着物を着る時に必要な肌襦袢とは?肌襦袢の意味や役割を詳しく解説

着物を着る際、和装下着、肌襦袢、長襦袢と、着物を着るまでにさまざまなものを身に着けます。そのため、長襦袢があるのだから肌襦袢はスキップしても良いのではないかと考えられる方も少なくありません。しかし、肌襦袢は着物を着る上で重要な役割があるため、できるだけ身に着けることが推奨されています。では、肌襦袢にはどんな大事な役割があるのか見ていきましょう。

目次
  1. 肌襦袢を詳しく知る
  2. 「襦袢」とは何?
  3. 肌着と肌襦袢は同義?
  4. 肌襦袢と長襦袢の違いとは?
  5. 肌襦袢は洋装でいうところのインナー
  6. 肌襦袢を身に着ける理由
  7. 着物を守る役目
  8. 着心地の快適さを守る役目
  9. 補正効果と着崩れ防止の役目
  10. 肌襦袢の素材と選び方
  11. 肌襦袢の素材
  12. 肌襦袢の素材の選び方
  13. 肌襦袢の形と選び方
  14. 肌襦袢の形状
  15. 肌襦袢の形の選び方
  16. 肌襦袢を装う順序
  17. まとめ

肌襦袢を詳しく知る

そもそも「肌襦袢」や「長襦袢」の「襦袢(じゅばん)」とは何を意味しているのでしょうか。ここでは、肌襦袢の意味について詳しくまとめています。

「襦袢」とは何?

「襦袢(じゅばん)」という言葉は着物用語の中でもよく聞くワードなのではないでしょうか。肌襦袢、長襦袢、半襦袢といった言葉で用いられていますが、この「襦袢」という言葉が何を意味しているのか気になる方もいらっしゃるでしょう。「襦袢」とは、「和装の下着」という意味です。元々はポルトガル語で「古代の胴着」を意味する同音の言葉に由来して、付けられたものだそうです。

すなわち、「肌襦袢」は「肌の上に着る和装の下着」、「長襦袢」は「長着の下に着る和装の下着」、「半襦袢」は「長襦袢の半分丈の和装の下着」という意味にそれぞれなるのです。

肌着と肌襦袢は同義?

肌襦袢は肌の上に直接着る和装下着ということが分かりましたが、それはつまり、肌着と同義であるということにもなります。人によっては「肌着」と表現される方もいれば、「肌襦袢」と表現される方もいますが、同じものを意味していると考えて差し支えないと言えるでしょう。

ただし、肌着は裾除けと呼ばれる下半身を覆う和装下着を含むものと解釈される方もいるので、その点は頭の片隅に入れておいた方が良いかもしれません。

肌襦袢と長襦袢の違いとは?

先にも触れたように、肌襦袢は、肌の上に直接着る和装下着であったのに対し、長襦袢は、長着すなわち着物、の下に着る和装下着であるということが分かりました。

また、肌襦袢は上に長襦袢や着物を着ることから、まったく外部から見えない状態になりますが、長襦袢の場合は衿のみ外部から見える状態になるといった違いもあります。夏に着る薄物であれば、透けて着物の下にはっきり長襦袢のシルエットを確認することもできますが、さらにその下の肌襦袢の確認まではできません。

肌襦袢は洋装でいうところのインナー

肌襦袢は直接肌の上に着る和装下着という表現をずっとしてきましたが、まったくの裸体の上に着るものでもありません。かつてはブラジャーを外して、裸体の上に羽織るのが望ましいとされていましたが、今では和装ブラジャーの上に羽織るものと認識されています。

それは、洋装でいうところのキャミソールやスリップに該当するものだと考えて頂ければ分かりやすいのではないでしょうか。

実際、肌襦袢の代わりにキャミソール(カップ無し)や薄手のTシャツ(カップ無し)を着られる方もいます。キャミソールは背中部分もあきがあるため、衣紋を抜いても見える心配はありませんが、Tシャツの類は後ろ衿がぴったり首につくタイプのものは衣紋抜きから見えてしまうことがあるので注意が必要です。また、袖の無いノースリーブタイプのキャミソールは脇汗をキャッチすることができないので、直接長襦袢に脇汗が付くことになります。シミにならないよう、着終わった後はしっかり乾燥させ、シミ抜き作業などの手入れをきちんとすることが大切です。

肌襦袢は洋装のインナーでも代用できないことはありませんが、やはり仕様が異なることから、肌襦袢の役目を全うできないデメリットはあります。その点は理解した上で、どうしても肌襦袢を調達できないなどの緊急事態の時だけに、洋装インナーで代用するようにしましょう。

肌襦袢を身に着ける理由

ここでは肌襦袢を身に着ける理由や意味について、肌襦袢の大事な3つの役目と共に解説していきます。

着物を守る役目

肌襦袢は直接肌の上に羽織ることで、汗や皮脂などの汚れを吸収し、着物が汚れないよう守ってくれています。着物は大体の物が正絹でできており、自宅で簡単に洗濯できないため、いかに汚さず使うかが、着物を長持ちさせる方法にもつながってくるのです。だからこそ、汗や皮脂汚れが直接着物について着物生地にシミを作ったり、ダメージを与えたりしないようにするためにも、肌襦袢を身に着けて守るということがとても大事になってくるのです。肌襦袢は自宅で簡単にお手入れができるので、汚れてもすぐに洗濯し、清潔な状態を保つことができます。

着心地の快適さを守る役目

肌襦袢は吸湿性、通気性に優れているため、着物の中が蒸れることを防いでくれます。これによって快適な着心地が保たれるので、暑い夏場でも問題なく着物を着ることができるのです。

また、肌襦袢には保温効果も期待できます。肌襦袢は長襦袢や着物とは異なり、身八つ口が広くないため、脇下がガバッと開いて冷えることはあまりありません。
冬場は肌襦袢の代わりにヒートテックのものを着るという方もいらっしゃいますが、ヒートテックでは温度調整が難しいというデメリットもあります。その点、肌襦袢は保温性も吸湿性も高く、肌馴染みも良いので、冬の寒いシーズンでも暖かく着物を着ることができるのです。

補正効果と着崩れ防止の役目

肌襦袢には補正効果も期待できます。着物が美しく装える寸胴体型の土台作りに肌襦袢は重要な役割を果たしてくれるのです。人によってはさらにタオルや綿花などでの補正が必要になってきますが、もしタオル補正などを肌襦袢無しで直接素肌に触れるように行うとなってはかなり違和感が生じるのではないでしょうか。補正も肌襦袢があるからこそ、滑らずにきちんとでき、さらには着崩れを防ぐ効果にも繋がってくるのです。

同様に長襦袢も、素肌の上に直接羽織るとなると衣紋の抜き加減がうまく調整できなかったり、衿が浮いてしまったりと上手に着ることができません。肌襦袢という土台があるからこそ、安心して衣紋を抜いたり、衿合わせをきちんと行ったりすることができるようになっているのです。

肌襦袢の素材と選び方

肌襦袢は素肌に直接触れるものです。肌が敏感な方は特に、自分に合った素材の肌襦袢を見つけることがとても大事になってきます。

肌襦袢の素材

肌襦袢の素材は主に自然由来の素材になっています。木綿100%のもの、麻100%のもの、麻と綿が混ざったもの、絹が混ざったものなどがあります。なかでも吸湿性に優れ、肌触りが良いと人気が高いのは木綿素材のものになります。生地質は、サラシ素材、ガーゼ素材、クレープ素材などがあり、季節によって着分けられているという方も多いです。

肌襦袢の素材の選び方

肌襦袢の生地素材の選び方は、ご自身との相性によるところが大きいのではないでしょうか。特に敏感肌の方は受け付けられない素材や肌触りのものなどもあるでしょう。洗いざらしでないとダメという方は、何度も洗濯して肌馴染みを良くしてから使うことをおすすめします。

肌襦袢の素材は基本が天然素材のものになるので、アレルギー反応が出るということはまずないと考えられています。しかし、なかには肌触りをよくする目的で多少の化繊素材が混ざっているものもあるので、購入前に必ず繊維や素材については入念に確認することをおすすめします。

肌襦袢の形と選び方

肌襦袢と一言で言っても、その形状はさまざまあります。ワンピースタイプのもの、二部式のものなど、着やすさ、装うシーン、装うシーズンなどに合わせて替えてみるのがおすすめです。

肌襦袢の形状

肌襦袢の形は大きく分けて2つあります。ワンピースタイプと呼ばれる上から下までのタイプと、セパレートタイプと呼ばれる上下二部式のものです。

①    ワンピースタイプの肌襦袢

このタイプの肌襦袢は、肌襦袢と裾除けが一体化されており、着脱が楽というメリットを持っています。特に、着物初心者の方、二部式が苦手な方におすすめです。

肌襦袢の長さはくるぶしが隠れないぐらいの丈感を目安に選ぶと良いでしょう。それ以上長いものを選ぶと、長襦袢や着物から肌襦袢が見えてしまう恐れがあるので気を付けて下さい。逆に短すぎると、裾の汚れが直接長襦袢に付いてしまうことがあります。特に汗をかきやすい膝裏がしっかりカバーされるぐらいの長さは確保したいところです。

ワンピースタイプの肌襦袢は色々な種類があり、布の重なりが少なく体のラインにフィットするタイプのもの、二部式の肌襦袢が長くなったタイプのワンピース式肌襦袢、スリットが大きくあってトイレも楽に行けるワンピース式肌襦袢など、豊富なラインナップがあるのです。気になる方はぜひ一度店頭で試着させてもらって着心地などを比較してみるのはいかがでしょうか。

②    セパレートタイプ(二部式)の肌襦袢

上半身は肌襦袢、下半身は裾除けを着けて装う、セットアップタイプの肌襦袢になります。セパレートタイプなので、上半身部分の着心地の調整ができるというのがこのタイプのメリットで、衣紋の抜き加減、身巾の締め付け感などの調整をすることができます。

ただし、衣紋部分の抜きが甘いと長襦袢や着物の衣紋の抜けた部分から肌襦袢が見えてしまうことがあるので、気を付けなくてはいけません。初心者の方でまだ衣紋の調整がうまくできないという方は無理に二部式にせず、ワンピースタイプで慣れるのも良いかもしれません。

肌襦袢の形の選び方

肌襦袢を選ぶ基準は、着やすさと着心地になります。できるだけ時間を短縮して着替えたいということであればワンピースタイプのものはおすすめです。しかし、フィットタイプのものは少なからず窮屈感があってイマイチと感じるのであれば、二部式のものを選び、自分が程良く感じる締め付け感で着付けていくのがおすすめです。

また、胸の豊かな方は胸を抑えるという意味でも、自分で締め付け具合が加減できるセパレート式の肌襦袢がおすすめです。ワンピースタイプのものは胸部分のホールド力に欠けるので、もし着用するのであれば、肌襦袢の上にさらに胸用の補正をすることをおすすめします。

最近では胸の豊かな人のための和装ブラ付きワンピース式肌襦袢というものも売られています。和装ブラで胸がしっかりホールドされるというのは着心地もぐんと良くなるので、長時間着物を着ないといけない時などにはとても重宝します。

肌襦袢を装う順序

ワンピース式の肌襦袢は頭から被って簡単に着られるので、着る手順を考える必要もありません。しかし、二部式の肌襦袢を着る際には、きちんと着る順番、着方を知っておく必要があるのです。

①    裾除けを身に着けてから、肌襦袢を羽織る。この時、後ろ衿は抜き気味に羽織るのがポイント。

②    右手で肌襦袢の右端、左手で肌襦袢の左端を持つ。

③    バストのトップをしっかり包み込むように、衿合わせをする。まず下前になる右手を左脇に差し込む。この時、手を前に引きすぎて後ろ衿の衣紋抜きがなくならないようにする。

④    左手を右脇に持っていき、上前を合わせる。バストが完全に包まれていることを確認する(上前、下前の重なり部分が綺麗な三角形になっていることを確認すると良い)。

⑤    後ろ衿の衣紋部分が、長襦袢の衣紋抜きから見えないよう、少し多めに抜いてあるか確認する。抜けていない場合は、左手で上前のバストトップ位置を、右手で下前のバストトップ位置を持ち、肌から浮かせて後ろに両手同時に送る。こうすることで、衣紋はより抜ける。

まとめ

肌襦袢とは何か、肌襦袢の役目とは何かということについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 

結局、肌襦袢は着なくても大丈夫なのかということですが、やはりできるだけ着た方が、着物も傷まず、着心地も良く、快適に過ごせるようです。浴衣の下に長襦袢は着ませんが、ぜひ肌襦袢を着けてから浴衣を着てみて下さい。着心地や快適さに差を感じることでしょう。

 肌襦袢も素材や形状がさまざまな商品が売られています。気になる方はぜひ違ったタイプも試していただき、着物を着るシーンや用途ごとに肌襦袢を着分けるというのもおすすめです。

和装に慣れるまでは、たくさん重ねて着るので辛いと思われることもあるかもしれませんが、より美しく着物を着こなすための必需品なので、ぜひ日々の着物の装いに肌襦袢をご活用ください。

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