「お礼参り」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。お礼参りとは、文字通りお礼をするための参拝です。神様や仏様に祈願し、その願いが見事成就した際に、「願いが叶いました、ありがとうございます」と祈願を行った神社に詣でてお礼をするのがお礼参りです。
皆さまは、お正月や、どこか観光に行った際に神社仏閣で神様にお願い事をするのではないでしょうか。しかし、そのお礼をしに再び神社仏閣に出向いたという方は意外と少ないと言います。神様にお願いをするばかりで感謝をしないというのは、いささか失礼な行為に当たってしまうので、気を付けたいところですね。
ここでは、お礼参りとは何か、どのように行うのか、いつ行けばよいのかなど、お礼参りに関する基本的なことをまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
お礼参りについて

ここでは、お礼参りとは何か、お礼参りをする意味とは何かということについて解説していきます。
お礼参りとは何か
お礼参りは、願掛けを行った神社仏閣に詣でて、神様や仏様に願いが成就したことの報告と感謝を伝える参拝を行うことをいいます。祈祷などのように特別な申し込みが必要なわけではなく、拝殿のところでお賽銭をして、手を合わせ、神様仏様と心を通わせ参拝すれば良いのです。
ちなみに、お礼参りは、願いが叶った時だけではなく、願いが叶わなかった時にも行うのが礼儀であるとされています。
お礼参りをする意味
お礼参りは願い事がしっかり成就した人だけが行えば良いものだから、自分は関係ないと思われている方も多いのではないでしょうか。たしかに、願い事が叶っていないということであればお礼をする必要はないと考えるのは、今の時代においてとても自然なことかもしれません。しかし、一度お願いをしているのであれば、どんな結果になろうとも、「その節はありがとうございました」と礼を尽くすのが人としてのマナーなのではないでしょうか。
例えば、仕事であるプロジェクトを成功させるために、古くからお付き合いのあるクライアントの方に助力を請うたとしましょう。しかし、結果としてプロジェクトが上手くいかず頓挫してしまった時、先のクライアントの方には何も言わないということはないのではないでしょうか。
助力してもらったにも関わらず上手くいかなかったことの結果報告はもちろんですが、助力してもらったことに対しては感謝することでしょう。きちんと相手と向かい合うことで、今回は残念だったけれど次回も助け舟を出すから頑張りなさいといった新たなご縁ももらえるかもしれません。人の真摯な気持ちや態度というのはしっかり相手に伝わるものなのです。
生身と生身の人間同士だからこそ感謝の気持ちというのは伝えやすいのかもしれません。しかし、願を掛けたことがある方は、同じことが神様や仏様との間に起こっていると考えて下さい。神様仏様に祈願することで、そこに神様仏様とのご縁が結ばれます。そして、願いが成就するよう神様や仏様は静かに見守り、時に助け船を出してくれているのです。
神様にお願いをしただけでは当然願い事は叶いません。自分の努力と神様や仏様の助力があって初めて大願成就へと結びつくと考えられています。そのため、仮に結果が芳しくないものであっても、常時神様や仏様は見守り、助けを与えてくれていたと考え、そのお助けに対して感謝をするお礼参りをするのがマナーとして必要なのではないかと考えられているのです。
結果が残念なものであったとしても、それをきちんと受け入れる心の強さ、そしてお礼参りをきちんとして礼節を守る心の清らかさを神様や仏様は見逃すことはないでしょう。その心意気が報われるよう、さらなるご縁や運を運んできてくれると信じられているのです。
近年、日本人の間でも感謝の心や感謝の気持ちというものが薄らいできていると指摘されています。ぜひ、感謝の気持ちをしっかり表すため、神社仏閣にお礼参りに行ってみるのはいかがでしょうか。
お礼参りのやり方
お礼参りの正しいやり方について解説していきます。
願を掛けた神社仏閣で行う

お礼参りは、お願い事をした神社に詣でるのが一般的です。しかし、観光先でたまたま入った子授かり神社で祈願したら本当に子供ができたなど、すぐにお礼参りに行けない距離にある神社仏閣というのもあります。そういう時には、願を掛けた神社仏閣と同じ神様や仏様を祀ってある近場の神社仏閣、もしくは近所の神社仏閣でお礼参りをするというのでも問題ないとされています。少なくとも、お礼参りはやらないよりはやった方が良いので、まずは近くの神社仏閣に詣でてお礼参りをするのがおすすめです。
お礼参りの作法
神社仏閣に到着したら、まず手水舎で手や口を清めましょう。柄杓で水を汲んで、片手ずつ清め、最後に口をすすいで清めます。手のお清めの順番に決まりはありませんが、右利きの方は左手から洗うのが一般的です。
清めの儀が終わったら、拝殿へ向かいます。拝殿での参拝方法は各神社によって異なる場合がありますが、参拝場の近くに正しい参拝方法などが記されていることが多いので参考にしてみてください。
ここでは神社における一般的な参拝方法の一例についてご紹介しています。
① 軽くお辞儀をする
② 拝殿前に置かれている奉納箱(賽銭箱)にお賽銭を丁寧に入れる
③ 鈴を鳴らす
④ 二回深い礼をして、二回拍手をする
⑤ 一回深い礼をしてから合掌
⑥ まず住所や名前を唱え、願った内容を神様に伝える。それから結果や感謝などを伝える
お礼参りの際のお賽銭の金額は決まっていませんが、5円玉や10円玉、1000円札などで金額を整え、奉納するのが一般的です。ただし、数字の組み合わせによっては縁起の悪いものもあると考えられるので、気を付けましょう。
ただ感謝を伝えるだけではダメ?
お礼参りのやり方のところで、「まず自分の名前や住所を唱える」と記しましたが、自分がどこに住む誰で、どんなお願いをした者なのかと名乗ることはとても大事だと考えられています。その上で、結果がどうであったのかを話し、感謝を伝えるのが望ましいのです。
漠然と感謝を伝えるというのも、感謝をまったく伝えないよりは良いでしょう。しかし、もしお願い事がピンポイントのもので、例えば「〇〇大学合格」といったものであったならば、しっかり詳細を伝えて感謝を述べるのが良いのではないでしょうか。
お礼参りをするタイミング
お礼参りはどのタイミングでするのがベストなのか気になる方も多いことでしょう。ここではお礼参りをするタイミングについてまとめています。
願いが叶ったタイミング
受験の合格祈願、縁結び祈願、病気完治祈願、出世祈願、金運アップ祈願、成功祈願など結果が目に見えて分かるお願いは、結果が出たタイミングでお礼参りに行くのがベストでしょう。できれば、結果が出てから1か月以内にお礼参りに行くのが良いとされています。これは、結果をもらった時の状況がまだまだ鮮明に頭に残っている状態であれば、感謝の気持ちもより出しやすいと考えられているからです。
ただし病気完治祈願など長期にわたる祈願の場合は、結果が出るのがかなり先になってしまうこともあります。そんな時は、少し回復した、少し身体の数値が良くなったなど、嬉しいことがあったタイミングでお礼参りに行くのがおすすめです。「ここまで回復しました、ありがとうございます。これからも宜しくお願い致します」と感謝と祈願を繰り返すことで神様や仏様とのご縁も強固なものになるので、体調が許す限りお礼参りに出掛けることをおすすめします。
一年が終わるタイミング

年初めに、今年一年の家族の健康を祈願した、今年一年の平穏を祈願したなど、一年単位でのお願いをしているという方は、年末に今年一年のお礼をすると良いでしょう。
年末に行うお礼参りは「年末詣」とも言われ、今年一年分の感謝を神様や仏様に伝える参拝として、毎年欠かさず行っている人も多いです。
年末詣では初詣とは異なり、人が少ないのが特徴です。そのため、ゆっくりじっくり参拝をすることができるので、神様や仏様としっかり心を通わせることができます。また、年末シーズンは厄払いなどのお祓いイベントも多く行われているので、一年間で積もった悪い運などを祓ってもらい、新しい気持ちで年明けを迎えるというのも素敵なのではないでしょうか。
また、お守りやお札の返納もこの時期に受け付けているところは多いので、返納するお守りやお札があるのであれば、持参するのを忘れないようにすると良いでしょう。
お礼参りをするメリット

ここまでお礼参りをすることの重要性について解説してきましたが、お礼参りをすることでどんなメリットがあるのか気になる方もいることでしょう。ここで、お礼参りをするメリットについて解説していきます。
礼節を守る
物が豊かになり、AI化も進み、我々はとても便利で豊かな生活を享受できています。しかし、その反面で、人と人の関係性の希薄化、礼節の欠如など、元来人々が大切にしてきた心が廃れてきているのも事実です。観光地と化している神社仏閣も多く、神様や仏様を敬う心も失われつつある中で、今一度神社仏閣に詣でる意味を考えてみるのも良いのではないでしょうか。少なくとも、神様や仏様に何か願掛けを行う方は、ぜひ参拝の作法や礼儀を忘れず、真摯に神様や仏様と向き合ってみてください。
礼儀や作法を守り、感謝の気持ちを伝えるというのは決して気分の悪いものではなく、むしろすがすがしい気持ちにさせてくれるものです。
神様や仏様とのご縁を大切にし、しっかり礼を尽くす姿勢ができるのであれば、それは今後人脈形成の時にも力を発揮してくれますよ。
自分の心の浄化
人に礼を尽くす、しっかりと感謝の気持ちを言葉にして述べると、不思議と心が軽くなったという経験をしたことはありませんか。「ありがとう」という言葉は、相手に対してはもちろんですが、自分の心の浄化にも効果があると考えられています。
「人」という字は人間二人が支え合っている様を表しているなどと言われますが、人は一人では生きていけません。そこには誰かしらの助けがあり、目に見えないサポートがあるということを忘れてはいけないのです。そういったことにも感謝できる心を持ち続けることで、常に謙虚さを持って物事に取り組むことができます。
心が荒んでいると感じた時には、神社仏閣に赴き、日々の感謝を伝え、自分の心をも浄化するというのも大変おすすめです。
新たな運気の呼び込み
お礼参りをする際、ただ「ありがとうございました」で済むということはなかなかないでしょう。「上手くいったことに感謝しつつ、今後もいっそうの努力をしていきます」など、今後の抱負を述べ、さらなる願掛けを行うということもあるのではないでしょうか。
上手くいかなかった場合は、「見守って頂いたことに感謝しつつ、今後は気持ちを新たに〇〇に挑戦しようと思います」など、新たな決意表明につながることもあるでしょう。
感謝することでこれまでのことに終止符を打ち、また神様に抱負を述べることで、決意表明が確固たるものとなり、新たな気持ちに切り替えができるというのはとても素晴らしいことです。これが結果として新たな良い運気を運んでくるきっかけになると言われています。
お礼参りは、一つの願掛けの終着点です。新たな一歩を踏み出す前に、前の願掛けのお礼参りをすることできちんと清算し、真っ白な状態で新しいことへ挑戦していくというのはいかがでしょうか。
お礼参りの際に気を付けたいこと

最後にお礼参りをする時に注意したいことについてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
服装の注意点
普段、神社仏閣を訪れる際の服装で問題ありませんが、最低限の身だしなみマナーは守りましょう。露出の多い服装、高いヒール、サンダル、色柄が派手な服装、華美なアクセサリー類は避け、清潔感のある服装でまとめるのがおすすめです。
和装にする場合は、小紋や無地、付け下げ、訪問着などがおすすめです。参拝予定の神社仏閣の格にあわせて着物の格を考えてみるのが良いでしょう。
ついで詣りは避ける
何かのついでにお参りするというのはあまり良いものではありません。しっかり、「今日は感謝の気持ちを伝えに行く」という気持ちと共に神社仏閣に詣でるのが良いです。
ただし、どうしても神社仏閣に行く時間がないという場合に限り、ついで詣りも大目に見られるケースがあります。その際は、神様仏様に、ついで詣りになってしまったことへの謝罪も忘れずにしましょう。
大荷物は持ち込まない
元々神社仏閣は大荷物で行くところではありません。手荷物は最低限のものにして、リュックやキャリーバックなどの大きな荷物は避けて下さい。境内には他にも参拝客や観光客の方もいます。大きな手荷物は邪魔になりますので、くれぐれも持ち込まないよう気を付けましょう。
写真撮影は控える
お礼参りは神様や仏様に感謝の気持ちを伝えるための参拝なので、写真の撮影は必要ないでしょう。自分の気持ちと真っすぐに向き合う機会でもあるので、娯楽的なものに興じるのはまたの機会とし、お礼参りでの写真撮影は遠慮するようにするのが望ましいのではないでしょうか。
他の参拝客への配慮を忘れない
神社仏閣には他に参拝客が訪れていることがあります。他の参拝客の迷惑となるような行為はしないよう気を付けつつ、礼節を尽くしてしっかりお礼参りができるようにすると良いでしょう。
まとめ
お礼参りについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
お礼参りは、神様や仏さまに感謝の気持ちをしっかり伝えるための参拝なので、お賽銭額やお礼金の金額で悩むよりも、しっかり神様、仏様に感謝の気持ちを届けることに集中する方が良いでしょう。
お礼参りのタイミングとしてベストなのは大晦日の年末詣とも言われていますが、個々のタイミングや状況に応じてお礼参りをするのがおすすめです。
お礼参りは忘れられがちですが、ぜひこの機会にお礼参りに詣でてみるのはいかがでしょうか。きっといつにもなくすがすがしい気持ちで新年を迎えられることでしょう。
