おはしょりを整えることは、着物を美しく着る上で大切なポイントの一つであり、着付けで苦労しがちな工程の一つでもあります。
着物の素材によっても感覚が異なるため、おはしょりを整えることは、慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、何度も繰り返し行うことで、きれいに早くできることも夢ではありません。
今回は、おはしょりの歴史や役割から、おはしょりに関する悩みと解決法、おはしょりがきれいに見えるポイント、おはしょりをきれいに作るための便利グッズまでを、徹底的に解説していきます。
- 「おはしょり」とは?
- 「おはしょり」の歴史
- なぜ「おはしょり」が必要なの?
- 裾の保護
- 着丈の調整
- 着崩れの防止
- 「おはしょり」は着付けのどの段階で整えるの?
- 「おはしょり」をきれいに作るために知っておきたい「三角上げ」とは?
- 女性用の着物でおはしょりが必要ないのはどんな場合?
- 子どもや男性の着物にも「おはしょり」は必要なの?
- 男性の着物にも「おはしょり」は必要?
- 子どもの着付けにも「おはしょり」は必要あるの?
- 子どもの着物で「肩上げ」が必要ない場合は?
- 「おはしょり」がきれいに見えるための3つのポイント
- 衽線を合わせる
- 理想的な長さは5cm程度
- 右上がり?まっすぐ?
- 「おはしょり」の悩みと解決方法一覧
- 「おはしょり」が短い
- 「おはしょり」が長い
- 「おはしょり」がふくらむ
- 「おはしょり」が斜めになる
- 「おはしょり」がシワシワになる
- 「おはしょり」の悩み別解決法の一覧表
- きれいな「おはしょり」を作るのに便利な和装小物
- コーリンベルト
- おはしょり芯
- 着付けヘラ
- 「おはしょり」をきれいに整えて美しいきもの姿を実現!
「おはしょり」とは?
「おはしょり」とは、女性用の着物などの和服において、着丈を調整するために、腰部分で余った布をたくし上げて帯に挟んだ部分のこと。
着物を着付けた後に、帯の下から見えている部分です。
「おはしょり」は、ある部分を省いて簡潔にまとめるという意味を持つ動詞「端折る」に由来していて、漢字では「お端折り」と表記されます。
「おはしょり」の歴史
おはしょりを作る習慣が生まれたのは、明治時代ころと伝わっています。
江戸時代の初めころまでは、現在の男性用の着物のような対丈で着るのが主流で、身分の高い女性のみが着丈の長い着物を着用するのが一般的でした。
ただ、地位の高い女性はあまり動く必要がなかったため、動く際には裾を引きずって歩いていたとされています。
江戸時代の中期ころになり、裾をたくし上げて着物を着る習慣が庶民にまで広がりだしますが、おはしょりはまだ生まれていませんでした。
明治時代に入ると、女性の社会進出が進み、それに合わせて動きやすいように着丈を調整して着物を着るようになります。
そこで誕生したのが、おはしょりなのです。
なぜ「おはしょり」が必要なの?
女性用の着物を着る場合に、おはしょりを作らずに着ることもできます。
では、なぜあえておはしょりを作るのでしょうか。
ここからは、おはしょりの3つの役割について、ご紹介します。
裾の保護
裾が地面と擦れることによって摩擦で傷んだり、汚れたりするのを防ぐとともに、もし着物が傷んだ場合に切って仕立て直すための余白を取る役割があります。
着丈の調整
着物は、家族で代々受け継がれることも珍しくありません。身長の異なる人が着用する場合に、おはしょりで丈を調整する役割を果たしています。
着崩れの防止
おはしょりがあることで、安定感が増し着崩れが少なくなるとともに、もし着崩れてしまった時にも、手軽に直せるという役目があります。
「おはしょり」は着付けのどの段階で整えるの?
おはしょりをいつ整えるかを知るためには、まず着付けの流れについて理解しておくことも大切です。
着物の着付けの流れは、以下の10の工程に分けられます。
1.着物を羽織る
2.背中心を決める
3.床すれすれで裾線を決める
4.上前の位置を決める
5.下前の位置を決める
6.再び裾線を合わせる
7.腰ひもを結ぶ
8.おはしょりを整える
9.衿を整える
10.伊達締めを巻く
10の工程の中で、おはしょりを整えるのは、着丈を決めて腰ひもを結んだ後、衿を整える前です。
おはしょりがキレイになることで、衿も整えやすくなります。
ここでは、着物でのおはしょりの作り方についてご案内しましたが、和装用の下着である長襦袢の丈が長い場合も、おはしょりを作って長さ補正をしても大丈夫です。
「おはしょり」をきれいに作るために知っておきたい「三角上げ」とは?
一重ですっきりとしたおはしょりを作るために知っておくと便利な方法が、右前の腰ひもよりも上部にある布を右腰に向けて三角形に折り上げる「三角上げ」です。
三角上げの手順は、以下の通りです。
1.左手で衿元を押さえながら腰ひもよりも上にある右前の布を持つ
2.右手にひもをかけて右前の布を右腰に向かって三角に折り上げる
3.左手で衿元を押さえながら右手の布を持ち上げて形を整える
4.左胸の下に折り上げた三角の布を軽くはさむ
5.余った布を下におろして布を整える
6.身八つ口に手を入れて後ろ身頃の背中心から両端に向けて手刀を切る
※身八つ口…見頃の脇にあるあき部分のこと
※手刀を切る…手をそろえて横に動かすこと
7.手刀を切って前身頃のおはしょりも整える
8.身八つ口に手を入れ下前の衿を引いて整える
9.腰ひもを締める
10.最後に下前のおはしょりが三角形になっていることを確認する
女性用の着物でおはしょりが必要ないのはどんな場合?
礼装用の着物では、おはしょりを作るのが基本です。
そのため、カジュアルな場面で着用する際や、丈が短めの対丈仕立ての着物を選んだ場合には、おはしょりを作らずにそのまま着ることもあります。
子どもや男性の着物にも「おはしょり」は必要なの?
女性用の着物では、基本的におはしょりを作りますが、子供用や男性用の場合もおはしょりは必要なのでしょうか。
子どもと男性の着物のおはしょりについて、説明していきます。
男性の着物にも「おはしょり」は必要?
女性と男性では、着物の丈が異なります。
女性用の着物は着丈よりも長く作られているためおはしょりで丈を調整する必要がありますが、男性用の着物は身丈と同じ長さの「対丈(ついたけ)」で仕立てられることから、男性用の着物を着る際には、おはしょりを作る必要はありません。
男性用の着物では、一般的におはしょりを作りませんので、男性用の着物のサイズが大きく丈が長い場合には、余った布を腰部分で内側に折りこんだり、あらかじめ腰周辺で縫い上げたりして調整します。
子どもの着付けにも「おはしょり」は必要あるの?
着物を着る際に、基本的には、大人の女性であればおはしょりを作って、大人の男性であればおはしょりを作らずにそのまま着ます。
十三参りや七五三などで、子どもが着物を着る場合には、成長が早くすぐにサイズアウトしてしまいますので、性別に関係なく大きめの着物を買い、生地をつまみ上げて縫う「肩上げ(肩揚げ)」「腰上げ( 腰揚げ)」で丈を調整するのが主流です。
「肩上げ」は子どもの証であると同時に、子どもの今後の成長を願う縁起のよい行いとされています。
昔から、「肩上げをしない」ことは「これ以上成長しなくていい」に通じる縁起の悪いことと言われていますので、小学生までは少しだけでも肩揚げをしておいた方が賢明です。
腰上げをしておくことで、子どもが動き回ったり、走ったりした時に、着崩れしにくいという利点もあります。
子どもの着物で「肩上げ」が必要ない場合は?
子どもの着物で肩揚げや腰上げが必要ない場合は、主に以下の3パターンです。
・記念撮影の場合
・レンタル着物の場合
・ぴったりサイズの場合
写真館などで記念撮影だけを行う場合や子どもの着物をレンタルで借りた場合には、肩揚げや腰上げを行わずに、大人と同じおはしょりを作って着物を着るのが一般的です。
「おはしょり」がきれいに見えるための3つのポイント
おはしょりを作る際には、いくつかのポイントに気を付けておくことで、断然きれいに仕上がります。
おはしょりを整える時に押さえておきたい3つのポイントを、詳しくみていきましょう。
衽線を合わせる
衽線とは、左右の前身頃にある半幅の布部分「衽(おくみ)」と、袖と衽の間にある一番広い布部分「身頃(みごろ)」を縫い合わせた境目のこと。
おはしょりを整えた後に、上半身と下半身の衽線を合わせて、上下の線が真っすぐに繋がるのが理想です。
この時に、着物の柄や色のバランスも気にして調整すると、よりよいでしょう。
理想的な長さは5cm程度
おはしょりの一般的な理想の長さは、5~6cmほどです。
帯の下線から人差し指1本分ほどの長さを目安に考えるとよいでしょう。
ただ、おはしょりの長さは身長や好みによって異なるため、身長が160㎝以上ある場合は、おはしょりの長さが約6~7cmでもよいかもしれません。
右上がり?まっすぐ?
以前はおはしょりを右上がりにする「船底型」が主流でしたが、近年の着物雑誌ではおはしょりを一直線にする「まっすぐ型」が流行しています。
昔ながらの自然な形で着たい場合には「船底型」で、流行りを意識して着たい場合には「まっすぐ型」にするのがおすすめです。
「おはしょり」の悩みと解決方法一覧
今回は、特に多いおはしょりの悩みと解決法について、解説していきます。
「おはしょり」が短い
もともと丈が短い着物の場合や着付けた後に、おはしょりが短いと気づいた場合には、「腰ひもを通常よりも下で結ぶこと」をおすすめします。
腰ひもの位置を下げることで、その分おはしょりの長さは長くなりますので、おはしょりを長くしたい時には、骨盤くらいまで下げても良いでしょう。
また、少しだけおはしょりの長さを伸ばしたい時には、おはしょりを優しく下に引っ張る方法もあります。

「おはしょり」が長い
着丈の長い着物を着る場合や、着付け後におはしょりが長かった場合の対処法は、主に「帯にはさむ」「伊達締めで押さえる」「腰ひもを通常よりも上で締める」の3通りです。
・帯にはさむ
おはしょりが長い時には、おはしょりの上部をつまんで帯の下に入れ込むことで、楽におはしょりの長さを調整できます。
・伊達締めで押さえる
着丈の長い着物を着用する際には、伊達締めなど通常の腰ひもよりも幅の広い紐を使用することで、紐の幅だけおはしょりの位置が上がり、長さは短くなります。
・腰ひもを通常よりも上で締める
腰ひもを通常よりも高い位置で結ぶことで、必然的におはしょりは短くなります。
「おはしょり」がふくらむ
おはしょりがふくらんでしまった場合には、不格好に見えかねません。
おはしょりがふくらんだり、ゴワゴワしたりする時には、おはしょりの生地が重なっている可能性が高いですので、生地を一重にするための「三角上げ」を行うことで、悩みが解消します。
「おはしょり」が斜めになる
おはしょりが斜めになる場合の多くは、左下がりです。
おはしょりが斜めになってしまった時の対処法としては、左下がりなら右側、右下がりなら左側という風に、下がってしまった方の腰ひもを少しずつ高く上げることで水平になります。
長くなってしまった方のおはしょりを腰ひもにはさみこんで、真っ直ぐに整える方法でも構いません。
「おはしょり」がシワシワになる
おはしょりがシワシワになってしまうことも、よく聞くお悩みです。
おはしょりにシワが入ってしまった時には、帯の下に手を入れスライドさせながら、おはしょりの余っている部分を脇に寄せることで、生地のシワが伸びます。
脇に寄せた後に、余った布をしっかりと持ち上げて折り込むと、よりおはしょりがきれいになりますので、おすすめです。
「おはしょり」の悩み別解決法の一覧表
| おはしょりの悩み | 解決方法 |
| おはしょりが短い | ・優しく下に引っ張る・腰ひもを通常よりも低い位置で結ぶ |
| おはしょりが長い | ・帯にはさむ・伊達締めで押さえる・ひもを通常よりも高い位置で締める |
| おはしょりがふくらむ | ・三角上げを行って生地を一重にする |
| おはしょりが斜めになる | ・下がってしまった方の腰ひもを高くする・下がってしまった方を腰ひもにはさむ |
| おはしょりがシワになる | ・手をスライドさせて余った布を脇に寄せる |
きれいな「おはしょり」を作るのに便利な和装小物
コーリンベルトやおはしょり芯などのアイテムを用いることで、より手軽におはしょりをきれいに整えられるようになります。
便利な和装小物をうまく利用して、おはしょりをきれいに整えましょう。
コーリンベルト
「コーリンベルト」とは、両端にクリップが付いたゴム製のベルトのこと。

おはしょりを作る前に、胸ひもではなくコーリンベルトで下前の衿と上前の衿を留めることで、きれいな衿元が簡単に作れる上に、おはしょりが整えやすくなります。
伸縮性のあるコーリンベルトを使用することで、着付け後の締め付け感が少なくなるのも良い点。
おはしょりの少し上にベルトがくるように締めるのが、おはしょりをきれいに整えるポイントです。
おはしょり芯
「おはしょり芯」は、着付けの際に使用するだけできれいに仕上がるおはしょり専用の和装小物。
特別な技術は必要なく、ただ芯をおはしょりに入れておくだけですので、初心者でも安心です。
軽いながらも丈夫な作りの芯は、適度にしなやかさがあるのが特徴で、屈んだり、座ったりなどの動作の時にも違和感なく体にフィットするという優れもの。
小紋や紬などのおしゃれ着や普段着の和服から成人式の振袖をはじめとするフォーマルの衣装まで、幅広く使用できます。
着付けヘラ
「着付けヘラ」は、おはしょりの線を簡単にキレイに整えるためのアイテム。
日本製のヘラや使い勝手のよい木製のヘラ、おしゃれな黒色のヘラなど、色々な種類がそろっています。
着付けヘラは大小二本組になっていることが多く、おはしょり以外にも枕帯の紐や帯揚げを入れ込む際にも利用可能です。
二本入りの場合には、大きなヘラは自宅用に、小さなヘラは携帯用に最適。
小さなヘラを持ち歩いて、外出先で着物や帯のシワをさっと取れるのも魅力です。
「おはしょり」をきれいに整えて美しいきもの姿を実現!
今回の記事では、おはしょりをきれいに見せるポイントや美しく整える方法、お悩みと対処法などについて、説明しました。
おはしょりをきれいに整えることで、着崩れがしづらかったり、着丈を自分のぴったりなサイズに調整できたりと、とても美しいきもの姿に繋がります。
「京都きもの市場 着物宅配レンタル」は、日本有数の着物通販サイトと東京などで実店舗も手掛ける「京都きもの市場」が運営する着物宅配レンタルサイトです 。
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この記事を参考に、「京都きもの市場 着物宅配レンタル」で見つけたお気に入りの着物のおはしょりをきれいに整えて、美しいきもの姿を実現してください。
