「八掛(はっかけ)」は、袷の着物の衿先や裾などに縫い付ける裏地。
幾つかの種類があり、表地の色や素材などに応じて選ぶ必要があります。
今回の記事では、八掛の種類や役割、八掛と胴裏の違い、八掛の選び方などについて、詳しくご紹介します。
- 八掛とは?
- 八掛の歴史
- 八掛の役割とは?
- 裾や袖口の保護
- 裾さばきの良さ
- おしゃれ度向上
- 八掛の種類
- 八掛の種類と主に用いられる着物
- 袷でも涼しく着られる胴抜き仕立てとは?
- 八掛の付いていない着物はあるの?
- 夏用の着物にも裏地はあるの?
- 単衣や薄物向きの裏地の種類とは?
- 混同しやすい八掛と胴裏の違いとは?
- 裏地の色合い
- 裏地が担う役割
- 裏地を付ける場所
- 裏地が見えるか見えないか
- 男性用の着物にも八掛はあるの?
- 失敗しない八掛の選び方とは?
- 素材
- 色
- シーン
- 八掛のメンテナンス方法とは?
- 着用後のメンテナンス
- シミのメンテナンス
- ほつれや破れのメンテナンス
- 着物の雰囲気ががらりと変わる!八掛の取り替えとは?
- 八掛を取り替えるメリットとは?
- 着物を長く着用できる
- 機能性を向上させられる
- 自分の好きなデザインを選べる
- 八掛付きの着物が充実した「京都きもの市場 着物宅配レンタル」!
- お好みの八掛を選んで自分らしいおしゃれな着物コーデを!
八掛とは?
「八掛(はっかけ)」とは、着物の裏に取り付ける布のこと。
七五三の三つ身や四つ身など子ども用の着物をはじめとする女性用の着物に付けられていて、羽織の裏地として利用されることもあります。
衿先と衽(おくみ)、前身頃、後身頃の裾の部分に、幅およそ37cm、長さ約3.8mのサイズの布を、それぞれ2枚ずつの合計8ヶ所に8枚用いていることに由来。
現在では、8カ所に加えて、左右の袖口の裏にも付けるのが一般的です。
関東では、裾に八掛を付けることにちなんで、「裾回し(すそまわり)」と呼ばれることもあります。
着物の部位の説明
・衿先(えりさき)
衿先は、着物の衿の一番下、先端部分のことを指します。
・衽(おくみ)
衽は、前身頃と衿に接した部分で、衿から裾にかけての細長い部分です。
・前身頃(まえみごろ)
前身頃とは、袖と衽にはさまれた前面を覆う部分のこと。
・後身頃(うしろみごろ)
後身頃は、袖と衽の間にある背面の部分です。
八掛の歴史
八掛が誕生したのは、江戸時代のこと。
発祥の理由については、諸説ありますが、現在有力視されているのが2つの説で、一つが贅沢禁止令の発令されていた当時にお金に余裕があった町人が目立たない箇所でお洒落を楽しんだ説。
もう一つが、着物の長い裾を引きながら歩いていた芸者たちが動いた時にちらりと見える裾でお洒落を楽しんだ説です。
元々は、装飾的な意味合いが強かった八掛ですが、着物の移り変わりとともに役割が変化していき、現在では着物が傷むのを防ぐ役割も果たしています。
八掛の役割とは?
八掛の重要な3つの役割について、詳しく説明していきます。
裾や袖口の保護
袖口や裾は他の部位と比べると、物や床と当たったり、擦れたりして傷みやすい部分です。袖口や裾の裏に八掛を付けることで、厚みがでて丈夫になり、生地が傷みにくくなります。
裾さばきの良さ
裾周辺に裏地を付けることによって肌触りがなめらかになり、着付け後は足まわりに布が巻き付くことなく、動いたり、歩いたりする際の裾さばきが格段によくなります。
おしゃれ度向上
袖や衽、襟先などに八掛を取り付ける場合は、さりげなく見えるように1~2mmほど出すのが通常です。柄や色など、着物を引き立てるようなデザインの八掛を選ぶことで、おしゃれ度の向上に効果的です。
八掛の種類

八掛の種類は、主に「共八掛」「柄八掛」「精華八掛」「駒(紬)八掛」などの種類があり、「精華八掛」「駒(紬)八掛」は、さらに「無地八掛」「ぼかし八掛」の 2種類に分かれます。
・共八掛(ともはっかけ)
表の生地と同じ生地や色を使用して作った八掛。主に訪問着や留袖などのフォーマルな着物に用いられます。
・柄八掛(がらはっかけ)
柄が描かれた八掛のことで、大きく分けると小紋柄のように全体に柄がデザインされたものと、ワンポイントで柄がデザインされたものの2種類があります。フォーマルな場面には適しておらず、カジュアルな着物向きです。
・精華八掛(せいかはっかけ)
主に色無地や訪問着、小紋などの染めの着物に用いられる八掛です。色無地や訪問着は、八掛が付いているものと付いていないものがあり、共八掛や綸子の八掛を希望する場合は、購入時に付属の有無を確認しましょう。
・駒八掛(こまはっかけ)
主に、大島紬や結城紬などの紬やお召しなど織りの着物に合わせる八掛。先染めの駒糸を使用するのが特徴です。
・無地八掛(むじはっかけ)
柄や文様が一切入っていない無地の八掛で、八掛の中では最も定番です。カジュアルな着物に付けられることが多く、留袖や訪問着などにはあまり使われません。
表地が色の薄くて透けてしまいそうな場合には、あえてぼかし八掛を使用することもあります。
・ぼかし八掛(ぼかしはっかけ)
上から裾にかけて色の濃淡に変化をつけながら染めた「ぼかし染め」を生かした八掛です。白地と地色の境目の部分をぼかしていることから、透ける心配がありません。
八掛の種類と主に用いられる着物

八掛の種類と主に使用される着物を、見やすいように表にまとめました。
| 八掛の種類 | 主に使用される着物 |
| 共八掛 | 振袖・訪問着・留袖・色留袖 |
| 柄八掛 | 小紋・付け下げ・紋なし色無地 |
| 精華八掛 | 色無地・訪問着・小紋 |
| 駒八掛 | 大島紬 ・ 結城紬 ・ 塩沢紬 |
| 無地八掛 | 黒留袖・色留袖・振袖・訪問着以外の着物 |
| ぼかし八掛 | 小紋・付け下げ・紋なし色無地 |
袷でも涼しく着られる胴抜き仕立てとは?
通常、裏地のある袷は春や秋、冬に適した着物であり、着用時期は10月から翌5月くらいまでとされています。
ただ、温暖化が進む近年では、5月でも単衣を着用したくなるほど暑い日も珍しくありません。
そんな時におすすめの仕立て方が、「胴抜き仕立て」です。
「胴抜き仕立て」とは、袷の着物の仕立て方の一つで、文字通り胴裏と呼ばれる上半身の裏地を抜いた仕立て方のこと。
袖や裾まわりには通常通り八掛が付いていることから、着物を保護することや裾さばきを良くすることなど、八掛の利点はそのままに、胴部分の布がない分涼しく着られると評判の仕立て方なのです。
八掛の付いていない着物はあるの?

着物を仕立てる方法としては、裏地のある 「袷(あわせ)」 か、裏地のついていない 「単衣(ひとえ)」 と 「薄物(うすもの)」 かに大別できます。
八掛は袖部分や裾部分の裏地になりますので、袷の着物にはありますが、単衣と夏物の絽や紗といった薄物など裏地のない着物にはありません。
夏に大活躍の浴衣も夏用の着物になりますので、八掛は付いていません。
夏用の着物にも裏地はあるの?
夏用の着物は基本的に生地が薄いため、インナーが透けるのを防いだり、着物への負担を少なくしたりする目的から、単衣や薄物の着物にも「衿裏」「背伏せ」「居敷当て」「肩すべり」といった裏地が付いていることがあります。
単衣や薄物向きの裏地の種類とは?
八掛以外の、衿裏や背伏せなど単衣や薄物の着物向きの裏地についても、説明します。
・衿裏(えりうら)
着物の裏側に取り付ける布で、着崩れを防止したり、襟の形をきれいに保ったりする役割を担っています。
・背伏せ(せぶせ)
背中の真ん中にあたる背縫いを覆うように縫い付ける布です。立ったり座ったりと負担のかかりやすい背中の破れやほつれを防ぐ役目があります。
・居敷当て(いしきあて)
後ろ身頃の下半身に付ける布。腰やお尻部分を強化することによって、下着が透けるのを防いだり、お尻の縫い目が裂けるのを防止したりします。
・肩すべり(肩すべり)
肩部分に縫い付けた布で、肩のすべりが良くなることにより、着物の脱ぎ着が楽になったり、着物が体に引っかかったりするのを防ぎます。
混同しやすい八掛と胴裏の違いとは?
着物の主な裏地には八掛と胴裏があり、混同する方も少なくありません。
間違いやすい八掛と胴裏の違いについて、詳しくみていきましょう。
裏地の色合い
八掛は無地から柄物まで幅広いデザインがあるのに対して、胴裏はオフホワイトや白など無地のシンプルな色味がほとんどです。
裏地が担う役割
八掛は着心地の向上や着物を守る役割がある一方で、胴裏は着物を支えて着崩れを防止する役割があります。
裏地を付ける場所
八掛は身頃や襟、袖などに縫い付ける裏地で、胴裏は胸から腰にかけての胴体部分に付ける裏地です。
裏地が見えるか見えないか
八掛は裾や袖など動いた時にちらりと見えることがありますが、胴裏は表から見えることはほとんどありません。
男性用の着物にも八掛はあるの?
女性用の着物の場合は、襟先や袖口など必要な部分に八掛の裏地を縫い付けるのが一般的ですが、男性用の袷着物の裏地は女性用とは作りが異なります。
男性用の着物の場合には、八掛ではなく、「総裏 (そううら)」や「通し裏 (とおしうら)」と呼ばれる八掛と胴裏を兼ねた1枚の生地を裏地として縫い付ける場合があります。
失敗しない八掛の選び方とは?
八掛を選ぶ際にぜひ知っておきたいポイントを、素材と色、シーンに分けて、詳しくご紹介します。
素材
絹の着物なら絹の八掛、紬の着物なら紬の八掛、綿の着物なら 綿の八掛、 ポリエステルの着物なら ポリエステルの八掛という風に、表の生地と同じ素材で裏地の八掛を作るのが定番です。
やわらかものの着物にはやわらかものの八掛を、かたものの着物にはかたものの八掛を合わせるのがポイントになります。
やわらかものの着物…絽・縮緬・ 綸子・羽二重
かたものの着物…紬・紗・お召し
色

八掛の袖口や裾はちらりと見える部分なだけに、表地と裏地の色の組み合わせが大切です。
一般的には、白やピンクなど淡い色合いが多く、フォーマルなシーンの着物は表地と同系色を、カジュアルなシーンの着物は表地と反対色や差し色を選んでおしゃれを楽しむのが良いとされています。
あえて八掛を華やかにしたときは長襦袢を控えめにしたり、逆に八掛を控え目にした場合は長襦袢を華やかにして遊んだりも可能です。
表地よりも華やかな色や柄の八掛を付けることを「裏勝り」と呼んでいて、表地と裏地の色が離れれば離れるほどおしゃれ度は高くなりますが、カジュアルな雰囲気も増しますので、注意が必要です。
八掛を着物と同系色のベースカラーにするもよし、着物と反対色のアクセントカラーにするもおすすめです。袋帯や名古屋帯、帯揚げ、バッグ、草履などの和装小物も含めた全体の色味を合わせることで、着物コーデがまとまりやすくなります。
どんな色にするか迷った場合には、着物に使用されている色の中から選ぶようにするとまとまりやすくなります。
シーン
フォーマルなシーンで着用する場合は、最高級の着物生地である絹100%の「正絹(しょうけん)」かつ着物の表地と同じ生地の「共八掛」付きの色無地を選ぶと安心です。
一方で、カジュアルな場面で着る場合は、化繊の着物は化繊の八掛、織りの着物は駒八掛、染めの着物は精華八掛といった具合に、表地と同じ生地で表地と反対色だったり、個性的な柄八掛だったりと、遊び心を加えておしゃれを楽しめる八掛付きの着物がおすすめ。
八掛のメンテナンス方法とは?
顔や首に触れやすい衿にはファンデーション汚れ、袖口には皮脂汚れ、裾には摩擦による擦り切れなどのトラブルがつきものです。
そのため、こまめな八掛のメンテナンスが必要になりますので、主なメンテナンス方法について、ご紹介します。
着用後のメンテナンス
着物を脱いだら、ブラシでほこりや汚れをとったり、十分に絞ったタオルで汗や水分を拭きとったりします。
着物を和装ハンガーにかけて直射日光が当たらない風通しのよい場所で、陰干しを行い、湿気を取ってから桐の箪笥や収納ケースで保管しましょう。
シミのメンテナンス
水や汗に濡れてしまったことや経年劣化してしまったことにより、八掛にシミができてしまうことがあります。
八掛を着物に縫い付けたままでの自宅でのシミ抜きは難しく、素人がしてしまうと、表に八掛の色が移ってしまったり、水洗いによって生地が縮んでしまったりすることにもつながりかねませんので、注意が必要です。
一旦気になる部分の八掛を解き、シミ汚れに合わせた方法で、慎重にメンテナンスを行ってください。
ほつれや破れのメンテナンス
八掛が擦れてしまうことにより、破れてしまったり、ほつれてしまったりする場合もあります。
そんな時には、もともとの八掛と同じ素材と色の布を用意した上で、同じ色の糸を用いて、元の縫い目に合わせて慎重に縫うのが一般的です。
八掛のほつれや破れがひどくなることで、着物を傷めることにもなりかねませんので、早めにメンテナンスすることをおすすめします。
絹や麻をはじめ着物には繊細な生地が多く、自分でメンテナンスを行うことでよりひどくなりかねませんので、慣れていない方は呉服店や着物専門のクリーニング店などのプロに任せるのが賢明です。
着物の雰囲気ががらりと変わる!八掛の取り替えとは?

着物を購入する際には、着物の生地である反物を注文して仕立てる場合と、すでに仕立て上がっている既製品を買う場合とがあります。
反物から着物を仕立てる場合には八掛を選べますが、既製品を購入する場合はすでに八掛が縫い付けられているため、選べません。
既製品の着物の八掛を自分好みのデザインに変えたい場合や、譲ってもらった着物のイメージを変えたい場合、経年劣化によって八掛が汚れた場合には、八掛の取り替えがおすすめです。
八掛を取り替えるメリットとは?
ここでは、八掛を取り替えることの3つのメリットについて、詳しく説明します。
着物を長く着用できる
例えば代々受け継がれる歴史のある着物であったとしても、八掛を新しくすることで、着物の雰囲気ががらりと変わります。新しい着物を着ている気持ちで、一つの着物をより長く着用できます。
機能性を向上させられる
八掛を取り替える際に、撥水加工をしたり、丈夫な生地を選んだりすることも可能です。以前とは異なる機能を追加することで、より機能性や利便性が高まります。
自分の好きなデザインを選べる
既製品の着物や譲り受けた着物など、自分の好みとは合わない八掛が付いていた場合でも、自分の好きなデザインや色の八掛に付け替えることで、より愛着が増します。
八掛付きの着物が充実した「京都きもの市場 着物宅配レンタル」!
「京都きもの市場 着物宅配レンタル」は、日本有数の着物の通販サイト「京都きもの市場」が運営する着物の宅配レンタル専門サイトで、振袖や訪問着をはじめとするあらかじめ八掛の裏地が縫い付けられたレンタルきものがそろっています。
着物の種類や色などの条件から検索することで、自分の目的に合う着物一覧がスムーズに表示されますので、初めて利用するお客様でも使いやすいと好評です。
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2万点以上もの着物関連の商品がそろう「京都きもの市場」にも正絹の八掛地や個性的な着物などの商品が並んでいますので、見逃せません。
公式サイトで、ご利用ガイドやよくある質問、支払い方法、会社概要などの詳細情報をご確認いただき、自分の好みに合う八掛付きの着物を見つけましょう。
お好みの八掛を選んで自分らしいおしゃれな着物コーデを!
八掛は、着物の裏地という普段あまり見えない部分の布でありながらも、全体のおしゃれ度や着心地の良さを左右するほど大切な部分です。
今回は、八掛の役割や種類から、間違いやすい八掛と胴裏の違い、選び方、メンテナンス方法まで、詳しくまとめました。
結婚式や伝統行事、特別なお出かけの際には、自分好みの八掛が付いた着物を着用して、自分らしいおしゃれな着物コーデを楽しんでください。
