良い色を選ぶコツ
もし可能であれば、実際に着物を肩から羽織ってみて、ご自身の顔がどう見えるかを鏡で確認するのが一番です。
レンタルや貸衣装は試着が難しい場合もありますが、ご自身の肌色(イエローベース、ブルーベースなど)や、普段の洋服で似合うと言われる色を参考に選ぶと失敗が少ないので、おすすめです。
年代に合う柄の選び方


着物の柄には、その一つひとつにおめでたい意味が込められています。50代の装いとしては、柄の意味を理解し、品格のあるものを選ぶことが大切です。まず、どの着物にも共通するポイントは以下の2つです。
1. 新郎新婦より目立たない、品のある華やかさであること
2. 代表的な「吉祥文様(きっしょうもんよう)」が季節を問わず万能
吉祥文様とは、おめでたい印とされる縁起の良い柄のことです。お祝いの席に最適で、季節を問わず着用でき、便利です。それぞれの模様の意味を知っておくと、より楽しめます。
<代表的な吉祥文様とその意味>
- 松竹梅: 寒い冬でも緑を絶やさないことから忍耐や生命力の象徴。
- 鶴・亀: 「鶴は千年、亀は万年」といわれる長寿の象徴。
- 鳳凰(ほうおう): 平和で幸せな世界が訪れるときに現れるとされる、伝説の鳥。
- 七宝(しっぽう): 円が重なり合う文様で、ご縁や子孫繁栄を意味します。
- 御所車(ごしょぐるま): 平安時代の貴族の乗り物。富と華やかさの象持。
黒留袖・色留袖(母親・親族)の柄選びのコツ
母親や、それに準ずる立場の親族が着る留袖は、重厚感と格調高さがキーになります。柄が裾の低い位置にゆったりと配置されているデザインは、落ち着きと高級感を演出するのでおすすめです。逆に、柄が膝の上まで高く入っていると、若々しい印象になりがちです。
しかし、ご自身の個性や好みからイメージからかけ離れたデザインを無理に選ぶことはありません。いつも穏やかな雰囲気のお母様なら、やわらかな色使いや丸みのある花柄を。また、ショートカットが素敵な知的なお母様なら、すっきりとモダンでシャープな柄行(がらゆき)を選ぶなど、ご家族としての関係性を大切に選ぶのも楽しみのひとつでしょう。
訪問着(親族・友人)の柄選びのコツ
ゲストとして華を添える訪問着は、留袖よりも自由度が高いですが、50代としての品は忘れてはいけません。柄が大きすぎるものや、全体を埋め尽くすようなデザインは避けましょう。空間の間(ま)が美しく取られている、すっきりとした柄行きのものがおすすめです。
前述した吉祥文様や、格式高い古典柄、あるいは唐草や幾何学文様などの有職文様(ゆうそくもんよう)を選ぶと失敗がありません。
着物の次に準備!帯・小物・髪型の基本マナー
フォーマルな場では、小物選びにもマナーが存在します。着物初心者がつまずきやすい、周辺アイテムの基本ルールをしっかり押さえましょう。
帯・帯揚げ・帯締め


着物のコーディネートの格を最終的に決定づけるのが帯とその周辺の小物です。
【帯】格の高い「袋帯(ふくろおび)」を選ぼう
結婚式のようなフォーマルな場で使用する帯は、袋帯が基本です。袋帯は、長さが約4m30cm以上あり、金糸や銀糸、色鮮やかな糸で豪華な柄が織り込まれた、最も格の高い帯です。
柄は、着物と同様に吉祥文様や有職文様など、おめでたく格調高いものを選びます。名古屋帯(なごやおび)という、より短くカジュアルな帯もありますが、これは結婚式にはふさわしくないとされていますので、間違えないように注意しましょう。
【着付け小物】帯揚げ(おびあげ)・帯締め(おびじめ)
帯揚げと帯締めは、着付けの仕上げに帯と一緒に結ぶアイテムです。これら2つは着物の格によって使う色が決まっています。
- 黒留袖・色留袖(礼装)の場合
原則として白を使用します。帯揚げは白の綸子(りんず)や縮緬(ちりめん)、帯締めは白の平組(ひらぐみ)が基本です。金糸や銀糸が織り込まれたものでも構いません。色物(淡いピンクや水色など)は使わないのが原則です。 - 訪問着(準礼装)の場合
淡い色のものを選びましょう。帯揚げ・帯締めともに、着物や帯の色と調和する、薄いピンク、水色、クリーム色、藤色などの上品な色合いのものを合わせます。白や金銀でも間違いではありませんが、色物を入れることで、より華やかでおしゃれなコーディネートになります。
【小物】草履(ぞうり)・バッグ

結婚式で持つ草履とバッグは、礼装用のセットを選ぶのがおすすめです。金、銀、または佐賀錦(さがにしき)や帯地(おびじ)などの布製で、おめでたい柄がデザインされたものが数多く手に入ります。エナメル素材やデザインが派手過ぎるものは避けましょう。
選ぶ際に気をつけたいのは、草履の台(かかと)です。5センチ前後と適度に高く、側面にも金や銀の装飾が施されているもの(三枚芯、四枚芯など)を選ぶと、格が上がり、立ち姿が美しく見えます。
【髪型】品格あるヘアスタイルのポイント
和装の場合、髪型もフォーマルな装いの一部です。美しい着物の襟もとをすっきり見せるため、ある程度長さのある方はアップスタイルにしましょう。ショートヘアの方も、トップにボリュームを持たせるなど、品良く仕上げましょう。着物の格が高ければ高いほど、美容室でのセットがおすすめです。
派手すぎる大きな花飾りや、ぶら下がるタイプの飾りは避け、50代の着物姿には、真珠やべっ甲調、蒔絵などが施された、上品なかんざしやバチ型の髪飾りがよく似合います。あくまでも主役は着物とご本人。髪飾りは、そっと彩りを添える程度に留めるのが、大人の装いです。
こんな時どうする?よくある質問Q&A
Q:両家の母親で色柄を合わせる必要はある?
A:必ずしもお揃いにする必要はなく、着物の「格」が黒留袖で揃っていればマナー違反にはなりません。ただし、片方の柄が非常に豪華で、もう片方が非常にシンプルといった場合、並んだ際のバランスが気になることもあります。事前に「お互い黒留袖で」ということだけ確認し、もし可能であれば、柄の雰囲気(例えば、金彩が多い華やかなものか、落ち着いた古典柄か)について、着物店やレンタルショップを介して情報を交換しておくと、より安心です。
Q:父親がモーニング(洋装)の場合、母親が黒留袖(和装)でも大丈夫?
A:まったく問題ありません。父親のモーニングコートも、母親の黒留袖も、どちらも第一礼装です。和装と洋装であっても格が揃っていれば、それが正式なマナーとなります。
大切な晴れの日を楽しく迎えましょう
着物は、50代の女性が持つ品ある美しさを、最も引き立ててくれる装いです。新郎新婦やご両家へのお祝いの気持ちを何よりも雄弁に伝えてくれるでしょう。
準備が大変そう、お手入れが面倒、と諦めてしまうのは、あまりにもったいないですよね。きもの市場は、晴れの日にふさわしい上質な着物を、着物選びのプロがサポートしてくれる着物レンタルサービスです。賢い選択肢を活用して、着物選びの不安を着る楽しみに変えてみませんか。
大切な方の晴れの日を、ご自身も素敵な着物姿で心からお祝いするお手伝いをさせてください!
