柄の特徴、製作方法、歴史について説明します!
●鹿の子模様とはどんな模様?
一般には中央に目のある並べた粒模様を指します。小鹿の背中の斑点模様に似たていることから名前が付きました。疋田(匹田)模様とも呼ばれ、疋田鹿の子など言うこともあります。
元々は絞り染ですが、染めで表されることも多く、刺繍、織りで表現されることもあります。
女性の着物、羽織、長襦袢、帯揚げ、浴衣、女児の着物や七五三の祝い着などの模様によく使われます。昔から親しまれてきた日本の着物の伝統柄のひとつです。
●鹿の子模様の特徴は?
中央に目のある丸や四角を一面に並べた模様が鹿の子模様です。形は丸いことも四角のこともあります。
鹿の子絞りを全面に施したものを「総疋田」「総鹿の子」と呼びます。
鹿の子絞りを一粒ずつ並べて形を表したり(一目絞り)、小さな形の中を鹿の子絞りで埋める模様もあります。
また、例えば振袖などの豪華な染め模様の構成要素のひとつとしても、鹿の子模様はよく使われます。
鹿の子模様自体には季節感はありません。
おめでたい伝統模様を表した華やかな着物の一部に、鹿の子模様が使われることはよく見られますが、鹿の子柄単独の場合は、吉祥模様の意味はあまり強くありません。
●鹿の子絞りの製作方法は?
鹿の子絞りは、薄手の生地を小さく糸で括って強く巻き締めてから、染色液に生地を浸して染めます。布が乾いてから糸を解くと、糸で括られた部分は染まらないため、鹿の背の斑点のように白い模様となって表れます。
立体感のある模様になるのが大きな特徴です。
生地を小さくつまんで細かく均一に絞るには熟練の技術が必要になります。職人が手作業で絞った総鹿の子絞りの着物は大変貴重で高価になります。
鹿の子絞りは、京都と名古屋の有松鳴海地域で作られています。今は中国での委託加工も行われています。
染めで鹿の子模様を表する場合は、鹿の子模様を型紙に彫り、上から染料を塗って表現します。手描きでも染められます。

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●鹿の子絞りと染め鹿の子の見分け方
鹿の子模様が、絞りであるか、染めであるか、見分けるのは難しくありません。鹿の子の粒が立体的であれば、糸で絞って作られた「鹿の子絞り」です。粒模様が平面であれば、「染め鹿の子(染め匹田)」です。
●鹿の子模様の歴史について
鹿の子模様は、絞り技法の鹿の子絞りに由来する模様です。
絞り染の歴史は古く、日本では6~7世紀頃から各地で絞り染が行われてきました。奈良の東大寺の正倉院の遺品には纐纈(こうけち、絞り染のこと)の古裂があり、「目結(めゆい)」と呼ぶ鹿の子絞りの古裂があります。当時の都であった奈良で制作されたと推定されています。
京都で絞り染が始まったのは平安時代で、有名な『枕草子』『源氏物語』の中にも、絞りの衣類が登場します。
江戸時代初期には、鹿の子絞りを用いた着物(小袖)が人々に大変好まれて流行します。しかし総鹿の子絞りは作るのに手間が掛かりとても高価であるため、1683年に出た奢侈禁止令で、総鹿の子絞りは禁止の対象になりました。しかしその後も鹿の子絞りの流行はあり、奢侈禁止令などもたびたび出されたことから、鹿の子絞りは根強い人気がありました。
また、鹿の子絞りの模様を模して型染で表現した「型鹿の子」「摺疋田(すりひった)もが盛んに行われるようになりました。
●鹿の子絞りの粒はつぶしていいの?
絞りの着物は、ふっくらとした模様の立体感が魅力です。
絞りの種類にもよりますか、クリーニングのときに粒を伸ばしてしまってはいけません。
もし鹿の子絞りの浴衣や着物にアイロンを掛ける場合は、あて布をして、スチームは使わずに、ごく軽く、絞りを潰さない程度に掛けます。
自分で上手にできる自信がないときは、専門家にお手入れを依頼しましょう。
●まとめ
迷う方がいるかもしれませんが、鹿の子、疋田、匹田はほぼ同じ意味で使われることがほとんどです。昔から日本人に愛されてきた伝統柄のひとつです。あなたの着物や和装小物の中に鹿の子模様を探してみましょう。
