着物を着てパーティーや結婚式に参加する際、意外と悩むのがバッグなのではないでしょうか。普段から着物に親しんでいる方であれば、和装用のフォーマルバッグなどもお持ちのことでしょう。しかし、着物は滅多に着ないという方の場合、しっくりくるフォーマルバッグがないと悩まれることがあるかもしれません。そんな時、わざわざ新しいフォーマルバッグを購入するよりも洋装用のフォーマルバッグで代用したいと思われるのではないでしょうか。
そこで今回は、着物のフォーマルバッグ事情について詳しく解説していきます。和装でも洋装用のバッグを持つことはできるのか、どんなものなら着物に似合うのかということを詳しく解説すると共に、シーンごとにおすすめのフォーマルバッグもご紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
- 着物に合わせるフォーマルバッグ
- 和装用フォーマルバッグについて
- 和装用フォーマルバッグの種類
- 伝統的な「草履バッグセット」や「利休バッグ」と和洋兼用バッグの使い分け
- 和装にも洋装にも似合うフォーマルバッグとは
- 和装用フォーマルバッグを選ぶ際のポイント
- 着物とバッグの歴史
- 着物のお供は風呂敷だった
- バッグの流入
- 国産のバッグが誕生
- 和装用のバッグの登場
- 昭和30年~40年のビーズバッグの大流行と衰退
- シーン別着物とフォーマルバッグ
- 【慶事】黒留袖・訪問着からドレスまで:格に合わせた選び方
- パーティー
- 茶席
- 食事会や趣味の会
- お葬式や法事などの弔事の場
- 和装・洋装別:失敗しないフォーマルバッグのコーディネート例
- 和装用のフォーマルバッグである佐賀錦バッグはドレスにも合う?
- シンプルなブラックドレスに佐賀錦のバッグは映える
- 和柄のドレスやワンピースに和装用バッグはぴったり
- 着物をドレス風に着こなす際のお供に和装用フォーマルバッグはおすすめ
- フォーマルバッグは小さすぎる?荷物が多い時にはどうする?
- 荷物が多い人はサブバッグを検討
- サブバッグもフォーマルなものを選ぶ
- サブバッグに入れる小物リスト一覧
- サブバッグの賢い選び方と会場での持ち歩きマナー
- フォーマルバッグに貴重品が入りきらない時の対処法
- まとめ
着物に合わせるフォーマルバッグ

ここでは、着物に合わせるフォーマルバッグにはどんなものがあるのか、また何を基準に選ぶのかについて解説していきます。
和装用フォーマルバッグについて
結婚式やパーティーなどのフォーマルな場に着物を着て行く際には、フォーマルバッグを携えていくのがマナーです。では、和装のフォーマルバッグとはどんなものなのかということになりますが、フォーマルと定義されるバッグは概ね洋装のフォーマルバッグと同じになります。
つまり、
・大きすぎない、できるだけ小ぶりなもの
・素材がカジュアルではないもの(サテン、シルク、本革など)
・キャラクターなどがついていないもの
・金、銀、アイボリー、黒、紺、グレーなどの色味のもの
・ブランドロゴが大きすぎないもの
・アニマル柄やファーのついていないもの
といった条件を満たしたものであれば、和装用のフォーマルバッグとして持ち歩いても問題ありません。
結婚式の場に本革のバッグや靴はご法度ではないかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。かつては祝宴に殺生を避けるということから本革は持ち込まず、布製のものを用いるのが一つのマナーとしてありました。現在このマナーを厳守される方は少なくなっていますが、気にされる方がいらっしゃるのも事実です。本革バッグや本革シューズで結婚式に列席予定であるという方は、事前に主催者に確認を取っておいた方が安心かもしれません。
和装用フォーマルバッグの種類
和装用のフォーマルバッグとしてよく用いられるものには以下のようなものがあります。
・クラッチバッグ
・ビーズバッグ
・ハンドバッグ(本革や正絹素材)
・利休バッグ(和のボストンタイプハンドバッグ)
ドレスやワンピースなど洋装の場合は、フォーマルなショルダーバッグを使うこともありますが、着物を着る際に肩に荷物を掛けることはしないので、ショルダータイプのフォーマルバッグは着物と合わせて使うことはできません。どうしてもショルダーバッグを使わざるを得ないという場合は、肩紐(チェーン)を取るか、肩紐をバッグの内部にしまうなどして、抱えバッグやクラッチバッグ風に見立てて用いるのがおすすめです。
伝統的な「草履バッグセット」や「利休バッグ」と和洋兼用バッグの使い分け
伝統的な「草履バッグセット」は、着物と小物の格を合わせる最も確実な方法です。特に礼装用バッグとしては、帯地を用いたものや金銀の装飾が施されたものが一般的で、足元の草履と統一感を持たせることができます。
一方、利休バッグは、お茶席用のバッグとして親しまれてきましたが、現代ではセミフォーマルな装いにも広く使われています。和洋兼用バッグは、これらの伝統的な型にとらわれず、本革やサテンなど洋装のパーティードレスにも馴染むデザインが特徴で、活用の幅が広いのが魅力です。
和装にも洋装にも似合うフォーマルバッグとは
本革のハンドバッグは洋装と合わせて用いられる方がほとんどですが、シンプルかつ小ぶりなものであれば着物と合わせて持っても美しくマッチします。特に高級品の本革製品は革に光沢も見られ、お祝いの席でも凛とした美しさを演出してくれることでしょう。
優美で上品な刺繍は着物との相性もとても良く、パーティーシーンに映えるアイテムです。結婚式で使用する場合は、色数を抑えた落ち着いたデザインのものを選ぶと安心です。
クラッチバッグについては、和装用のクラッチバッグというものがあり、佐賀錦や西陣織などで作られた豪華なものが良く知られていますが、イブニングドレスなどに合わせる小ぶりでゴージャスな洋装用のクラッチバッグも着物に合わせて持つことができます。
ただし、あからさまに化繊素材ということが分かるクラッチバッグは着物と一緒に持つことで、着物の品位を落とすことになる可能性があります。できるだけ正絹やサテンなどの素材のものを合わせ、品格を高めるようにするのがポイントです。

和装用フォーマルバッグを選ぶ際のポイント
着物に合わせるフォーマルバッグは、洋装用のフォーマルバッグを代用しても良いなど、意外と自由度は高いです。しかし、その中でも最低限気を付けておきたいのは「格」になります。
和の装いで重要なのは「格」と言っても過言ではなく、特にフォーマルな席では「格」を軽んじることなく、着物を装う必要が出てきます。その着物に合わせて持ち歩くアイテムであるフォーマルバッグも当然「格」を意識して選ぶ必要があるということなのです。
和装のフォーマルバッグとして売られている商品の多くは、草履とセットになっているものが多いです。共布と言い、同じ布や裂地を用いてセットで作られているものなので、草履とバッグとお揃いで持つことで統一感が出てコーディネートがしまり、品格も出ます。一組あると大変重宝するので、おすすめです。
また、着物との相性も見ながらフォーマルバッグを選ぶようにすると良いでしょう。同じ和素材のフォーマルバッグであれば、柄合わせができているか、色味が合っているかなどの確認をし、洋装用のフォーマルバッグを持つ場合は、バッグを持った時にバッグだけが浮いていないか、着物よりも目立ち過ぎていないかなどチェックするようにします。トータルのコーディネートが品良く、格調高いものになるよう仕上げてみましょう。
着物とバッグの歴史
そもそも和装にバッグは必須なのかということに疑問を持たれている方もいるのではないでしょうか。ここでは着物にバッグが組み合わされてもたれるようになった背景についてまとめています。
着物のお供は風呂敷だった

今でこそバッグは当たり前のように我々の生活に根付き、日々の生活に無くてはならないものになっています。しかし、そんな当たり前のアイテムが日本に入ってきたのは明治以降でした。バッグという便利なものがない時代、人々は籠や風呂敷などを荷物入れとして用いて生活していたのです。
江戸時代、明治時代と着物がまだまだ日本の主たる衣服であった時代、人々は風呂敷を荷物入れとして活用していました。特に大きな荷物を入れる際に風呂敷が使われました。それ以外の小物は、袂や懐、帯の中などに入れて持ち歩いていました。貴重品やハンカチなどはすべて着物の中に入れて持ち歩けるというのは大変便利で、バッグも必要なかったことから、日本ではそもそもバッグという概念すら生まれなかったのではないかと考えられています。また、風呂敷というのも大変便利で、包み方を工夫すればどんな形の荷物も包むことができたので、変化自在という点ではバッグよりも使い勝手が良かったのかもしれません。
ちなみに、この時代には巾着というものはありました。特にお茶の道具を入れる際に用いられたようです。
バッグの流入
文明開化の足音と共に、明治時代に入ると西欧文化が一気に日本文化に流入してきました。その中には洋装、バッグも含まれていたのです。高級なバッグとして、小さな巾着型バッグの「レクチル」やブラックフォーマルバッグなどが流行りましたが、あまりに高価なものだったので一部の上流階級のご婦人の間でしか話題にならなかったそうです。
ちなみに、西欧文化の影響で、喪服もそれまでの白装束から黒装束へと変化し、明治20年には「喪服規定」が制定され、黒が喪服の色と決められました。ここからブラックフォーマルという概念が生まれ、発展していくことになります。
国産のバッグが誕生
大正時代になると洋服が一般に広まり、それに伴ってバッグの需要も増えました。高島屋などでバッグが作られ販売されるようになり、バッグは日本人女性の間で定着しました。大正末から昭和初期にかけては女性の社会進出が進み、バッグは貴重品類を入れる実用的なアクセサリーとして必需品になっていったのです。
和装用のバッグの登場
洋装用のバッグが人気になる中で、着物に似合う日本オリジナルのバッグを模索していた銀座の大和屋は、天マチボストンタイプの和装バッグを作り出しました。ヨーロッパの皮革製ボストンバッグを参考に2本手の手提げタイプを考案し、ファスナーなど先端の機能を取り入れた利休バッグが人気を博しました。
高価なボストンタイプが手の届かない人々は、布製平底の手提げ袋である信玄袋や竹籠巾着、巾着などをバッグの代わりに利用していました。
昭和30年~40年のビーズバッグの大流行と衰退
ビーズ刺繍で豪華に覆われたバッグは、和装のフォーマルバッグとして大変な人気を誇りました。ビーズと日本刺繍が組み合わされた豊富な柄や色遣いが見事で、特にパーティーバッグとして重宝され、草履の天にもビーズ刺繍が施されたセットも売られていました。
しかし昭和50年頃から安価な東南アジア産のビーズバッグが流入し、海外ブランドバッグの台頭や職人の減少と重なって日本のビーズバッグ人気は衰退していきました。
シーン別着物とフォーマルバッグ

ここまで着物とフォーマルバッグについて解説してきましたが、ここでは実際にどのようなシーンでどんなタイプのフォーマルバッグを持つことができるのかについて解説しています。
【慶事】黒留袖・訪問着からドレスまで:格に合わせた選び方
結婚式や披露宴に出席するのにぴったりなバッグは、クラッチバッグやハンドバッグ、小ぶりの抱えバッグなどになります。色味は金や銀をベースに白やアイボリーが入ったものが良いでしょう。柄が多すぎるとカジュアルな印象になるので、できるだけシンプルなものを選ぶのがおすすめです。
パーティー
パーティーや結婚式の二次会におすすめのバッグは、華やかでファッション性のあるクラッチバッグやハンドバッグ、抱えバッグです。個性的な模様や色味、本革やビーズ、刺繍など豪華なデザインも着物の色柄と合わせて楽しめます。
茶席

茶席といったら利休バッグが定番です。利休バッグはボストン型の2手ハンドバッグで、袱紗など茶席で必要な小物がすっきり入り、底が安定して倒れにくいのが特長です。普段のお稽古ではカジュアルな利休バッグでも構いませんが、イベント時は金糸や銀糸の入った高級な利休バッグを選ぶと格が上がります。
持ち手が正絹や木綿で作られていることが多く、手に汗をかきやすい人は使用後に持ち手を干すなど手入れを怠らないようにすると長持ちします。
食事会や趣味の会
食事会や趣味の会はフォーマルでないことが多いのでカジュアルなバッグで問題ありませんが、高級な会場ではカジュアルなものは避けた方が良いでしょう。海外ブランドや木製バッグ、利休バッグ、クラッチバッグなどワンランク上の選択肢もあります。
お葬式や法事などの弔事の場
お葬式やお通夜、法事ではブラックフォーマルと呼ばれるフォーマルなバッグが必要です。着物は喪服を選び、バッグは光沢や艶がない黒のフォーマルバッグを合わせるのが一般的です。布製や高級織物のバッグが弔事の最もフォーマルなバッグとされますが、マット感のある牛本革のブラックフォーマルバッグも和洋どちらでも使えるためおすすめです。
ブラックフォーマルバッグは冠婚葬祭や入学式などのセレモニーで役立つので一つ持っておくと重宝します。最近は金具がリバーシブルで慶事・弔事に応じて見せ方を変えられる製品もあり便利です。
和装・洋装別:失敗しないフォーマルバッグのコーディネート例
和装と洋装、それぞれの魅力を引き立てるコーディネートの具体例をご紹介します。
- 和装(訪問着):淡いゴールドやパールの輝きがある正絹素材のハンドバッグで上品に
- 和装(黒留袖):金糸がふんだんに使われた佐賀錦の草履バッグセットで格調高く
- 洋装(ドレス):シンプルなブラックドレスに、和素材のクラッチバッグを差し色として活用
礼装用バッグの選び方に迷った際は、靴や草履の色味と合わせるのが失敗しないコツです。トータルバランスを意識して、統一感のあるスタイルを目指しましょう。
和装用のフォーマルバッグである佐賀錦バッグはドレスにも合う?
ここまで着物にも合うフォーマルバッグについて見てきましたが、和装用のフォーマルバッグが洋装にも合うのか気になりませんか。ここでは、ドレスに和装用のフォーマルバッグが合うかどうかについて解説していきます。
シンプルなブラックドレスに佐賀錦のバッグは映える
洋装に佐賀錦のフォーマルバッグを用いても問題ありません。特にシンプルなブラックドレスなどには金色の佐賀錦がよく映えます。佐賀錦のバッグは格が高いので、ドレスの格とのバランスを考えるとより素敵になります。
海外の方が多いパーティーでは和のものに注目が集まるため、シンプルなドレスには和のバッグを合わせるのがおすすめです。
和柄のドレスやワンピースに和装用バッグはぴったり
手描き風の花紋や植物の模様が描かれたドレスに和のボストンバッグや佐賀錦・西陣織のクラッチを合わせれば、コーディネートに統一感が出て素敵です。和のフォーマルバッグで気分転換してみるのも良いでしょう。
着物をドレス風に着こなす際のお供に和装用フォーマルバッグはおすすめ
着物をドレス風に着こなす新たなファッションには和のフォーマルバッグがよく合います。佐賀錦のクラッチや模様豊富な利休バッグなどでフォーマル感を高めるのもおすすめです。
フォーマルバッグは小さすぎる?荷物が多い時にはどうする?

フォーマルバッグは小さいほどフォーマル度が高まると言われますが、実際に物がほとんど入らないと感じることもあります。入りきらない荷物のスマートな処理方法を見ていきましょう。
荷物が多い人はサブバッグを検討
フォーマルバッグは装飾品的な意味合いが強く、機能性より見た目の格を重視します。実用的で大きいバッグはサブバッグと呼ばれ、会場では使わないものをサブバッグに入れて道中などで使うのが一般的です。メインのフォーマルバッグが小さい場合は中身をサブバッグに入れて会場で荷物整理をすることもあります。
サブバッグもフォーマルなものを選ぶ
サブバッグとは言え、フォーマルな装いで持つのであれば、それなりにフォーマル感のあるサブバッグを選ぶ必要があると言えるでしょう。そのため、紙製バッグ、ビニール製バッグ、デニム素材バッグ、買い物袋などをフォーマルな装いのサブバッグに使用することだけは絶対に避けなくてはいけません。
フォーマルな場にも馴染む、サテンやシルク、ジャガード織素材のシンプルなものがおすすめです。これらは着物の時のみならず洋装の際のサブバッグとしても大変役立つので、一つ持っておくと重宝します。
ちなみに、フォーマルなサブバッグのカラーは、フォーマルバッグに準じたものにするのがおすすめです。ゴールドカラーやシルバーカラーのものを用いられる方は多く、洋装用のサブバッグとしても使えることができる色味として人気があります。
サブバッグに入れる小物リスト一覧
着物を着てフォーマルな場に出席する際、どんなものを持っていけば良いのかよく分からないという方もいらっしゃるでしょう。ここではサブバッグに入れておくと安心という小物類についてまとめてみました。
・化粧ポーチ
・バンドエイドなどの救急セット(小)
・携帯の充電器やWi-Fi機
・雨具(折り畳み傘や草履カバーなど)
・予備の足袋
・ショール
サブバッグの賢い選び方と会場での持ち歩きマナー
サブバッグは会場内に持ち込まないのが基本的なマナーです。会場に到着したら、貴重品以外の荷物が入ったサブバッグはクロークへ預けましょう。そのため、貴重品類は必ずメインのフォーマルバッグに携帯してください。サブバッグも含めて全体の装いをきちんと整えることで、大人の品格が保たれます。
フォーマルバッグに貴重品が入りきらない時の対処法
家族と一緒に参加する場合はご家族に貴重品を預けるのが一つの方法です。赤の他人に預けるのは避けましょう。
一人で参加する場合は、あらかじめフォーマルバッグに入る最低限の貴重品だけを持参するのがおすすめです。お札や必要最低限のカード類を小さくして持つなど工夫すると、携帯なども入れやすくなります。
まとめ
和洋兼用で使えるフォーマルバッグについて解説してきました。最近では和洋兼用で使えるフォーマルバッグも多く、呉服屋さんや洋もののバッグ売り場、通販などで商品を探すことができます。
着物に洋もののバッグを合わせる時、逆に洋服に和もののバッグを合わせる時、どちらも気にするべき点はトータルコーディネートのバランスと格のバランスです。
洋服や着物とバッグの相性や格に差があり過ぎないかをしっかりチェックし、TPOをわきまえつつ自分なりのコーディネートを楽しんでみてください。
