入学式と卒業式にふさわしい着物・訪問着について
おすすめの色柄と選び方のポイント、コーディネート実例も!
●前書き
入学式や卒業式は、お子様の成長を祝う大切な行事。お母様にとっても嬉しい記念日に、着物で装って思い出に残る一日にしたいとお考えの方はいらっしゃることでしょう。
入学式・卒業式には、お子様や家族と写真を撮る方が多いことでしょう。
この写真が一生の記念に、今後の折々に見返す思い出の写真となることを頭に置いて、着物選びを考えましょう。
普段あまり着物に馴染みのない方や、着物初心者の方向けに、入学式・卒業式の着物選びと選び方のポイントについてご紹介します。
●入学式・卒業式に付き添いの母親におすすめの着物の種類について
一般的に、お子様の行事に付きそう母親が着用するのに良い着物には、「付け下げ」、「色無地」、「訪問着」があげられます。
どのような着物なのか簡単に説明すると
色無地 → 黒以外の一色染めの無地の着物
付け下げ →反物を仕立てたときに、柄が上向きになる着物
あっさりした模様が多い
訪問着 → 胸、肩、袖、裾に、模様を絵のようにつなげて染めた着物(絵羽模様)
華やかな模様が多いが、多様な柄がある
洋服と違って着物は形が決まっているため、生地と柄の違いで、きものの種類(名称)が違ってきます。
それぞれの着物がどのようなイメージなのか、洋服にざっくり例えてみると
色無地(柄のない着物) → スーツ
付け下げ(あっさりした柄) → おしゃれスーツ、ワンピース、軽いドレス
訪問着(絵のようにつながった模様) → ドレス(軽めからゴージャスまで多様)
くらいの感覚です。
お子様の行事の付き添いの母親の装いとしては、以前は色無地や、付け下げを着る方が中心でした。近年は、「せっかく着物を着るならば、もう少し華やかに個性を表したい」と考える方が増えたようで、訪問着の人気が高まっています。もちろん今も付け下げや色無地を着られる方は見られます。

●訪問着とはどんな着物?
「訪問着」とは、主に胸、肩、袖、裾などに模様がつながるように染めた着物のことです。
着物の縫い目で模様が切れたり食い違いにならないように、あらかじめ仮に仕立てて(仮仕立て)、下絵を付けてから縫い目を解いて模様を染めて、その後仕立てて着物の形にします。社交用、訪問用など主に華やかな場面で着用される女性の着物です。
現在は結婚式のお呼ばれやパーティなどでよく着られています。
●付け下げとはどんな着物?
「付け下げ」とは、反物を仕立てたときに、模様が上向きに配置されるように染められた着物のことをいいます。
付けさげ、付下げ、付下、附下などと書くこともありますが、どれも「つけさげ」と読みます。
訪問着を簡略化したものともいえるため、付け下げは比較的シンプルな模様が多く見られますが、訪問着に近いような華やかな模様の付け下げもあります。
仕立てて着物の形になってしまえば、訪問着と付下げの厳密な区別はあまり必要ありません。
どこに着て行くのが適当なのかなどの判断は、色や模様の雰囲気で行います。
訪問着と同じように着用できますが、訪問着よりももう少し軽い場面や、控えめに装いたいときなどに着られることが多いようです。
●色無地・江戸小紋とはどんな着物?
「色無地」とは、黒以外の一色染めの無地の着物です。
無地とは言っても、模様を織り出した生地も使われます。
織り出された地紋が光の具合などで浮かび上がる華やかな色無地もあります。
遠目ではわからないほど細かな模様を一色で型染めした着物が「江戸小紋」です。
品良く控えめに装いたいときにぴったりの着物で、お茶会などでよく着られています。
●入学式・卒業式の母親の着物におすすめの色柄は?
訪問着といっても、とても豪華で華やかな印象のものから、シンプルな柄や、個性的で大胆な雰囲気のものまで多様です。
入学式・卒業式の主役は子供ですから、母親の着物には、派手過ぎないもの、学校行事という場になじむ上品な色柄の着物をおすすめします。

●入学式・卒業式の母親の着物におすすめの地色は?
着物を選ぶときに重要なのは地色選びです。
入学式・卒業式向きの地色に、特に決まりはなく、好みで選んでかまいません。
ただ、春の行事でもありますし、希望や未来を思わせるような明るくきれいな地色はおすすめです。
写真写りも良いでしょう。
例えば、淡いピンク、ブルー、黄色、緑、ベージュなどは、肌も明るく見えて、着る人を美しく見せてくれるでしょう。
洋服でもよく着る色を選ぶと、顔映りもよく、着ていても違和感が少ないと思います。
●入学式・卒業式の母親の訪問着の模様は?
着物の模様は、古典柄、伝統柄と呼ばれる、昔からよく染められてきた上品な模様がおすすめです。
吉祥模様と呼ぶおめでたい意味のある模様は、お子様の門出を祝う意味でもぴったりです。
一般的に着物は晴れの場所で着ることか多いので、おめでたい柄を染めてあるものはたくさんあります。
草花模様、牡丹、橘、貝桶、扇面、華文、七宝、おめでたい模様を集めた「宝尽くし」など、数限りないほどの種類があります。
●入学式・卒業式の母親が着るのに避けた方がよい着物や色柄とは?
とても大胆な印象のものや個性的過ぎる柄、金銀を多用したものなどは避けた方が無難です。
あまりに主張が強い柄や豪華な着物ですと、学校行事には過剰な印象を持たれるかもしれません。
また、春の学校行事で、春以外の特定の季節感の強い模様はおすすめしません(四季の草花など、複数の季節の模様が取り合わせてあるものは問題ありません)。
ご自身を思い切り輝かせる装いは、学校行事以外でのパーティやディナーなどで、思い切り個性を出して装う方が素敵です。
また、振袖、留袖はフォーマルすぎるので、入学式・卒業式の着物にはおすすめしません。
●入学式と卒業式の母親の装いの違い
入学式と卒業式で、母親の着物の違いの決まりは特にありません。お子様の学校や会場の雰囲気などを考えて、その場に合う上品な装いを目指すと考えます。
あえて言うならば、入学式はこれからのことを考えてやや控えめに奥ゆかしく、卒業式はその後にパーティなどがある場合もありますし、入学式より少し華やかめにして、お祝いの気持ちを表すのもよいと思います。
●入学式・卒業式の母親の着物に合わせる帯と選び方のポイント
訪問着に合わせる帯は「袋帯」が一般的です。
袋状に織り上げることからこの名で呼ばれています。
行事の付き添いはもちろん、式典やパーティなど、晴れの場所に着る訪問着には、一般的に金糸銀糸を使って古典柄を織り出した袋帯を合わせます。
着物に合わせると、華やかでおめでたい印象を演出できます。
色無地や付け下げを着るなら、袋帯か、格調のある「織りなごや帯」を合わせます。
つい着物選びばかりを考えがちですが、帯選びは装いの印象を左右する大切なポイントです。
帯の選ぶ場合は、着物が古典柄なら帯も古典柄にすると、装いのバランスが取れます。
帯の色はきものとの相性や着る方の好み・個性によって選びます。
袋帯の地色は、金地や銀地、淡色地を選ぶと上品に見えるので、定番の組み合わせです。
黒地など濃い色地の袋帯を合わせると、メリハリがついて個性を表せます。
また、華やかな帯を選ぶと装い全体も華やかになり、シックな帯を選ぶと落ち着いた装いになります。
袋帯を結ぶときは、「二重太鼓」と呼ぶ帯結びにします。
織りなごや帯の場合は「一重太鼓」で結びます。
●入学式・卒業式の母親の着物の小物選びのコツ
着物と帯の他に欠かせない小物が「帯揚げ」「帯締め」です。
帯あげは、前で帯の上端に収めて入れる薄手の布のこと。
帯締めは、帯の上に最後に締める紐です。
どちらも結んだ帯を安定させつつ、装いの彩りとなる役割があります。
晴れの場で着る訪問着には、金糸や銀糸を使った帯締めを使います。
帯あげは、淡い色合いの生地に、絞り入りやぼかし染、刺繍などをしたものがよく使われます。どちらも着物や帯とバランスの良い色を選びます。
半衿は白がすっきり見えておすすめです。
外出時のバッグは、帯地などで作られた和風用バッグもありますが、洋服用のバッグを使っても大丈夫です。
草履は金地・銀地の礼装・盛装用のほか、白や淡い色、着物に合った色のシンプルな草履も使えます。
学校行事の場ですから、髪飾りは華美でないものが似合います。指輪などのアクセサリーはシンプルなものがおすすめです。
●入学式・卒業式の母親の装いにおすすめしない帯の結び方と小物など
近年は、成人式の振袖には華やかな帯の変わり結びや、帯締め・帯揚げも変わり結びで装うことが流行しています。
しかし、子供や主役になる入学式・卒業式の母親の装いとしては、シンプルな帯結び、小物あしらいにするほうが上品に見えます。
自分で着つけをする以外のときは、着付け師さんには「入学式・卒業式に着る」ということを伝えて、シンプルに品良く着付けをしてもらうのがおすすめです。
●入学式・卒業式の母親の装いのポイントのまとめ
着物は決まりがあるために、逆にそこさえ押さえれば、その中で自由に装えるのが利点です。入学式・卒業式の母親の装いとして、以下のポイントを押さえておけば大きな間違いはありません。
・着物の種類は、訪問着、付け下げ、色無地(江戸小紋)
訪問着、付け下げの場合は、模様は古典柄、派手過ぎない印象のもの
・帯は金糸銀糸を使った古典柄の袋帯
・金糸銀糸入りの帯締め、調和のとれた色の帯あげ
きれいに装ったお母様は、お子様にとっても嬉しく、記憶に残ることと思います。
入学式・卒業式で着るためにちょうどよい着物や帯を持っていない場合や、コーディネートに自信がない場合は、レンタルの利用もおすすめです。着る目的を告げて相談できますし、好みの着物を選べば、それに合わせた帯や帯締め・帯揚げがセットで借りられる場合もあります。賢く利用して着物での記念日を楽しんでください。
