着物の「花筏紋」とは?着用シーンや植物のハナイカダについても詳しく説明! 

古くから着物の文様として愛される「花筏紋」は、散った花びらが筏のように集まって川を流れていく光景をモチーフとした縁起のよい柄です。

今回の記事では、花筏紋のおすすめの季節や花筏紋と組み合わせることが多い柄、花筏紋がデザインされることが多い和装、花筏を利用した家紋、植物のハナイカダなどについて、詳しく説明していきます。

目次
  1. 「花筏」とは?
  2. 植物の「ハナイカダ」とは?
  3. 「花筏紋」の花ってどんな花のこと?
  4. 「花筏紋」の意味とは?
  5. 花筏紋の歴史とは?
  6. 戦国武将の家紋としても人気の「花筏紋」
  7. 「花筏紋」と組み合わせることが多い柄6選!
  8. 「花筏紋」に季節は関係あるの?
  9. 代表的な季節の草花と着用時期の目安一覧
  10. 「花筏紋」が描かれることが多い和装とは?
  11. 「花筏紋」の着物の着用シーンとは?
  12. 「京都きもの市場 着物宅配レンタル」で「花筏柄」の着物を探そう!
  13. 日本の美意識が生きる「花筏柄」を特別な日の着物コーデに!

「花筏」とは?

「花筏(はないかだ)」とは、散った桜の花びらが水面に落ち、まるで筏のように一つに重なって川を流れていく様子のこと。花筏を素敵にアレンジした「花筏紋」は、古くから着物などの和装や伝統工芸品などに描かれてきました。
縁起がよく日本人に愛され続ける桜をモチーフとした模様も多いことから、おめでたい柄としても知られています。

また、筏と花びらを組み合わせて描くことも多く、丸太を重ねた筏の上に幾つかの花弁や折枝をのせた柄、筏と花吹雪を描いた柄を「花筏紋」と呼んでいます。

植物の「ハナイカダ」とは?

「ハナイカダ(花筏)」と名付けられた植物もあります。

「ハナイカダ」は、北海道から九州まで広く分布しているミズキ科の落葉低木。高さ1mから3m程度の雌雄異株の山野草で、学術名は「Helwingia japonica」です。雄花は2個から5個ほど、雌花は1個の花が咲くのが通常で、葉っぱの中央に緑色の花が咲いたり、実をつけたりと個性的。実や若葉は食べることもでき、あまりクセがないため、お浸しや天ぷらにすると美味しいと評判です。

植物名は葉を筏に花を船頭に見立てた際に、「筏を操縦する船頭」に似ていることに由来しています。
葉っぱの中央に黒い果実が乗っている様が、嫁ぎ先で悲しい体験をした嫁の人知れず流した涙が葉っぱに落ちた様子に似ていることから、「ヨメノナミダ(嫁の涙)」との別名でも呼ばれています。

「花筏紋」の花ってどんな花のこと?

着物に花筏紋を描く際に、花筏の花がどんな花のことを指すかについては、明確な決まりはありません。
一般的には、日本の国花である桜の花が描かれることが多いです。
ただ、近年では、広義として筏の上に紅葉や日本人にとって馴染み深い菊や梅などを描いた柄を「花筏紋」と呼ぶ場合もあります。

「花筏紋」の意味とは?

元々、桜柄は「繁栄」「豊かさ」「物事のはじまり」を表す文様であり、流水紋は「魔除け」「清浄」を意味する模様です。

桜柄と流水紋を組み合わせた「花筏紋」は、「新しい未来に希望がありますように」「将来に多くの幸せが訪れますように」などの意味を持っています。

「花筏紋」は、貴族から庶民まで古来より幅広い日本人に愛される古典柄で、日本人独自の風流さや美意識を受け継ぐ吉祥文様です。

また、春の慶事に欠かせない定番柄でもあります。

花筏紋の歴史とは?

「花筏」という言葉が生まれたのは、平安時代のこと。

平安貴族は桜を愛でる風習があり、儚く散った花びらが川を流れる優雅な様子や川に流した骨壺の紐から花がほどけていく様子にちなんでいるといわれています。花筏の麗しい光景は、平安時代の詩歌にも謳われているほど。

花筏紋は室町時代に誕生した後、桃山時代から江戸時代にかけて流行し、着物や帯、蒔絵、磁器をはじめとする数多くの伝統工芸品にも用いられるようになりました。

豊臣秀吉の妻「ねね」が秀吉を弔うため、京都に建立した高台寺のねねの御霊を祀る「霊屋(おたまや)」の「須弥壇(しゅみだん)」や「厨子(ずし)」の装飾にも採用されています。

戦国武将の家紋としても人気の「花筏紋」

花筏紋は、着物の文様だけでなく、織田信長の重臣だった滝川氏や林氏、三河(現在の愛知県)の松平氏に仕えていた本多氏など戦国武将の家紋としても、人気を集めました。

花筏紋を生かした家紋を5つご紹介します。

・花筏紋(はないかだもん)
「花筏紋」は、5本の丸太を束ねた筏の上に桜の花や葉っぱを描いた柄で、京都の高台寺に描かれている蒔絵のデザインを図案化した模様です。

・二つ花筏紋(ふたつはないかだもん)
「二つ花筏」は、4本の丸太を並べた筏を2枚ずらして描き、それぞれの筏の上に山桜の花びらを上半分重ねてデザインした模様です。

・丸に花筏紋(まるにはないかだもん)
「丸に花筏」は、大きく斜めに書いた桜の花びらの間に、5本の丸太を重ねた1組の筏を描いた文様になります。

・丸に二つ花筏紋(まるにふたつはないかだもん)
「丸に二つ花筏」は、丸の枠の中に2組の筏と2枚の山桜の花びらを組み合わせた「二つ花筏」をデザインした模様です。

・丸に重ね花筏紋(まるにかさねはないかだもん)
「丸に重ね花筏」は、左側で重ねた2枚の筏と、それぞれの筏の下から顔を出す上半分の桜を組み合わせた文様になります。

「花筏紋」と組み合わせることが多い柄6選!

元々、花筏紋は川を流れる桜の花をモチーフとしているだけに、四季折々の植物や水にまつわる柄と一緒に描かれる場合が多いです。

花筏とともに描かれることが多い文様を6つピックアップしました。

・梅
1月から2月頃に見ごろを迎える「梅」は、菅原道真などの文化人や平安貴族にも愛された花として有名です。
春の訪れを告げる花であり、「忍耐」「高潔」「上品」などを意味しています。

・椿
冬から春にかけて赤や白、ピンクなどの花が咲き誇る「椿」。
寒い冬にも負けずに花が開くことから、「忍耐」「生命力」「潔さ」「美しさ」などの象徴です。

・桜
春に満開を迎える「桜」は、日本人に古くから愛される花であり、着物で人気の高い柄です。
 豊かさや門出を意味していて、「女性らしい」「優雅」なイメージでもあります。

・菊
「菊」は、9月から11月頃の秋に咲く縁起のよい花です。
皇室の紋章にも用いられるほど日本人との関りは深く、「長寿」「高貴」「信頼」などの意味を持っています。

・紅葉
色づいたモミジやカエデなどの落葉が描かれることが多く、秋を代表する柄の一つ。
季節によって色が変化して鑑賞する人を喜ばせることから、「長寿」「幸せになれる」「世渡り上手」などを表しています。

・流水
水が流れる様子をモチーフとした「流水」は、穢れや厄を洗い流すことに通ずるとされるめでたい柄です。
「魔除け」「生命力」「清らか」などのイメージにつながります。

「花筏紋」に季節は関係あるの?

着物に花筏とともに桜や菊、紅葉など季節の植物が描かれている場合は、それぞれの植物の季節に合わせる必要があります。

代表的な季節の草花と着用時期の目安一覧

花筏紋に描かれることの多い季節の草花と着用時期の目安を表にまとめました。

季節の草花の名前着用時期
2月
椿1月~2月
1月~4月
10月
紅葉9月~10月

桜であれば春、菊や紅葉であれば秋の卒業式や入学式、結婚式などの人生の節目にもおすすめ。

季節感のある柄がデザインされた着物の着用時期としては、季節を先取りするのが基本です。

表で取り上げた季節の草花がメインで描かれている場合は、表の着用時期を参考にするとよいでしょう。

ただし、春の梅や桜と秋の菊と紅葉などが一緒に筏に描かれている場合は、季節に関係なく一年中着用できます。

「花筏紋」が描かれることが多い和装とは?

花筏紋は、古代より日本に受け継がれる縁起の良い柄の一つだけに、着物や和装小物など、多くのものに描かれています。

ここでは、特に花筏紋がデザインされることの多い和装について、ご紹介します。

・打掛
成人女性の正装であり、格式の高い衣装。
名前は、着物の上から打ち掛けるようにして羽織ることにちなんでいます。
花嫁和装の一つであり、結婚式のお色直しの衣装としても人気です。

・振袖
未婚女性の着物として、一番格式の高い第一礼装。
華やかな色や柄と袖の長さが特徴です。
「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類があり、成人式や卒業式、結婚式などで愛用されています。

・訪問着
縫い目で柄が途切れないように、着物全体に文様が描かれた準礼装。
紋の数でも格式が異なり、フォーマルなシーンからカジュアルなシーンまで幅広い場面で着用できます。

・付け下げ
「反物の状態で柄を染める」準礼装の着物で、柄が縫い目をまたがず、着物として仕立てた際に柄がつながらないのが特徴です。小紋よりも格式が高いものの、訪問着よりも格式は低く、合わせる帯によっても格式は変わってきます。

小紋
全体に同じ模様(総柄)が繰り返し染められている外出用の着物で、付け下げや訪問着のように、柄の配置に意味を持たせない点が特徴です。
大きく分けると、「京小紋」「江戸小紋」「加賀小紋」の3種類になります。
食事会やお茶会、観劇、町歩きなどのカジュアルなシーン向きです。

・長襦袢
着物を着用する際に必要となる和装用の下着。
肌襦袢の上から着るのが一般的です。
着物の汚れや着崩れを防いだり、保湿や防寒の役割を果たしたりしています。

・帯
着物を着用する際に、腰に巻いて締める細長い布。
着物や着用シーンによっても適した帯は異なり、「袋帯」「名古屋帯」「 半幅帯」などに分かれます。

「花筏紋」の着物の着用シーンとは?

花筏紋はめでたい柄ですので、お祝いの場面や華やかな場面にぴったりです。

花筏紋の着物で訪れたいシーンを5つみていきます。

・お花見
春らしい桜が描かれた花筏柄の小紋や紬などのカジュアルな着物は、お花見や桜まつりなど春のイベントにも相応しい和装です。着物の場合は季節を先取りするのがマナーですので、桜が咲き始める前から満開を迎える前を基準にするとよいでしょう。

・成人式・はたちの集い
新成人の一員となったことを祝う成人式やはたちの集いも、花筏柄の着物で参加したいシーンです。
90%以上といわれるほど振袖が一般的ですので、花筏柄を生かした華やかな振袖もおすすめです。

・結婚式
華やかな雰囲気にまとまる花筏柄の着物は結婚式のお呼ばれ着物にも最適です。
友達や同僚で未婚なら振袖、友達や同僚で既婚なら訪問着、親族なら留袖おすすめになります。

・お茶会
花筏は、抹茶茶碗や棗(なつめ)、炉縁などのお茶道具にも昔から採用されている模様です。
花筏が取り入れられた色無地や訪問着、小紋の着物は、初釜や茶会などの茶道に関連する行事に向いています。

・子どもの行事
花筏柄の着物は、お宮参りや七五三、入園式、卒園式などの子どもにまつわる行事でも人気を集めています。
色無地や訪問着、付け下げなどのフォーマルシーンに適した着物を選ぶと安心です。

「京都きもの市場 着物宅配レンタル」で「花筏柄」の着物を探そう!

「京都きもの市場 着物宅配レンタル」は、「京都きもの市場」が運営を手掛ける着物専門の宅配レンタルサイト。

振袖や訪問着、留袖をはじめ、花筏紋のレンタル着物が豊富にそろっています。

最大2万円までの補償が付いていたり、北海道や沖縄などの一部地域以外は全国送料無料で利用できたりと、手厚いサービスも受けられますので、花筏紋の着物や帯を探している方におすすめです。

2万点以上の商品数を誇る日本屈指の着物の通販サイト「京都きもの市場」も、花筏紋の着物や帯などの商品が充実していますので、花筏紋が描かれた和装の購入を検討している方は、こちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

日本の美意識が生きる「花筏柄」を特別な日の着物コーデに!

役目を終えて散った桜の花びらがまとまって川を流れる様子をモチーフとした「花筏紋」は、季節の移ろいを楽しむ日本人ならではの美意識が息づいた古典柄です。

古くから、振袖や訪問着などの格式高い着物を中心に、和装や和装小物にも幅広く用いられています。

「花筏紋」は、新しい門出への祝福や未来への希望などの意味を持つ吉祥文様ですので、とっておきの日の着物コーデにぜひ取り入れてみてください。

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