振袖の帯結びに必要な三重紐とは何?三重紐の使い方とは?

振袖は訪問着や留袖とは異なり、華やかな帯結びが目を引く装いになります。

フォーマルな場での和の装いで最もよく結ばれる二重太鼓はシンプルでまとまりがよく、かつ上品さはあるものの、かなり落ち着いた雰囲気になります。振袖はそもそも着物自体が豪華絢爛であり、袂も留袖や訪問着とは異なって長いという特徴があるため、普通の二重太鼓を振袖に結んでしまうと、帯と着物のバランスが不釣り合いになってしまうのです。

振袖に似合う豪華な帯結びを結ぶためには、三重紐と呼ばれる小物(和装着付け道具)が必要になるのですが、一体どのように使うものなのか、必ず使うものなのか気になるのではないでしょうか。今回は、三重紐について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. 三重紐とはどんなもの?
  2. 三重紐とは
  3. 三重紐の別称
  4. 三重紐を活用する場面
  5. 三重紐の種類
  6. 三重紐を使うメリット
  7. 三重紐の使い方
  8. 三重紐の相場
  9. 三重紐は自作で作ることができる
  10. 基本の三重紐の作り方
  11. 長尺タイプの三重紐を作る
  12. マイ三重紐を作って快適な着付けを!
  13. 三重紐はマストアイテム?
  14. 三重紐を使った変化結び
  15. 最近の三重紐は「見せる」紐
  16. まとめ

三重紐とはどんなもの?

そもそも三重紐とはどんな見た目をしていて、どんな時に必要になるものなのか確認しましょう。

三重紐とは

三重紐は、紐の真ん中あたりだけゴム紐の三重構造になっているもので、その両端はゴム紐幅と同じ幅の紐が付けられています。背中の部分に三重になっているゴム紐部分をあてがって使うということもあり、三重のゴム紐部分は背幅よりやや短いぐらいの長さがあります。

三重のゴム紐部分はストレッチ性があるのでよく伸びるため、着けていて苦しいと感じられる方はまずいません。もし、どこか変な場所に三重紐の結び目部分が当たって違和感があるというのであれば、早めに着付け師にその旨を伝え、調整してもらうようにしましょう。基本的に三重紐は着けたままで、仮紐のように外すことはありません。

三重紐の別称

三重紐という名称がもっともスタンダードではありますが、着付け教室、着付け師によっても呼称が変わることがあります。また、お店や通販でも多少商品名が異なっていることがあるので気を付けたいところです。

「三重ゴム紐」、「トリプル紐」、「トリプルゴム紐」、「三重隠し紐」などは「三重紐」の別称としてよく使われているので、覚えておくと役に立つことでしょう。

また、三重ならぬ二重紐というものもあります。二重紐は三重紐のように用いますが、ゴムが1本少ない分、羽根は多く作ることができないデメリットがあります。二重紐にもさまざまな呼称があり、一般的な「二重紐」の他、「二重仮紐」、「二重ゴム紐」などと呼ばれることもあります。

三重紐を活用する場面

三重紐が特によく用いられるのは振袖の変化結びの時です。三重紐を使えば、仮紐を何本も何本も使うことなく、一本の紐だけで羽根やヒダを固定できるので、複雑な変化結びも美しく結びつけることができるのです。また、三重紐は伸縮性にも優れているので固定力もあり、着崩れ防止の役割も担っているのです。

 七五三の七歳のお祝いや十三参りの帯結びは変化結びを結ぶことがほとんどなので、ここでも三重紐が用いられます。十三参り用の三重紐は大人と同じサイズのもので大丈夫ですが、七歳のお子さんには子供用の三重紐を用意してあげるのがおすすめです。紐が大きすぎると三重紐を隠しきれなかったり、変化結びがきちんと整わなかったりといった問題も出てきます。特にお子さんの背幅が狭いという場合は、子供用の三重紐を用意するようにしてあげましょう。

その他にも、浴衣の兵児帯を結ぶ際に三重紐を使用するということがあります。三重紐は本当に優秀な紐なので、上手に使うことで面白い帯アレンジができるのです。浴衣の帯結びを今年はユニークなものにしたいという方に三重紐は大変おすすめですよ。

三重紐の種類

三重紐の構造は、基本的に先に説明したとおりのものになります。背中に来る部分(紐中央)がゴム紐の三重になっていて、両端にゴム紐幅の紐が付いている形です。素材は化繊素材になります。コーリンベルトのゴム紐と同じようなもので、2cmぐらいの幅で厚みが多少あり、しっかりしたものなので、変化結びをしても安定して帯をがっちりホールドする力があります。

色味は白色が基本ですが、実際にはお店によって取り扱いが異なるため、ピンクや薄ピンク色のものなど、数種類あります。中には三重のゴム紐部分の色がすべて異なるものもあるのです。三重紐は背中にあてた時に、一番外側にくるゴム紐を1本目、真ん中のゴム紐を2本目、そして背中に触れているゴム紐を3本目と呼ぶのですが、カラフルな三重紐では1本目がうす紫色、2本目が薄ピンク色、3本目が濃いピンク色となっていて、両端の紐は2本目と同じ薄ピンク色になっています。着付けを始めたばかりの方は、どれが1本目だったか分からなくなってしまうことがあります。そんな時に色味で判断できると便利なのではないでしょうか。着付け勉強をされている方にカラフルな三重紐は大変おすすめです。

以上が基本的な、よく知られている三重紐になりますが、これ以外にも三重ゴム紐部分の1本目が外せるタイプのもの三重ゴム紐部分がシャーリングになっているもの二重ゴムタイプのもの四重ゴムタイプのものなどもあります。二重ゴムタイプのものは振袖の変化結びで用いるよりも袋帯のお太鼓結びで変わり結びにする際に使うことが多いです。

また、最近ではお洒落三重紐としてレースでできたものなども登場しています。

三重紐を使うメリット

ここまで三重紐について詳しく見てきましたが、実際に使うとなった時にどのようなメリットがあるのか気になった方もいることでしょう。

まず三重紐を使う最大のメリットは、仮紐を何本も使わずに済むため、苦しくないという点にあります。腰紐のようなストレッチの無い紐は、締め過ぎてしまうとかなり苦しい思いをするのですが、三重紐は一部にストレッチが入っていることもあり、強めに締めても苦しくないという利点があるのです。

また、複雑な帯結びをする際に、三重紐を利用することで、帯同士を結ぶ必要がなくなるため、帯の傷みを最小限に留めることができます。折り上げた羽根をバッテン交差になるように左右に振り分け、あとは三重紐に挟み込めばしっかり固定できてしまうというのは実に画期的なことなのです。
帯の長さに左右されずに変わり結びを作れるというのも嬉しいメリットで、短い帯でも三重紐を上手に活用することで羽根の多い豪華な帯結びに仕上げることができます。

三重紐は、着付け初心者の方でもアレンジしやすく、豪華な帯結びを作るのに最適な着付け小道具となっているので、本当におすすめです。

三重紐の使い方

三重紐は、帯を胴に巻いて固定してから使います。
結ぶ帯結びの種類によるところは大きいですが、基本的に帯の上線あたりで三重紐を背中にくっつけ、固定してしまいます。この時、緩めに締めてしまうと帯が崩れやすくなるので、 着付け師は力を入れて締めます。

三重構造のゴム部分は、帯の羽根やヒダを入れて固定するのに用いますが、入れ方にコツがあります。そのまま差し込んでもホールド力は高まりませんが、三重紐の1本目にまず羽根を入れた後で、2本目のゴムをぐっと引き出しもう一つの羽根を入れることで、ゴム紐のバッテン交差でき、ホールド力が高まるのです。

このように着付け師は、三重紐のどの部分に羽根を入れるか調整しながら、より固定力が高まるよう整えています。

浴衣の兵児帯を結ぶ際に三重紐を使うのであれば、ぜひこのように三重のゴムを交差させながら羽根を入れてみましょう。

三重紐の相場

三重紐はゴム紐と紐だけで作られたものなので、500円前後で購入することができます。特にシンプルなものはワンコインあれば確実に手に入れることができ、子供用の小さなものであれば300円前後で購入できる場合があります。

ただし、最近流行っているレースの三重紐の価格は2000円から3000円ぐらいが相場となっているなどお高めです。

三重紐は自作で作ることができる

三重紐は非常にシンプルな構造をしており、かつ使っている材料も手に入れやすいものばかり、人によっては家の裁縫道具に常備してあるもので、自分で作ることができるのです。

基本の三重紐の作り方

用意するものは以下の通りです。手縫いでも作ることはできますが、強度をある程度高めたいということであればミシンを使うのがおすすめです。

・2cm巾のゴム(63cm)

・2cm巾の綾テープ60cm

・ミシン

・ハサミ

・クリップ

まずゴム紐を三等分になるように屏風畳みで畳みます。

切れ端を右上にし、その下が輪になるように置きます。この時、切れ端は少し内側に控えておくのがポイントです。場所が決まったら、ゴム紐が動かないよう、ゴム紐の真ん中あたりにクリップを挟み固定します。

綾テープとゴム紐の重なりには1.5cmから2cmぐらい取ります。一番上のゴム紐切れ端のすぐ下に綾テープを2cmほど重なるように差し込みます。綾テープの下にはゴム紐の輪の部分があることを確認してください。

綾テープとゴム紐がズレないよう、ゴム紐の切れ端部分めがけてミシンを掛けます。この時ジグザグ縫いを2往復することで強度が高まります。

次に、綾テープの先端部分めがけて、先ほどミシンを掛けた部分よりも内側に再度ミシンを掛けます。これも先ほどと同じように、ジグザグ縫いを2往復するのが良いです。

以上で三重紐の片側部分が完成しました。次に、逆サイドも同じように作り、完成となります。

長尺タイプの三重紐を作る

市販で売られている既製品の三重紐では長さが足りないということもあるでしょう。そんな時には自分で長尺タイプの三重紐を作るのがおすすめです。

必要な材料や作り方は、上記の基本の三重紐の作り方と同じになりますが、長さが異なるので気を付けましょう。

長尺タイプの三重紐を作る場合、2cm巾の平ゴムは63cmから65cmで用意します。そして、2cm巾の綾テープは95cmから100cmのものを2本用意します。
長尺タイプの三重紐は、ふくよかな体型の方はもちろんですが、紐を前で縛るのが嫌という方が後ろにまで紐を回して締める際にも役立ちます。

マイ三重紐を作って快適な着付けを!

三重紐は簡単に手作りできるので、ぜひオリジナルの三重紐を作って、和装を楽しんでみてください。

既製品では色のバリエーションが少なくて嫌という方、長さにゆとりがある三重紐を使いたいという方、おしゃれな三重紐を使いたいという方、練習用に三重紐を何本か持っていたいという方は、オリジナルの三重紐を作ってみることをおすすめします。

自分に合ったサイズの三重紐であれば、変化結びも美しく整う上に、何より三重紐を着けていて辛い思いはしません。より快適に和装を楽しむという意味でも三重紐を自作してみてはいかがでしょうか。

三重紐はマストアイテム?

ここまで三重紐について、どんなものなのかについて解説してきました。しかし、「本当に三重紐は必要なの?」と疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。

結論からすると、振袖を着る時にはあった方が良いです。

最近では、振袖の変化結びを結ぶ際に三重紐を使用することが当たり前になっている風潮があり、多くの着付け師が三重紐を用いて変化結びを作り出します。また、振袖レンタル品のセット内容を確認してもらうと分かるように、レンタル品一覧の中にも三重紐はしっかり含まれています。ちなみに、振袖レンタルセットに含まれる三重紐の色味は薄ピンク色もしくはピンク色のものが多いです。

三重紐はただ帯結びを華やかにするための道具ではなく、しっかり変化結びを固定する役目も担った和装着付け小物なのです。三重紐がなくても変化結びを結ぶことはできます。しかし、そのためには仮紐を別に何本も用意する必要があるので、場合によっては仮紐を別に購入する必要が出てくるということは覚えておくと良いでしょう。ちなみに、この時使用する紐はモスリン紐などになりますが、1セット(3本か4本入り)購入するとなると、三重紐1本買うよりもお値段は高くなります。

また、三重紐を使わずに結ぶ変化結びには限界もあるため、三重紐で結ぶ変化結びよりも豪華さに欠けることが多いです。古典的な福良雀などは三重紐がなくても結ぶことができますが、華やかな立て矢系帯結びを希望するのであれば、やはり三重紐は持っておくに越したことはないでしょう。

三重紐を購入するか否かで迷った時には、自分がどんな帯結びを結びたいかで決めても良いでしょう。複雑でかつ豪華な帯結びには大抵三重紐が用いられていると考えて間違いないので、SNSなどを活用して帯結びをチェックしつつ、三重紐の必要性を検討してみるのがおすすめです。

三重紐を使った変化結び

振袖などに合わせる変化結びには、大きく分けて3つのタイプがあります。

背中になじむ、安定感のある帯結びである「お太鼓系」、帯を横に使い、下に長く垂らすものが多い「文庫系」、そして左肩から右下へ流れる斜めのラインが美しい「立て矢系」です。

お太鼓系は、文字通り小紋などに合わせる一重太鼓、訪問着などに合わせる二重太鼓の仲間であり、古風さも持ち合わせた素敵な帯結びです。この結びでは三重紐を使わないものが多いので、もし三重紐は持っていないけれど華やかにして欲しいということならば、お太鼓系の変化結びをお願いしてみるのがおすすめです。

文庫系は、浴衣に合わせる文庫結びが基本となったもので、少し華やかなリボン結び風のものが多いです。この結びでは、三重紐を用いないシンプルな文庫系変化結びから、三重紐を用いてヒダが沢山作られる華やかな結びまでバリエーションがあります。

立て矢系は基本的に三重紐を用います。三重紐を使って、独特な羽根の重なり、ヒダの重なりを作っていくので、とても個性的な帯結びに仕上げることができるのです。逆に言えば、三重紐を使わない立て矢系帯結びは、やや物寂しいものになってしまう傾向にあるため、成人式などの晴れやかな場に装うのであれば、しっかり三重紐を用意した方が良いと言えます。

最近の三重紐は「見せる」紐

三重紐は帯結びを支える道具ということもあり、決して他人から見えるようにしてはいけないというのが従来の着付けの鉄則でした。今でも原則見せないというのがベースにあるのですが、ここにきて、あえて見せる三重紐というのが人気を博しているようなのです。

見せる三重紐が人気になった背景には、浴衣に合わせる兵児帯アレンジの流行りがあったと考えられます。半幅帯よりも工夫しやすく、結びやすい兵児帯は、今では大人の女性の浴衣ファッションのアイテムの一つとして重宝されています。自分でもアレンジしやすいというのは大変嬉しいもので、三重紐を使うことで帯により変化が付けやすくなると、三重紐が注目されるきっかけにもなったのです。ところが、兵児帯に帯揚げは合わせないのが一般的であるということもあり、どうしても三重紐の紐部分が見えるようになってしまうという問題がありました。そこで考えられたのが、紐全体をお洒落にして、見えても大丈夫、むしろ見せることでファッション性を高める、レース素材などの三重紐だったというわけなのです。

今では、三重紐全体がレースに覆われているもののみならず、紐部分が帯揚げになっていて、楽に帯揚げを結べる工夫がされた三重紐なども登場しています。見せる三重紐は、帯の飾りやワンポイントとしても利用できるということで、お洒落女子、ゆかた女子の間でも話題になっているのです。

まとめ

振袖を装う際に便利な三重紐について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

三重紐は、変化結びを大胆な構造で作るサポートをし、かつ帯結びが美しくしっかり固定されるようホールドしてくれる、大変優れた和装小物なのです。

もちろん、振袖のためだけにあえて買う必要というのはありませんが、一本持っていると大変重宝します。振袖を頻繁に着なくても浴衣の帯結びに使うということもありますし、将来的に家族の誰かが三重紐を必要とするかもしれません。三重紐は手作りで作ることもできるので、必要になったタイミングで自作するというのもおすすめです。

ぜひ、三重紐を上手に活用して、さまざまな帯アレンジに挑戦してみてくださいね。

RELATED

関連記事

LATEST

最新記事