「身幅」とは、着物を選ぶ上で欠かせない寸法の一つであり、着心地や印象などを左右する重要な要素の一つです。
今回の記事では、身幅の測り方や洋服との違い、身幅サイズの合っていない着物の着付け方、ジャストサイズの着物の選び方などについて、分かりやすく解説していきますので、参考にしてください。
- 身幅とは?
- なぜ身幅を測る必要があるの?
- 身幅の測り方とは?
- 身幅サイズの目安表
- ジャストサイズの着物の選び方とは?
- 和服と洋服の主な部位の測り方の違い
- 和服と洋服における主な部位の測り方の違い一覧表
- ジャストサイズの着物を選ぶポイントとは?
- 着物を試着してサイズ感を確かめる
- ジャストサイズの着物の身幅を測る
- モデルの体型や着用感を参考にする
- 身幅が合っていない着物で起こりがちなトラブルと対処法
- 襟元が浮く
- 着物の裾が開く
- シワが入りやすい
- 身幅が合わない着物を仕立て直ししたらいいのはどんな時?
- 身幅が合わない着物を着付けで調整する方法とは?
- 身幅が狭い着物を着る場合の対処法!
- 上前の右端を鎖骨あたりまで引っ張る
- 両見頃に布を足す
- 下前の合わせ方を少なめにする
- 身幅が広い着物の着付け方とは?
- 身幅が広い着物を着る場合の対処法!
- 余った布を脇で折り返す
- 身幅が広い着物の着付け方とは?
- 着物をきれいに着付けるための便利なアイテム
- 和装ブラジャー
- 補正パット
- コーリンベルト
- 身幅の合った着物で素敵な着物コーディネートを実現!
身幅とは?
「身幅(みはば)」とは、着物における胴体で一番太い部分の横幅のことで、「身巾」と表記されることもあります。
身幅は、袖や衿、衽(おくみ)の幅を含まないのが特徴。
「身幅(みはば)」には、衽の付け線から脇までの幅を指す「前幅(まえはば)」と、背縫いの中心から脇までの幅を表す「後幅(うしろはば)」があります。
なぜ身幅を測る必要があるの?
身幅は、着物を選ぶ際に、重要なサイズの一つです。
自分に合っていない身幅の着物を着た場合には、襟や裾がはだけてきたり、シワが入りやすかったりと、着崩れに繋がることが多くあります。
また、自分の身幅に合っていない着物を着た場合には、見た目や全体の印象にも大きな影響を与えかねません。
身幅が合った着物を選ぶことが、美しい着物姿にも繋がりますので、必ず自分の身幅に合った着物を選ぶようにしましょう。
身幅の測り方とは?

身幅を測る方法としては、自分の身体のサイズを測る方法と、着物を平置きして測る方法の主に2種類になります。
体で身幅を測る際には、腰回りの最も幅の広い部分を測るため、ヒップ部分のサイズを計測し、寸法を把握しておくのも大切なことです。
採寸を行う際には、メジャーを用いるのが一般的。
身体に巻き付けることも多いですので、やわらかいメジャーの方が適しています。
また、身幅は、実際の幅を測る以外にも、幾つかの計算方法でも計測できます。
ヒップの幅+3㎝~4㎝
衽幅+前幅+後幅×2
※衽幅は、一般的には4寸程度(15cmほど)です。
ちなみに前幅と後幅は、以下の方法で算出できます。
・前幅(まえはば)
「前幅」とは脇線から衽のつけ線までの直線距離のことです。
腰回り÷4+1cm程度
・後幅
「後幅」とは、背中心から脇線までの直線距離のことを指します。
腰回り÷4+6cm程度
着物では、ヒップ85cm前後の場合は前幅が22.7cm(6寸)前後、後幅が27.5cm(7寸3寸)前後で作られていることが多いです。
また、自分の寸法に合わせて仕立てる「オーダー着物」と、すでに出来上がっている既製品の「プレタ着物」では考え方が異なります。
・オーダー着物:ヒップ・バストから身幅を割り出す
・プレタ着物:一般的な体型寸法を基準に身幅を設定
と考えておくとよいでしょう。
身幅サイズの目安表
身幅を計算するために必要な衽幅と前幅、後幅の目安を表にしました。
| ヒップ | 衽幅 | 前幅 | 後幅 |
| ~84 cm | 15 cm | 22 cm | 27.5 cm |
| 85 cm~87 cm | 15 cm | 22.7 cm | 27.5 cm |
| 88 cm~90 cm | 15 cm | 22.7 cm | 28.4 cm |
| 91 cm~93 cm | 15 cm | 23.5 cm | 28.7 cm |
| 94 cm~96 cm | 15 cm | 23.8 cm | 29.5 cm |
| 97 cm~100 cm | 15 cm | 25.5 cm | 30.7 cm |
自分に合った身幅サイズを知ることで、ジャストサイズの着物を選ぶ一つの基準になります。
ジャストサイズの着物の選び方とは?
身幅のサイズ感は、大きく分けると、狭い、普通、広いの3通りです。
和服は平面的であるのに対して、洋服は立体的と作りの違いから、和服と洋服ではフィット感やシルエット、着心地などが異なります。
ジャストサイズといっても、身体のラインが出そうなほどぴったりとした小さい服が好きな方やゆったりとした大きい服が好きな方など、着用感には好みがあり、どんなサイズ感の服が好きかは、人それぞれです。
和服と洋服の主な部位の測り方の違い
和服と普段着なれた洋服では、同じ名称であっても、各部位の測り方に違いがあり、混同しやすいかもしれません。
ここでは、和服と洋服の違いについて、比較しやすいよう部位別にまとめましたので、ジャストサイズの着物選びの参考にしてください。
・和服
振袖や留袖、訪問着、色無地、小紋、紬、浴衣、男性用の羽織など
・洋服
コート・ジャケット・ブルゾンなどのアウター、カーディガン・長袖や半袖のTシャツ・ブラウス・ニット・フード付きのパーカーなどのトップス、女性用のワンピースなど
和服と洋服における主な部位の測り方の違い一覧表
和服と洋服における主な部位の測り方の違いについて、一覧表にまとめました。
| 部位の名称 | 和服 | 洋服 |
| 身幅 | 胴周りで一番太い部分の横の直線距離 | 左脇の付け根の下から右脇の付け根の下までの幅 |
| 肩幅 | 背縫いの中心から袖の付け根までの長さ | 左肩の付け根から右肩の付け根までの直線距離 |
| 着丈 | 着物を着用した後の背中心から裾までの縦の長さ | リブを含む首のバックネックポイントから裾までの縦の距離 |
| 身丈 | 着物の縦の距離で身長と同じ丈が目安 | リブは含まない首の付け根の中央から裾までの縦の長さ |
| 袖丈 | 肩山から袖の先端までの直線距離 | 肩口から袖口までの横の長さ |
| 胸囲 | バストトップを通るように一周した場合の長さ | |
※女性が胸囲を自分一人で計測するのは難しいため、他の人に手伝ってもらうと安心です。
胸囲は、ブラジャーの形状によっても異なりますので、インナーやアウターなど通常服の下に着る下着を着用して計測すると、より正しい数値に近づきます。
服を探す際に、試着が可能であれば、実際に試着した上で購入するのが賢明です。
ジャストサイズの着物を選ぶポイントとは?
自分の身幅に合った着物は、きれいなシルエットや上品でおしゃれな印象に繋がる一方で、身幅の合っていない着物を選んだ際には、窮屈やカジュアル、だらしない雰囲気になりかねません。
自分の身幅に合った着物選びに失敗しないためにも、ぜひ知っておきたい大切なポイントを3つご紹介します。
着物を試着してサイズ感を確かめる
同じサイズ表記であったとしても、ブランドや会社、素材、厚みによっても作りや大きさが違ってくるため、身幅が異なり、フィット感や着心地が変わってくる場合があります。
豊富な着物がそろう実店舗で着物をレンタルしたり、購入したりする際には、スタッフにも身幅をチェックしてもらえるのが利点。
ネットショップでも、最寄りの実店舗や自宅で試着できることがありますので、可能な限り実際に試着した上で着物を選ぶとよいでしょう。
ジャストサイズの着物の身幅を測る
お手持ちの中に、自分のサイズにフィットした着物がある場合には、着物の寸法を測っていくのもおすすめです。
自分の身体ではなく、着物のサイズを計測する際には、床などの平らな場所に広げて置くのがうまく測るコツ。
凸凹した場所や着物を十分に広げて置けるスペースがない場合には、正しい寸法を測れませんので、ご注意ください。
モデルの体型や着用感を参考にする
カタログやサイトに着物が掲載されている場合は、単に着物の写真だけでなく、モデルが着物を着用している写真に加えて、サイズ表記、身長、スタイルなどモデルの情報も記載されていることが多いです。
モデルのイメージ画像が掲載されている時には、モデルの情報を参考に、サイズ感をチェックしておくと、着用後のイメージが湧きやすくなります。
身幅が合っていない着物で起こりがちなトラブルと対処法
身幅が自分のサイズに合っていないと、色々なトラブルに繋がる可能性があります。
身幅が合っていない着物を着ることで起こりがちなトラブルとその対処法について、詳しく見ていきましょう。
襟元が浮く
自分の体型に比べて着物の身頃が小さく、下前の長さが短いと、襟元が浮いてはだけやすくなります。
襟元が浮く際の対処法:伊達締めを高めの位置で結ぶ
身幅が狭い着物の場合は、身体のラインが出やすい上に胸元にゆとりがなく、衣紋を抜きづらくなるため、襟元が開きやすくなります。
長襦袢や着物の帯締めを結ぶ際に、通常よりも高めに締めると、胸元をきちんと固定でき、胸元がはだけにくくなります。
着物の裾が開く
自分の身体に対して着物の身頃が短い場合には、歩いていると裾が開きやすくなって歩きづらかったり、裾がはだけて肌襦袢が見えてしまったりする可能性があります。
着物の裾が開く際の対処法:下前と上前をあらかじめ縫っておく
着物の身幅が足りないために、着物の裾がはだけやすい時の有効な方法としては、下前と上前をあらかじめ軽めに縫っておくことです。
縫うことで、動きづらさを感じることがあるかもしれませんが、裾が大きくはだけるのは防げます。
ただ、下前と上前をあまり強く縫いすぎてしまうと、お手洗いに行ったり、歩いたりする際に窮屈に感じることがあるかもしれませんので、ご注意ください。
シワが入りやすい
自分の体型と比べた際に着物の身頃が長いと、生地が余ってしまうために、ダボつきやすく、シワが入りやすくなります。
シワが入りやすい際の対処法:シワをしっかりと伸ばす
下前やおはしょりの余った生地はしっかりと脇に寄せて折り畳んだり、長襦袢や着物の紐を結んだ後に紐の下に指を入れて左右の脇にシワを伸ばしたりします。
襟元のシワを防ぐために、下前の胸元の余った布を三角形にして折り上げる「三角上げ」を行うのがおすすめです。
三角上げの方法とは?
三角上げを行う方法は、次の通りです。
1. 襟元を左手で押さえつつ腰紐よりも上の位置にある下前の布を手に持つ
2. 紐を右手にかけてから下前の布を右腰の方向に向かって三角形に折る
3. 襟元を左手で押さえた状態で右手にある布を持ち上げて形をきれいにする
4. 三角形に折り上げた布を左胸の下に軽くはさむ
5. 余った布を下におろした後に形を整える
6. 三角の形が崩れないように気を付けながら腰紐を結ぶ
7. 三角上げがきちんとできていることを確認する
身頃が自分に合っていない着物でも、着付けでカバーできることもあります。
ただ、襟元や裾、おはしょりなどを普段よりも気にする必要があり、その分難易度が高くなります。
身幅が合わない着物を仕立て直ししたらいいのはどんな時?

身幅が合わない場合は、専門店に着物を出して、仕立て直しする方法があります。
身幅が狭い場合には縫い目を解いて着物の内側に入れてある生地を出す「身幅出し」を、逆に身幅が広い場合には生地の余った部分を縫い目の内側に入れ込む「身幅詰め」を行うのがおすすめです。
自分のサイズと着物のサイズの誤差が2cmから3cmほどであれば着付けでの調整が可能ですが、誤差が4cm以上もある場合は仕立て直しした方が、着物をきれいに着こなせます。
身幅が合わない着物を着付けで調整する方法とは?
着物は、洋服とは違って巻き付けて着用するのが特徴です。
そのため、多少の誤差であれば、着付けの際に調整できます。
身幅が合わない着物を着付けで調整する方法について、「身幅が狭い場合」「身幅が広い場合」に分けて、詳しく説明していきます。
身幅が狭い着物を着る場合の対処法!
身幅が狭い着物を着る場合の対処法について、解説していきます。
上前の右端を鎖骨あたりまで引っ張る
身幅が狭い着物を通常通り着付けた場合は、上前の脇線を身体の真横あたりに合わせた時に、上前の右端が腰骨あたりまでこないことが多いです。右端を手に持ち、鎖骨辺りまで引っ張ることで、正面からは美しく見えます。
ただし、右端を引っ張った時には、下半身の脇線と背中心は少しズレてしまいます。
「前身頃を合わせて脇線と背中心が少しズレる」、もしくは「脇線と背中心を合わせて前身頃が少しズレる」のどちらかを選ぶことになりますので、バランスよく調整してください。
両見頃に布を足す
着物の身幅が狭く、十分な幅の生地を着物に巻き付けられない場合は、前と後の両見頃に「足し布」をして、「身幅出し」するのも一つの方法です。
足し布をする際は、適当な大きさの共生地を用意して、前と後の見頃にそれぞれ縫い付けます。
どんなサイズの布が必要かは、着物の幅がどれくらい足りないかにもよりますが、通常であれば手ぬぐいの半分ほどの幅で大丈夫です。
下前の合わせ方を少なめにする
身幅が狭い着物を着付ける際に、あえて下前の重ね方を普段よりも浅めに合わせます。
その後、上前の布をしっかりと引っ張り、上前の幅を長くとるのが一般的です。
身幅が広い着物の着付け方とは?
身幅が広い着物の着付け方は、以下のようになります。
1. 着物を羽織る
2. 両方の襟先を持ち、裾の位置を決める
3. 上前を合わせる
4. 一度着物を開く
5. 下前を通常よりも少なめに巻きながら、褄先(つまさき)を少し持ち上げる
6. 上前の生地をしっかり引っ張って広げながら、上前の位置を決定する
7. 上前の褄先も少し持ち上げて、裾すぼまりにする
8. それぞれの位置がズレないように気を付けながら、腰紐を結んで固定する
身幅が狭い着物を着付ける場合は、「下前の合わせ方は普段よりも少なくすること」と「背縫いを少し左側にずらすこと」に注意しておくとよいでしょう。
基本的には、着物の全面で重なっている生地部分が通常よりも少ない状態ですので、歩いた時や座った時などにはだけやすくなっています。
着物を着た後に大股で歩くとより裾が開いてしまい、はだけてしまいますので、小股で歩くことを意識しておくのがおすすめです。
身幅が広い着物を着る場合の対処法!
身幅が広い着物を着る場合の対処法について、詳しく説明していきます。
余った布を脇で折り返す
身幅が広い着物を着付ける場合は、上前を普段通りに合わせた後に下前を合わせると、布が余っている分、前身頃が身体を覆いすぎてしまいます。
余った生地で身体を必要以上に包み込むと、足が開きにくくなり、窮屈になって歩きづらくなりますので、前はあまり巻き込みすぎず、脇で余った部分を手前に織り込んで幅を調整するのが定番です。
身幅が広い着物の着付け方とは?
身幅が広い着物の着付け方は、次のような手順になります。
1. 着物を羽織る
2. 両方の襟先を持ち、裾の高さを決定する
3. 上前を通常通りの位置で決める
4. 一度着物を開く
5. 下前を体に巻き込み、褄先(つまさき)を少し持ち上げる
6. 上前の高さを決める
7. 上前の褄先もやや持ち上げて、裾すぼまりの形に整える
8. 各位置がズレないようにして、腰紐を結ぶ
9. 後ろ側の余った布を脇の下に引っ張っていく
10. わきの下の余分な布を内側に折り込んで整える
身幅が広い着物の場合は、「下前を巻き込み過ぎないこと」と「脇で余った布を折り返すこと」に注意しておくと、スムーズです。
脇の折り返しを大きめにしすぎると、歩いている時に裏地が見えることもありますので、注意が必要になります。
※着付けを行う際には、全身が映る姿見の鏡を用意しておきましょう。
着物をきれいに着付けるための便利なアイテム

身幅が合っていない着物を着付ける際に、知っておくと便利なグッズについて、詳しくみていきましょう。
和装ブラジャー
着物を着る際には、洋服とは異なり、凸凹のない体型の方が美しく着こなせます。
和装専用の「和装ブラジャー」は、胸を優しく押さえ、胸をなだらかに見せてくれる和装小物。
胸をしっかりと押さえながらも、締め付け感が少ないのが特徴です。
補正パット
着物は、筒状の寸胴体型の方が似合うため、鎖骨の下などの胸元のくぼみやウエストのくびれも補正するのがベストです。「補正パット」は、鎖骨やみぞおち、腰などを簡単に補正できるように作られた厚手のパット。
補正パットを使わずに、三つ折りにしたタオルをV字型にして胸元にあてたり、二つ折りにしたタオルを腰に巻いたりする方法もあります。
コーリンベルト
「コーリンベルト」は、両側の端にクリップが付いたベルト。
長襦袢や着物を胸の下で留めることで、襟をしっかりと固定し、襟元をきれいに保つのに役立ちます。
ゴム製で伸縮性が高く、着る人の体型に合わせて長さを調整しやすいのが利点です。
今回ご紹介した便利グッズは、着物専門店やネットショップにも色々な種類がありますので、使いやすい人気の商品を見つけ、気軽に購入できます。
身幅の合った着物で素敵な着物コーディネートを実現!
着物を選ぶ際に、必ず知っておきたい寸法の「身幅」。
着物全体のシルエットや印象、着心地などにも影響を与えるほど、重要なポイントでもあります。
自分の適切な身幅を知ることで、より自然でおしゃれな着こなしに繋がりますので、自分に合った身幅の着物を選んで、素敵な着物コーデを叶えましょう。

