近年は、大学の卒業式のみならず小学校の卒業式、中学校の卒業式などで袴や着物を着て出席する子供たちが増えてきました。それに合わせて、「せっかくの機会だから」と着物を着て卒業式に参列することを考えている保護者の方も多いかもしれません。大事な我が子の節目を祝う式典の場に着物を着るというのは大変相応しく、「着物を着てみようかな」とお考えの方は、ぜひこの機会に装ってみてはいかがでしょうか。
しかし、どんな着物が卒業式の席に相応しいのか、またどんな着物はNGになってしまうのか、着物のことが良く分からず不安という方もいらっしゃるでしょう。
今回は、卒業式に参列するにあたり、母親が装う着物について詳しく解説していきますので、参考にしてみて下さい。
- 卒業式は子供のための式典
- 卒業式に着る着物の選び方ポイント
- ポイント1:季節のルールを守る
- ポイント2:式典に相応しい格かどうか見極める
- ポイント3:着物の色柄が場にそぐうものか判断する
- 卒業式に装う着物は礼装用の着物
- 礼装用着物一覧
- 訪問着(準礼装)
- 付け下げ(略礼装)
- 一つ紋付き(背紋付き)色無地(略礼装)
- 一つ紋付き(背紋付き)江戸小紋(略礼装)
- 卒業式で着用する着物のスタイル提案
- 格を重視したい方向け着物コーディネートとは?
- 控えめに着物を装いたい方向けのコーディネートとは?
- 色で失敗したくない方向けのコーディネートとは?
- 礼装用の着物に伊達衿(重ね衿)は必要?
- そもそも伊達衿(重ね衿)とは?
- 卒業式に伊達衿(重ね衿)は付けても大丈夫?
- 卒業式で上品に装える伊達衿(重ね衿)の選び方
- 卒業式で伊達衿(重ね衿)を付ける際の注意点
- 梅柄の着物と桜柄の着物は着ても大丈夫?
- 着物の柄は季節を先取りしたものを取り入れるのはなぜ
- 着物の柄は必ずしも季節を先取りしないといけないのか
- 梅柄の着物は季節外れ?
- 桜柄の着物は季節がぴったり過ぎる?
- 卒業式に装う礼装用の着物に合わせる帯は袋帯
- 卒業式で着た着物を入学式に着るのはダメ?
- 卒業式で着た着物を入学式に着ても大丈夫
- レンタルを利用して違う着物を楽しむ
- 気を付けたい着物での振る舞い
- 姿勢に注意
- 椅子にはもたれないよう注意
- 足は開かないように注意
- 肘をみせないよう注意
- 歩き方に注意
- 足先(つま先同士)が開かないよう注意
- まとめ
卒業式は子供のための式典
卒業式にどんな着物を着て行くのが正解かということを考える前に、まず卒業式は子供のための式典であるということを心に留めておきましょう。つまり、子供が主役となるので、母親の装いは派手過ぎる主役級のものであってはいけません。主役である子供を引き立て、かつお祝いの席に相応しい華やかさと上品さがにじみ出る、少し控えめな装いをするのがおすすめです。
卒業式に着る着物の選び方ポイント

控えめでありながら上品な華やかさが出る着物というのが卒業式には相応しい着物であるということを確認した上で、さらに細かいルールや着物を選ぶポイントについてみていきましょう。
ポイント1:季節のルールを守る
卒業式や卒園式のシーズン(3月頃)は、袷(あわせ)の着物を選ぶのが一般的です。どんなに素敵な柄の着物であっても単衣の着物などは季節にそぐわない着物になるので、選ばないようにしたいところです。
ポイント2:式典に相応しい格かどうか見極める
卒業式という式典の席に列席するのに相応しい着物というのは、やはり格が高い着物になります。しかし、いわゆる第一礼装と呼ばれる黒留袖や五つ紋付きの留袖などは、主役級の着物になるため、結婚式など格の高い場には相応しいですが、学校の式典では格が高くなり過ぎてしまうため似つかわしくないとされています。主役はあくまでも子供であり、子供を引き立てつつ、式典に相応しい格がある着物を選ぶのがおすすめです。
以上を考慮に入れた上で、卒業式や卒園式に着用するにふさわしい着物は、訪問着や付け下げ、色無地、江戸小紋といった準礼装・略礼装の着物が適しているとされています。
しかし、それよりも格が下の着物はいわゆるカジュアル着に分類される着物になってしまい、式典などのフォーマルな席に相応しい装いとはまた異なってくるので、避けた方が無難です。
ポイント3:着物の色柄が場にそぐうものか判断する
着物の色味は控えめな色味が良いでしょう。洋装で卒業式に臨まれる保護者の服装は、紺やグレー、黒などのモノトーンカラーのスーツやワンピースが多いので、明るく派手な色味の着物はそれだけでかなり目立つことが予想されます。
さらに、原色に近い色味や人目を引く鮮やかな色味の着物は写真に写った際にもかなり目立ち、場合によっては主役をかすませてしまうこともあります。後々写真を見返した時に、「なんでこの時にこんな色の着物を選んでしまったのだろう」と後悔しないためにも、着物の色味はしっかり吟味して選ぶのが良いでしょう。
ちなみに、卒業式でよく目にする着物の色味としては、ベージュ系、くすみピンク系、淡いピンク系、グレー系、薄紫色系、薄青色系、紫色系、薄水色系、深緑色系、クリーム系などがあります。いずれも、控えめながら綺麗な色合いの着物といった印象のもので、一段階色味を抑えた着物を選んでおけばまず間違いはなさそうです。

柄は、可能であれば季節(春)の柄を取り入れると素敵です。お祝いの意を表したいということで吉祥文様や古典文様などが入った着物を選ばれる方もいらっしゃいますが、華やか過ぎる柄行の着物は目立つ可能性が高いので少し気を付けたいところです。
訪問着を選ぶ場合は、裾模様の華やかさよりも上半身部分の柄の見え方を気にしてみましょう。式典では座っている時間が長いので、裾模様はあまり目立たない代わりに、上半身部分の柄は目立ちます。上半身部分の柄が控えめであるのであれば、仮に裾模様が少し派手でも問題ないでしょう。
また、卒業式の服装に関しては和洋関係なく、参列される方の毎年の雰囲気というものに左右される部分があります。意外と明るめの地色の着物が好んで着られている卒業式というものもありますし、逆に和洋どちらでも暗めの色目で統一された厳かな卒業式というものもあります。周りの雰囲気に合わせたいという方は、事前に他の保護者の方にどんな服装で参列される予定か、毎年の卒業式の保護者の服装はどんな感じなのか相談してみても良いかもしれません。
卒業式に装う着物は礼装用の着物
卒業式は式典であり、厳かな場であるので、装う着物は礼装用のフォーマルなものが望ましいです。そのため、全体柄(いわゆるプリント柄)の小紋は避けた方が無難ですが、格の高い江戸小紋などは装っても問題ないとされています。
礼装用着物一覧
| 着物の種類 | 格 | 装える場やシーン | 雰囲気 |
| 訪問着 | 準礼装 | 結婚式/披露宴/パーティー/茶事や茶会/お見合いや結納/入園式や入学式、卒園式や卒業式(母親)/お宮参りや七五三(母親) | ・華やか・格調高い・優美・上品 |
| 付け下げ | 略礼装 | 結婚式/披露宴/パーティー/茶事や茶会/入園式や入学式、卒園式や卒業式(母親)/お宮参りや七五三(母親)/コンサート | ・品格がある・控えめ・上品 |
| 色無地 | 略礼装(一つ紋入り) | 茶事や茶会/結婚式や披露宴/不祝儀/入園式や入学式、卒園式や卒業式(母親)/お宮参りや七五三(母親) | ・シンプル・品格がある・控えめ・上品 |
| 江戸小紋 | 略礼装(一つ紋入り) | 結婚式や披露宴/お見合いや結納(付き添い)/茶事や茶席/パーティー/観劇/食事会/入園式や入学式、卒園式や卒業式(母親)/お宮参りや七五三(母親) | ・格調高い・品格がある・上品 |
訪問着(準礼装)


訪問着は礼装着物の中でももっともよく着られる着物ではないでしょうか。上から下まで全体に入っている絵羽模様は大変豪華で、式典やお祝いの席に装うのに相応しい着物と言えます。訪問着はものによっては豪華絢爛なものもあるので、色柄を良く吟味し、子供よりも派手にならないものを選ぶようにすると良いでしょう。
付け下げ(略礼装)
付け下げは訪問着を簡略化した着物とも言われる着物です。訪問着のような絵羽模様ではなく、飛び柄となっているため、訪問着ほどの華やかさはありません。少し抑えた装いを卒業式にはしたいと考えている方には付け下げがおすすめです。
一つ紋付き(背紋付き)色無地(略礼装)

色無地に一つ紋の背紋を入れることで略式礼装の格が出ます。色無地と一言で言っても、地紋があるものも多く、意外と地味には見えないというのが色無地の特徴になっています。訪問着や付け下げのような色付きの柄が入っていない分、華やかさには欠けるところがありますが、あくまでも子供の引き立て役に徹するという意味では、シンプルで素敵な装いになるのではないでしょうか。もし、無地で少し寂しいということであれば、帯の柄を少しインパクトのあるものにするなど工夫してみると良いでしょう。
ちなみに無紋の色無地はお洒落な外出着といった感覚になり、よりカジュアルに近い装いになります。卒業式に無紋の色無地ではダメなのかというと、実際無紋で色無地を着られている方も多いので、まったくダメということもありません。全体写真に写る際も後ろは写されないため、紋ありか紋無しかまで把握できないので、そこまで気にする必要はないでしょう。ただし、着物に詳しい方がいらっしゃると、無紋の色無地の格が分かってしまうので、可能であれば紋が入った色無地を礼装用の着物として着るのが望ましいと言えます。
一つ紋付き(背紋付き)江戸小紋(略礼装)
江戸小紋は小紋の中でもフォーマルに装うことができるものとして知られています。武士の裃に用いられたごく細かな柄が始まりとされていることもあり、細かい柄であればあるほど格が高いとされています。極小の柄になると遠目には無地に見えるほどで、小紋柄と気付かない方もいらっしゃるほどです
さて、江戸小紋にはいくつも洒落た柄があるのですが、中でも江戸小紋三役と呼ばれる「鮫」、「行儀」、「角通し」は格が高い柄と知られており、紋付きにして装うことで略式礼装の装いになります。卒業式に着てもまったく問題ない品格の着物になるので、江戸小紋をお持ちの方はこの機会にぜひ装ってみてはいかがでしょうか。
卒業式で着用する着物のスタイル提案
ここまで卒業式に着る着物の選び方や格について説明してきましたが、「結局どんな着物を選べば良いのか悩んでしまう」という方のために、志向別の着物スタイルの一例をご紹介させて頂きます。ぜひ参考にしてみて下さい。
格を重視したい方向け着物コーディネートとは?


着物や帯の格を重視し、礼装用の着物をきちんと着て、卒業式に出席したいという方には、訪問着と袋帯のセットがおすすめです。
訪問着は上半身に柄が多いと大変華やかな装いとなってしまうので、裾に柄が多く入っているものを選ぶと良いでしょう。
柄行は、吉祥柄や古典柄など格が高い文様を選ぶと、全体的に格が高い着物のコーディネートとなります。合わせる帯は、金糸や銀糸が使われた少し華やかなものを合わせると着物とバランスが釣り合います。
格はあるけれど柄の派手さは必要ないという方には、紋入り色無地がおすすめです。柄が無い分目立つことはなく、品格が際立つので、卒業式などの厳かな式典には大変ふさわしい装いの一つになります。色無地に合わせる帯には、格が高い文様が入ったものを選ぶのがおすすめです。
控えめに着物を装いたい方向けのコーディネートとは?
控えめに着物を装いたいという方で柄が入っている着物を装いたいという方には、付け下げがおすすめです。付け下げ訪問着は柄行が付け下げよりも派手になることが多いので、より派手さを抑えたいということであれば、付け下げ訪問着がおすすめです。
また、柄は全くいらないという方には色無地や江戸小紋がおすすめです。合わせる帯は、古典柄や吉祥柄が入ったものも素敵ですが、より控えめなコーディネートを目指したいのであれば、季節の柄が入った袋帯で装うのも素敵ですよ。
色で失敗したくない方向けのコーディネートとは?
着物の格の高さというのは、着物をよく知っている方にはすぐ分かってしまうものですが、着物に関する知識に明るくない方にとってはあまり気にならない部分でもあります。
しかし、服装の色味というのはどうしても目が行きます。洋装であれば濃紺が一般的である中でピンク色のスーツを着て卒業式に出席している人がいればかなり目を引きます。
着物は洋装のように色を他の人と統一させなくてはいけないということはありませんが、派手な色目はやはり目を引きます。できるだけ目立たないような色目を選び、失敗をしたくないという方におすすめなのは、くすみカラーの色味になります。
薄いベージュ系、薄グレー系、クリーム系の色味が地色の着物は、卒業式や入学式で装うにふさわしいです。派手過ぎず、控えめ過ぎるわけでもないので、年齢問わず、どなたにもおすすめです。
もし、周りの洋装の方と色目を合わせたいというのであれば、少し濃い色目のグレーや濃紺系、濃紫系の着物というのも良いでしょう。ただし、地色が濃くなると柄が目立ちやすくなるので、濃い色目の着物を選ぶのであれば色無地や江戸小紋にするのがおすすめです。
礼装用の着物に伊達衿(重ね衿)は必要?
卒業式で装う着物には伊達衿が必要なのか否か、気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、伊達衿(重ね衿)について詳しく解説しています。
そもそも伊達衿(重ね衿)とは?

伊達衿(重ね衿)とは、半衿と長着の間に重ねて用いる衿のことを言います。本来は、礼装の二枚襲(にまいがさね)や三枚襲(さんまいがさね)のように見せるために簡略化した手段だったのですが、今では振袖や訪問着、色無地と共に用いられることが多いです。
伊達衿は彩を添えるためだけではなく、良いことが重なることを祈念して装うことでお祝いの席を盛り立てるといった意味を含んだ装いにもなるため、特に結婚式などのお祝いの席では用いられる方が多いです。
卒業式に伊達衿(重ね衿)は付けても大丈夫?
卒業式はおめでたい席であるため、伊達衿を付けること自体に問題はないとされています。しかし、結婚式ほど華やかなシーンではありません。旅立ちを祝しつつも、お別れをする場でもあり、きらびやかに飾り立てるというのは母親の立場では少し控えた方が良いと言えるのではないでしょうか。このことを心に留めた上で、伊達衿を付けるのであれば、目立ち過ぎない、落ち着いたものを選んで付けるというのが、卒業式や入学式では望ましいと考えられています。
ちなみに、伊達衿は必ず付けないといけないというものではありません。むしろ、伊達衿を付けていないことで「あの方、伊達衿をお忘れになられているわ」ということにはまずなりません。伊達衿はあくまでも飾りの一つなので、無いことで気にする人はまずいないと考えて良いでしょう。しかし、伊達衿は付けていれば目立つので、「卒業式に伊達衿を付けている」と目を引くことはあると覚えておくと良いでしょう。
もし、無難に着物姿をまとめたいということであれば、無理に伊達衿を付ける必要はありません。
卒業式で上品に装える伊達衿(重ね衿)の選び方
卒業式に伊達衿を付けて、おめでとうの気持ちを表したいという方は、ぜひ伊達衿を付けて参列されて下さい。その際、派手過ぎる伊達衿、着物に対して反対色の伊達衿を選ぶのは避けましょう。あくまでお祝いの気持ちを重ねるという意味での伊達衿になるので、卒業式や入学式において派手さは必要ないと考えましょう。
では、どんな色目の伊達衿を選ぶのが良いのかというと、着物と同系色のものを選ぶというのがおすすめです。ただし、まったく同じ色味では伊達衿をわざわざ付ける意味がなくなってしまいます。伊達衿は同じ同系色でも少し濃い色味にして、着物から伊達衿へとグラデーションのようにしてみると、控えめでありながら伊達衿が付いていることも分かり、遠目からでも素敵に見える着物姿となります。
ちなみに、卒業式や入学式で伊達衿を付ける際には、あまり伊達衿の面積を広く取り過ぎないようにするのがポイントになります。1、2mm程度見えているだけでも十分なので、伊達衿を強調し過ぎず、上品に装うことを心掛けてみると良いでしょう。
卒業式で伊達衿(重ね衿)を付ける際の注意点
伊達衿を普段からよく用いられている方は、伊達衿がズレないようにするためのノウハウをお持ちでしょう。しかし、初めて伊達衿に挑戦される方や普段から着物をあまり着ないという方にとって伊達衿をきちんと着るというのはなかなか大変なことかもしれません。伊達衿を着付ける際、きちんとズレないようにするものですが、写真撮影やら子供の荷物の受け取りやら、何かと動く場面が多い卒業式では、いつの間にか伊達衿が乱れてしまっているということもあるのです。特に、伊達衿が乱れていることに気が付かずに集合写真に写ってしまうと、「なんで伊達衿なんか付けて行ったんだ」と後悔することになるかもしれません。
写真撮影前は特に伊達衿が乱れていないか、伊達衿の見え方が左右対称か、今一度確認しておくと安心です。
梅柄の着物と桜柄の着物は着ても大丈夫?

卒業式シーズンは、ちょうど梅のシーズンと桜のシーズンの間ぐらいにあります。着物は、季節を先取りした装いが趣深くて良いとされていますが、逆に咲き終わりの梅の花が入った着物を着ることには問題があるのでしょうか。
着物の柄は季節を先取りしたものを取り入れるのはなぜ
着物の柄は季節を先取りしたものを選んだ方が良いとされるのにはいくつか理由があります。その中でもっとも言われていることは、シーズンピークのお花と同じ柄模様がある着物を着てしまうと、本物の花に着物柄が負けてしまい、埋没してしまうからというものがあります。せっかくの着物姿をある程度際立たせるには、同じシーズンの花を選ぶよりもより先のシーズンの季節花などを取り入れ、次なる季節への期待感も一緒に表すのが良いとされているのです。
着物の柄は必ずしも季節を先取りしないといけないのか
着物の柄は季節を先取りして取り入れた方が良いと言われていますが、あまりにも先の季節の植物柄を装うのは季節外れと思われることもあり、基準が明確ではない分なかなか難しさを感じる方は多いようです。ここで今一度確認しておきたいのは、「着物の柄は季節を先取りしたものを選んで装う」というのは推奨されていることであって、絶対条件ではないということです。可能であれば、季節を先取りした装いが良いという話であって、絶対に守らなくてはいけないルールというわけではないのです。季節感をきちんと出した装いにしたいということであれば、大体そのシーズンに咲く花や有名な植物などの柄が入った着物にすればまず問題ありません。
梅柄の着物は季節外れ?

梅のシーズンは大体1月から2月とされているので、卒業式シーズンである3月にはちょっと遅い印象が出てしまうかもしれないと心配される方もいらっしゃいます。結論から言うのであれば、梅は吉祥柄の一つに挙げられる大変おめでたい柄なので、梅柄だけの着物というわけではないのであれば通年を通して、おめでたい席に装うことができます。
もし、ほとんど梅しかない着物ということであれば、帯に竹や松の柄が入ったものを選び、トータルコーディネートを「松竹梅」としてみれば、「梅の装い」から「おめでたい装い」へと変化させることもできます。もし、梅柄がメインの着物や梅だけの着物を卒業式に装うかもしれないという方は、合わせる帯の柄を工夫して、おめでたい柄の装いへとシフトさせてみましょう。
桜柄の着物は季節がぴったり過ぎる?
昨今の温暖化によって、桜の開花時期というのもだいぶ変わってきています。そのため、その年によって入学式に桜が満開になる時、卒業式に桜が満開になる時と、桜の開花シーズンと式典との関係も直前まで分からないことがほとんどです。また、地域によっても桜のイメージは異なります。例えば関東地方であれば桜と言えばどちらかというと入学式のイメージが強いですが、関西地方では卒業式のイメージの方が強いと言います。このように、同じ桜でも感じる季節感は、地域やその年の暖かさによっても左右されるということは覚えておくと良いでしょう。
さて、卒業式に桜柄の着物は桜のシーズンに被るため避けた方が無難なのではと思われている方もいるかもしれません。主役の子供が桜柄の着物を着てしまうと、満開の桜の木の下で写真を撮った際に目立たなくなってしまうということが考えられ、可能であれば桜だけの柄が入った着物は避けた方が良いとされています。しかし、主役を引き立てる母親が桜の着物を着ることはなんら問題がないと考えられます。特に、枝葉がない桜の花だけの文様が入った着物は通年で装うことができるおめでたい柄の着物とされているので、卒業式というお祝いの席には季節感共々相応しい柄と言うことができます。
母親本人は満開の桜の中で着物姿があまり目立たなくなってしまうかもしれませんが、お祝いの気持ちを桜の柄に託して、子供の門出を祝福したいという想いで桜柄の着物を装うのであれば、とても素敵な思い出になることでしょう。
卒業式に装う礼装用の着物に合わせる帯は袋帯

卒業式や卒園式はフォーマルな場なので、袋帯を合わせるのがおすすめです。特に、礼装用の着物で出席するのであれば、帯も礼装用、すなわち袋帯を合わせ、きっちり二重太鼓で締めるのが望ましいです。
卒業式に装う袋帯は、やはり式典ということもあるので、金糸や銀糸が入っているフォーマルなものを選ぶのがおすすめです。しかし、結婚式に装うことができる華やかな袋帯はやや派手過ぎる場合があるので気を付けたいところです。袋帯選びで失敗したくないという方は、礼装用の着物に華を持たせつつも、上品さが演出できる格のある袋帯を選んでみて下さい。
卒業式で着た着物を入学式に着るのはダメ?
卒業式で着た着物を入学式にも着まわすのはどうなのか、気になっている方もいることでしょう。ここでは卒業式で着た着物を入学式に着て良いのか、また着まわす際のポイントについてまとめています。
卒業式で着た着物を入学式に着ても大丈夫
洋装で考えてみると、卒業式も入学式も同じスーツやワンピースで出席されるという方も多いようです。着物も卒業式と入学式で同じものを着まわすことはなんら問題ありません。同じ着物に同じ袋帯、同じ小物で揃えて出席するのも問題ありませんし、少しでも変化を付けたいというのであれば、合わせる帯や小物を変えて、雰囲気を違えてみるというのも素敵です。
着物姿は、合わせる帯や帯締めなどの小物を変えるだけでもかなり雰囲気が変わるので、同じ着物を着ていてもまったく印象が異なります。もし、同じ着物を着ると決めているのであれば、帯だけでも変えてみてはいかがでしょうか。
レンタルを利用して違う着物を楽しむ
そもそもそんなに着物自体持っていないという方で、せっかくならば入学式と卒業式では異なる着物を着たいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じ着物であっても、合わせる帯や小物で雰囲気は変えることができますが、着物そのものも変えたいというのであれば、思い切ってレンタルを頼ってみるのも良いのではないでしょうか。
近年の着物レンタルは実際に店舗に行かずともオンラインでレンタル契約できるものも増えてきています。特に、礼装用の着物の筆頭である訪問着などは種類も豊富に出ているので、着たことがない色目の着物にもチャレンジしてみることができます。着物をレンタルする場合は、帯などの小物も含めてレンタルできるケースがほとんどなので、こちらからあえてコーディネートを考える必要がないというのも有難い点なのではないでしょうか。
もし、着物は自分のものも着たいけれど帯がなくて困っているというのであれば、袋帯だけレンタルできるところもあるので、検索してみて下さい。

気を付けたい着物での振る舞い

着物を着慣れていないという方や着物姿をより美しく見せたいという方のために、着物を美しく着こなすポイントをまとめています。参考にしてみて下さい。
姿勢に注意
洋装和装問わず、姿勢には気を付けたいところですが、こと和服姿は姿勢が悪いのが目立ちやすいので気を付けましょう。背筋をしっかり伸ばし、立ち姿も、座り姿も凛と美しくすることで、より一層着物姿が素敵に見えます。また、卒業式などの式典では保護者席も写真を撮られることがあります。知らずに撮影された自分の写真に写っている姿が、くちゃんとしていると年齢よりも老けて見え、せっかくの着物姿も映えず、とても残念に思えてしまいます。いつ、どんな時に写真に撮られても良いよう、式典中は気を抜かず、しっかり背筋を伸ばし、姿勢に意識を持っておくと良いでしょう。
椅子にはもたれないよう注意
式典が長く、椅子に長時間座っているうちについつい椅子の背もたれにもたれたくなってしまうこともあるでしょう。
和装では特に背中に帯があるので、背もたれにもたれかかって帯に負担を掛けてしまうと、帯の着崩れ、型崩れが起きるだけではなく、最悪の場合大事な帯に破損が生じてしまうこともあるのです。
多少辛いと感じることはあるかもしれませんが、椅子の背もたれには深くもたれないよう、体重をかけてもたれないよう気を付けましょう。

足は開かないように注意
和装でも洋装でもそうですが、座る際には足は開かないようにするのが原則です。特に和装では、足を開いて座ってしまうと、裾が開いて脚が丸見えになってしまうこともあります。見た目にも美しくなく、むしろ下品と思われてしまうこともあるかもしれないので、普段足を開いて座る癖があるという方は、より一層注意してみて下さい。
裾が乱れず、足がきちんと閉じている状態は、着物姿としてとても美しいので、ぜひ実践してみて下さい。
肘をみせないよう注意
着物の袖口は洋服のようにすぼまっていません。そのため、手を上げるような動作をすると、どうしても袖がずるっと下に落ち、腕が丸出しになってしまいます。また、思いっきり手を上げると身八つ口が開いて、身八つ口の中が見えてしまうこともあるので注意が必要です。
着物を着て、手を上げたり、手を大きく振ったりする必要がある際には、肘を伸ばして手を大きく上げるという動作はまず慎みましょう。代わりに、肘は曲げたまま、手は頭の高さぐらいを目安に、手を上げる、手を振るといった動作をします。この時、袖口を逆の手で押さえ、肘が見えないようにすることで、上品さが出ます。肘、さらにはその上の二の腕が露わになるというのは、和装では残念な着方になってしまうので、「肘は見せない」ということを意識して、着物を装うと良いでしょう。
歩き方に注意

訪問着レンタル 雪輪重ね有職花文 白緑色 LOサイズ D475
着物を着ている時の歩き方は、洋服の時の歩き方とは違ったものになります。そもそも、裾がすぼまっている着物は大股で歩くことは想定されていません。そのため、小股で歩くのが着物を着た時の歩き方として良いとされていますが、細かすぎるコチョコチョ歩きはあまりおすすめできません。コチョコチョ小出しで歩く姿は、着物慣れしていない雰囲気が出てしまうので、気を付けてみましょう。着物を着た際の歩き方は、小股で、裾さばきよく、スッスッとテンポよく歩くのが望ましいです。どんな歩き方が良いのか分からないという方は、時代劇などの女優さんの歩き方を見て参考にしてみると良いでしょう。
足先(つま先同士)が開かないよう注意

着物の立ち姿、座り姿で意外と目立ってしまうのが、足先の様子です。洋装であれば、左右の足を平行に合わせる、つま先をやや外側に向けるといった感じがナチュラルで素敵ですが、和装の場合は逆になります。つま先は付け、かかとはやや離す、八の字型に足を並べるのが望ましいのです。こうすることで、足が開いて裾が乱れることも少なくなり、また、全体のまとまり感が出るのです。
ついつい、洋装のくせでつま先を外側に向けてしまうこともあるかもしれませんが、写真撮影の時、立っている時など、足先にも意識を向けてみると良いでしょう。
まとめ
卒業式に母親が参列する際、どんな着物を着るのが良いのかということについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
卒業式は式典ということで、礼装の着物を選んで装うのが良いでしょう。色柄は、主役の子供がかすまないよう、控えめな色目でかつ上品な華やかさがある着物が望ましいということを述べてきました。
合わせる帯は袋帯で格式高く装い、バッグなども派手過ぎず式典に相応しいものを選ぶと良いでしょう。
「卒業式に着物を着ようかな」、「卒業式には着物を着たい」といったことを少しでも思っているのであれば、その気持ちを大切に、ぜひ着物をお召しになってはいかがでしょうか。子供にとっても母親の着物姿というのは特別な感じがあって嬉しいものなので、ぜひ着物を選んで装ってみて下さいね。
