末広とはどんなもの?末広を使う場面や末広のマナーについて解説

 黒留袖と共に用いることが多い末広について、一体何のためにあるのか疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。帯に差さずに実際に使用する機会はあるのか、持ち方に決まりはあるのかなど、普段使わないものだからこそ、いざという時のために末広のマナーについて詳しく知っておきたいですよね。ここでは、末広とは何かという基本内容はもちろん、末広の使い方やマナー、他の扇子との違いなどについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみて下さい。

目次
  1. 末広とはどんなもの?
  2. 末広は祝儀扇の総称|「末広がり」の由来と縁起物としての意味
  3. 末広は礼装用小物の一つ|結婚式や卒業式など「場」に合わせた装い
  4. 末広はただの飾りではない
  5. 末広(祝儀扇)の種類
  6. 黒留袖用・五つ紋付き色留袖用の末広
  7. 色留袖用や訪問着などの礼装用の末広
  8. 男性用の末広|女性用との色・柄・サイズの使い分け
  9. 子供用の末広|七五三(七歳女児)特有の紐と房の装飾
  10. 子供用の末広|七五三(五歳男児)の凛々しい白扇
  11. 末広(祝儀扇・金銀扇子)の向きについて知る
  12. 末広の差し方・使い方
  13. 末広を差す位置と差し方
  14. 末広の取り出し方と戻し方
  15. 末広を用いた所作
  16. 挨拶の時(閉じたまま使用)
  17. 祝儀を渡す時(開いて使用)
  18. 入学式・卒業式や式典での具体的な所作
  19. 末広のマナーで気を付けたいこと
  20. 涼をとるために扇がない|実用的な扇子との用途・構造の決定的な違い
  21. 下に置かない
  22. 差す場所によっては縁起が悪い?
  23. 末広と混同しやすいお洒落扇子とは?
  24. お洒落扇子の特徴
  25. 涼を取ることも可能
  26. 小紋には合わせない
  27. 茶扇子と末広|お茶席での役割と「結界」としての所作
  28. 喪扇子と祝儀扇子の見分け方
  29. まとめ

末広とはどんなもの?

そもそも「末広」とは何か、なぜ「末広」と呼ばれているのかについて見ていきましょう。

末広は祝儀扇の総称|「末広がり」の由来と縁起物としての意味

末広は、おめでたい席に用いる紙扇(祝儀扇)の総称です。扇の形が末広がりということで大変縁起が良いことから、「末広」とも呼ばれ、今では、祝儀扇や祝儀用扇子、金銀扇子というよりも「末広」と呼ぶ方が多くなってきました。

「末広」には、「末永くお幸せに」という意味も込められており、大変縁起が良いものとして、お祝いの席には欠かせないものになっているのです。ちなみに、末広の地紙は必ず金銀で構成されていることから、末広を「金銀扇子」と呼ぶこともあります。

ところで、祝儀用の扇子以外の扇子も形は同じなので「末広」と呼ぶのかなと思われた方が居たかもしれません。確かに形は同じなのですが、「末広」と呼べる扇子は、あくまでも祝儀用の扇子(金銀扇子)に限り、他の扇子に関しては「末広」とは言いません。

末広は礼装用小物の一つ|結婚式や卒業式など「場」に合わせた装い

末広は祝儀扇ということで、礼装する際には礼装用小物の一つとして身に着けるのが良いとされています。特に、ミセスの第一礼装である黒留袖を着用する際には必ず末広を差すのが決まりとなっています。同様に、五つ紋付きの色留袖にも末広は必須です。

また、黒留袖や色留袖などの第一礼装以外でも、末広を差して、お祝いの席に出席することができます。三つ紋や一つ紋付きの色留袖、訪問着、付け下げ、一つ紋付の色無地や江戸小紋などの礼装用着物を着用し、結婚式や入学式、その他の式典に参加する際に末広を用いると、より一層お祝いの心を表す装いになるとされているのです。

末広はただの飾りではない

末広は、ただ帯に差しているだけの飾りなのでしょうか。末広を用いるシーンによっては、末広を帯から出さず、ずっと差しっぱなしで終わってしまうこともあるのですが、例えば新郎新婦の母親の立場で黒留袖に末広を差す場合、実際に帯から末広を出して使用することがあります。挨拶や一礼をする際、末広を持っているのであれば、帯から取り出し、帯の高さあたりに持って一礼をするというのが決まりになっているのです。
扇ぐ(あおぐ)用途は末広にはなく、茶扇子のように挨拶用に儀礼的に用いるためのものなのだと理解しておくと良いでしょう。

末広(祝儀扇)の種類

末広についての基本内容が分かったところで、次に末広の種類について解説していきます。男性用と女性用で異なるのか、女性用にもいくつか種類はあるのかなどをまとめています。

黒留袖用・五つ紋付き色留袖用の末広

末広の最もシンプルなものは、親骨が黒の漆塗りで地紙の表が金、裏が銀で構成されているものになります。逆に言えば、親骨が黒漆塗で中の地紙が金銀のものであれば祝儀扇、すなわち末広として用いることができるのです。

親骨は骨の文様に金色以外の加色が認められる場合は、末広ではなくお洒落扇子として用いるもの地色が必ず黒の漆塗りのものを黒留袖には用いますが、ここに金で文様が施されていても末広として黒留袖に合わせて用いることができます。ただし、文様は金一色のみが許されています。

もし親骨の文様に金色以外の加色が認められる場合は、末広ではなくお洒落扇子として用いるものになります。末広とは格が異なる普段使い用の扇子になるので、くれぐれも末広と混同しないように注意しましょう。

色留袖用や訪問着などの礼装用の末広

黒留袖に合わせる末広を色留袖や訪問着などの礼装着物に合わせて用いるのはダメなのかというと、絶対にダメということはありません。しかし、黒の漆塗りにゴージャスな金色の文様が描かれた親骨の末広は明らかに黒留袖用という華やかさがあるので避け、選ぶのであれば無文様のただの黒漆の親骨の末広にするのがおすすめです。

ところで、黒留袖に合わせることはできない、色留袖や訪問着用の末広というのもあります。これは親骨が白い漆塗や白い象牙で、地紙は黒留袖用と同じ金銀の地紙のものを使った末広になります。

色留袖の柔らかい色味に黒の漆塗りの末広というのは時に主張が強すぎると悩まれることもあるかもしれません。そんな時には白漆もしくは象牙の親骨末広を用いてみてはいかがでしょうか。

男性用の末広|女性用との色・柄・サイズの使い分け

女性用の祝儀扇があるのであれば、当然男性用の祝儀扇もあります。

男性の末広は、親骨が竹でできた竹骨を用い、地紙は裏表共に白色(白扇)とを基本としています。女性用が金銀の華やかな装飾を持つのに対し、男性用は凛とした潔さが特徴です。また、サイズも女性用より一回り大きく作られており、手に持った際の存在感や使い分けの基準となります。紋付羽織袴という男性の第一礼装にふさわしい格を持っており、お洒落用の扇子とは明確に区別されます。

男性の末広も女性の末広同様、扇ぐための扇子ではなく、挨拶などの際に儀礼的に用いるためのものになっています。

子供用の末広|七五三(七歳女児)特有の紐と房の装飾

女の子が七歳のお祝い着を着る際に、はこせこなどと共に末広も身に着けます。
七歳用の末広は、親骨が白色か黒色で、ものによっては金色の文様が入っていることもあります。そして特徴的なのが、紐と房です。扇子の要に紅白の紐が付けられ、その先には房も付けられているのです。このような装飾がある末広は七歳女児のお祝い着用の末広しかありません。紅白の紐はかなり長さがあるので、末広に巻き付けて短くしてから、帯に挟むことになっています。

子供用の末広|七五三(五歳男児)の凛々しい白扇

男の子が五歳のお祝い着を着る際、末広も身に着けます。五歳男児のお祝い着は、大人の男性の紋付羽織袴姿と同じものになりますが、末広も同様に大人の男性が用いる末広の子供サイズ版を用います。親骨は竹骨で地紙は裏表白色というシンプルな祝儀扇が男の子の持つ末広になるのです。

末広(祝儀扇・金銀扇子)の向きについて知る

末広は表が金色で裏が銀色になっています。末広は滅多に開いて用いることがないので、閉じている時の色、閉じていても見えている色に少し気を配った方が良いでしょう。

金が表でおめでたい色だから、末広を閉じていても金色が相手に見えるように帯に差して置けば良いと考える方は多いのですが、実は銀色を相手に見せるようにしておくのが正しいとも言われているのです。

結論から言いますと、末広を帯に差している時に、「必ず金色を見せなくてはいけない」や「必ず銀色を見せなくてはいけない」といった決まり事はありません。金銀どちらの面を見せていても問題はないのです。

ただし、銀色の面を相手に向けて帯に差しておく方が、末広を取り出す際に便利であるという利点があることから、銀色の面を相手に向けることを推奨される方は多いのです。

扇子は末広に限らず、開く際に表を上にして開きます。末広の場合は金の面が上になるように開くので銀面は下に向けて開くことになります。この動作を考えた時に、最初から銀面を相手側に見せた状態で帯に差しておくと、帯から取り出して扇子を開くまでの過程で無駄な動きが出ず、所作が美しくなるのです。逆に、金の面を相手に見せた状態で帯に差しておくと、取り出してから扇子を開くまでの動作に一度反転の作業が入り、無駄な動きに見えてしまうというのです。

末広では滅多に扇を開く動作というのはしませんが、まったくしないというわけでもありません。できるだけ無駄な動きをせず、スマートに見える美しい所作を見せる上でも、銀色を相手側に見せた差し方が推奨されているのです。

 一方で、末広を開いた際に、金が上になることから、差す際にも金を相手に見せるのが望ましいとすることもあります。また、金銀の帯締めを締める場合は金が左になるように締めるのが一般的な作法であることにちなんで、末広も金を相手に見せるように差すのが好ましいと考えられる方もいらっしゃいます。

このように、人によっても考え方や感じ方が異なることがあるので、末広の差し方で困った時には、親族で相談し、統一するようにすると良いのではないでしょうか。

末広の差し方・使い方

実際に末広を差す時はどこに差せば良いのか、どんな風に扇子を扱えば良いのかについて詳しく解説していきます。

末広を差す位置と差し方

末広を差す位置ですが、自分の左側、ちょうど帯の中心と帯脇の真ん中ぐらいの位置に末広を差します。
差す場所は、「帯と帯揚げの間」もしくは、「着物と帯揚げの間」です。差した末広がしっかり見えた方が良いということから、「帯と帯揚げの間」に差される方は多いです。しかし、この差す場所に関しては、必ずこの位置に差さなくてはいけないという決まりはないため、本来的にはどちらに差しても問題ないとされています。ただし、地域で決まりがあるという場合もあるようなので、気になる方は事前に親族の方と打ち合わせをしておくと安心なのではないでしょうか。

また、差す時は下衿の延長線上に沿うような感じにやや角度を付けて差すのが望ましいです。真っすぐ差してしまうと腕を動かした際に袂に末広の先端が引っ掛かって着物を傷付ける恐れがあったり、座ったり立ったりする際に自分に末広が突き刺さることがあったりするのです。見た目にも真っすぐというのはあまり美しくないので、やや斜めになるように帯に差しておくのがおすすめです。

末広の差し方についてまとめておくと以下の通りになります。

① 末広を差す位置は、自分の左半身の真ん中あたり

② 末広を差す場所は帯と帯揚げの間で、帯の上線から末広が3cmほど見えるように帯の中に差し入れる

③ 末広は真っすぐ差すのではなく、下衿の延長線上に沿わせる形で斜めに差す

④ 帯の下線から末広の持ち手部分が突き出ないように調整する

⑤ 末広を差す時、親骨が相手に見えるようには差さず、金面(表面)もしくは銀面(裏面)が相手に見えるように差す

ただし、銀の面を必ずしも相手に見せるように差さなくてはいけないというわけではありません。末広を開いた際に、金が上になることから、差す際にも金を相手に見せるのが望ましいとすることもあります。また、金銀の帯締めを締める場合は金が左になるように締めるのが一般的な作法であることにちなんで、末広も金を相手に見せるように差すのが好ましいと考えられる方もいらっしゃいます。

末広の取り出し方と戻し方

末広を取り出す際は、右手の3本指(親指・人差し指・中指)を使って末広の先端を持ち、2回ほどスッスッと引っ張り出します。いきなりスパッと取り出すのは品に欠けるので、小さな動作で美しく取り出してみるのがおすすめです。

末広を戻す際は、末広の要が下になるように立て、銀の面が相手側になるように扇子上部を右手3本指(親指・人差し指・中指)で持ち、帯の中に綺麗に差し入れます。この時、なかなか入らないからと力を掛けると末広が壊れてしまうことがあるので気を付けて下さい。

末広を用いた所作

末広の取り出し方や戻し方については、先ほど解説しましたが、実際に挨拶をする際の流れについてここで詳しくまとめています。一度練習をし、流れを確認しておくと本番も落ち着いて末広を使いこなすことができるようになりますよ。

挨拶の時(閉じたまま使用)

挨拶をする時の流れは以下の通りです。

①    右手3本指(親指・人差し指・中指)を使って末広の先端を持ち、2回ほどかけて引っ張り、帯から出す

②    右手を左手に持ち替えるように、左手で下から末広を支え、右手はそのまま末広に指を添わせながら要の方に手を移動させる(この時金の面が上を向いていることを目で確認する。)

③    末広の持ち手部分(要のある部分)を右手で上から優しく持ち、外側の親骨部分に人差し指を添わせ、帯の上線の高さを目安に持つ

④    そのまま一礼する

⑤    末広の要が下になるように立て、扇子上部を右手3本指で持って、帯に差し戻す。この時、銀面が相手に向いていることを確認する

祝儀を渡す時(開いて使用)

①    右手3本指(親指・人差し指・中指)を使って末広の先端を持ち、2回ほどかけて引っ張り、帯から出す

②    金が上になるように末広をゆっくり広げる

③    左手で扇子を持ち、右手で着物の懐から祝儀袋を取り出し、末広の上に置く

④    扇の親骨のみに触れながら、要を中心に右回転させるように、相手に対して祝儀が正面を向くようにする

⑤    一礼をして、祝儀を相手に渡す

⑥    扇の親骨のみに触れながら、要を中心に右回転させて定位置に戻す。金が上のまま扇を畳み、要部分が下になるように末広を立てる

⑦    扇子上部を右手3本指で持って、帯に差し戻す。この時、銀面が相手に向いていることを確認する

入学式・卒業式や式典での具体的な所作

入学式や卒業式といった式典では、基本的には帯に差したまま過ごすことが多いですが、式典の厳粛な場面や記念写真の撮影時には正しい持ち方で所作を行うことが求められます。特に卒業式では、保護者として出席する場合も、礼装としての末広があることで装いの格が整います。挨拶の際や証書授与を見守る際など、着席時や立食時の扱いについても、基本の所作をベースに落ち着いて振る舞うことが大切です。

末広のマナーで気を付けたいこと

ここでは末広に関するやってはいけない行為についてまとめています。

涼をとるために扇がない|実用的な扇子との用途・構造の決定的な違い

末広は実用扇子ではなく、儀礼的に用いる扇子になります。そのため、扇ぐということはしません。扇ぐために作られた扇子ではないので、扇ぐ行為を行うことで、地紙に傷が出来てしまったり、扇子の状態が悪くなったりしてしまうこともあるのです。

着物を着ているとどうしても普段以上に暑苦しさを感じてしまうことがあるかもしれません。そんな時でも末広は涼を取る扇子ではないので、開いて扇ぐということだけは絶対にやらないようにしましょう。

下に置かない

末広を下に置くというシチュエーションはそうそうないでしょう。しかし何かのタイミングでたまたま下に末広を置いてしまった、末広が何かの拍子に落ちてしまったということもあるかもしれません。うっかりそのままにしていると誰かに踏まれて末広が折れてしまうということも十分考えられます。末広は縁起ものなので、できるだけ大切に扱い、縁起をもたらしてもらえるようにしましょう。

差す場所によっては縁起が悪い?

末広を差す位置は、「帯と帯揚げの間」もしくは「着物と帯揚げの間」ということは先にも確認しました。ところが、「着物と帯揚げの間」に末広を差すという行為は、「間を割る」というネガティブな意味があると言われることもあるのです。

この説は地域によっても差があり、まったく気にしないという方もいれば、気にされる方もいます。末広を差す位置の絶対的なルールはありませんが、末広を差す位置一つで場の空気が悪くなるのは避けたいところでしょう。そのためにも、親族間で末広を差す位置、差し方についてよく相談し、統一させるようにするのがおすすめです。着付け師も末広のルールに関しては独自の見解を持っている方がほとんどなので、着付け師にお任せするよりもまず「親族で統一させる」というのを優先するとした方が良いのではないでしょうか。

末広と混同しやすいお洒落扇子とは?

扇子にも色々種類がありますが、末広と混同しやすいお洒落扇子についてここでは説明していきます。

お洒落扇子の特徴

お洒落扇子は、親骨が黒の漆塗りのもの、白の漆塗りのもの、象牙のものなどがあり、親骨だけで判断すると、末広にも見えてしまうものがあります。しかし、末広と決定的に異なるのはその地紙です。末広は地紙が金銀と決まっていますが、お洒落扇子の地紙は柄物になっているのです。地紙が柄の物は末広として用いることができないので、あくまでも普段用のお洒落扇子として用います。

お洒落扇子の親骨は無地の黒漆、白漆ものもありますが、文様が入っているものも多いです。中の地紙の文様に合わせたものが描かれていることが多く、さらに文様に色が入っていることもお洒落扇子の特徴と言えます。

涼を取ることも可能

お洒落扇子はフォーマルな場で用いる扇子ではないので、涼を取るために用いても問題ないとされています。着物や季節に合わせて文様を替え、風流な和装姿を楽しむというのも素敵です。

涼を取る際は、扇子の要部分を下から挟むように持ち、この時右手の親指を自分の側にします。そして、手首のスナップを効かせるように、ゆっくりパタッ、パタッと仰ぐと品が出て、和装に相応しい扇子の所作となるのです。
また、涼を取るためのお洒落扇子とするならば、少し大きめの6寸5分の扇子が良いでしょう。6寸や5寸5分の扇子よりも風が出ますよ。

小紋には合わせない

お洒落扇子は、フォーマル過ぎない訪問着、付け下げ、色無地などと共に用いるのが一般的です。小紋以下の格の着物は、お洒落扇子とは言え格が合わないので、一緒に用いない方が無難だと言えます。

もし小紋の時にも扇子を持ちたいというのであれば、帯に差すのではなく、バッグなどに入れて持ち歩き、涼を取るためだけに使うというのが良いのではないでしょうか。

茶扇子と末広|お茶席での役割と「結界」としての所作

茶扇子はお茶席で用いる扇子で、女性が用いる扇子の中でも小ぶりな部類に属します。茶扇子はお祝いの席以外のお茶会でも用いることができるので末広にはなりませんが、末広と似た役割も担っている扇子になります。

茶扇子は末広と同様、扇ぐための扇子ではありません。挨拶用に用いるための扇子で、茶席では特に「結界」を意味するために用いるとされています。相手との間に扇で仕切り(結界)を作り、相手よりも自分の方が下にいることを表し、これをもって相手への敬意を示すとされています。

これは、留袖姿で挨拶する際に、末広を自分の前に持って行う動作と同じ意味があります。相手よりも自分の方が一段下にいることを表し、来客に対して敬意を持って挨拶するという動作に繋がっているのです。

また、茶扇子も開いて用いることはほとんどありませんが、末広を開いて、お祝儀の台替わりに用いるように、茶扇子を開いて、お月謝の台替わりとして用いる流派もあるそうです。

茶扇子は末広とは異なり、地紙には柄が入っているのが一般的です。滅多に開かないものではありますが、四季に合わせて茶扇子の地紙文様を変えるのが、四季の移り変わりにも心を配る茶道の精神に通じてくると言われています。

喪扇子と祝儀扇子の見分け方

慶事用の扇子があるのならば、弔事用の扇子もあります。いわゆる喪扇子と呼ばれる弔事用の扇子は、お葬式やお通夜、法事などで用いられます。

喪扇子は親骨が黒色と決まっており、一見すると祝儀扇の黒骨と同じように見えてしまうかもしれません。しかし、よく見てみると喪扇子の方は艶消しが施されています。また、地紙は濃紺の無地というのが一般的なので、地紙の色を見れば一発で喪扇子なのか、祝儀扇子なのかを見分けることができます。

喪扇子も祝儀扇子や茶扇子同様、扇ぐための扇子ではありません。葬儀中、どんなに暑くても喪扇子を取り出して扇がないということはマナーとして覚えておくと安心です。

まとめ

末広について、末広とはどういうものなのか、どんなシーンで使えるのか、どんな種類があるのか、気を付けるべきことは何かなど、詳しく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

末広はこんなに奥深いものだったのかと思われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。末広の意味や使い方を理解した上で実際に留袖と共に用いるのは、末広を使った挨拶一つとっても、スムーズで上品な振る舞いに繋がるのではないでしょうか。ぜひ、留袖以外でも末広を合わせ、ワンランク上の和装を楽しんでみて下さい。

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