夏のお出かけに欠かせない浴衣のシーズンがやってきました。最近ではネットショップや量販店などで、数千円で帯や下駄まで揃う手頃なセット商品もたくさん販売されています。一方で、呉服店や百貨店に並ぶ数万円〜十万円以上の高価な浴衣も存在します。
一見同じ浴衣に見えて、両者にはどんな違いがあるのでしょうか?実は、浴衣の価格には、着心地や着姿の美しさを大きく左右する違いがあります。
この記事では、浴衣の価格による違いや素材ごとの違い、年齢やシーンに合わせた失敗しない選び方までを徹底解説します。実際に高価な浴衣を着て過ごした違いについてもご紹介します。
- 高い浴衣と安い浴衣の違いは何?価格の違いを決める3つの要素
- 【浴衣の価格ごとの違い①】生地・素材
- 【浴衣の価格ごとの違い②】染め方の違い
- 【浴衣の価格ごとの違い③】縫製・仕立ての違い
- 【高い浴衣を体験】実際に着ると何がどう違う?安い浴衣と高い浴衣を着比べ
- 【高い価格帯の浴衣を体験】ハリがあってしなやかな生地が着付けを助けてくれる
- 【高い価格帯の浴衣を体験】鏡を見て納得!着崩れにくさに大きな差、あり!
- 【高い価格帯の浴衣を体験】さらりとした肌触りと着心地で涼しさが格別!夏の不快を最小限に
- 【高い価格帯の浴衣を体験】総合的にお値段以上の優秀さ!使い勝手の良い夏の普段着レギュラーにぴったり
- ブランドの浴衣は何が違う?憧れ老舗メーカーの魅力
- 江戸の粋を受け継ぐ「竺仙(ちくせん)」でベーシックに伝統を着る
- 帯の老舗が手がける「誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)」で差のつく着こなしを
- 初心者必見!浴衣の失敗しない選び方
- 【浴衣の選び方】年齢や見せたい印象に合わせて素材を選ぶ
- 【浴衣の選び方】体型別に似合うデザインを知る
- 【浴衣の選び方】着用シーン・TPOで選ぶ
- 上質な浴衣の第一歩に!「京都きもの市場」のレンタルがおすすめ
高い浴衣と安い浴衣の違いは何?価格の違いを決める3つの要素
浴衣の価格帯は、数千円から十万円超えまで様々です。この大きな価格差を生み出しているのは、主に、生地(素材)、染め(染色技法)、縫製(仕立て)の3つの要素です。それぞれ具体的に何が違うのか、詳しく見ていきましょう。
【浴衣の価格ごとの違い①】生地・素材
浴衣の土台となる生地は、価格と着心地に直結する最も重要なポイントです。
安い価格帯の浴衣:代表的な素材は
手頃な価格帯の浴衣には、ポリエステルや薄手の綿(平織り)が使われていることが多いです。これらは生地自体が安価なのが最大の魅力。丈夫でお手入れもしやすいので、気軽に浴衣を取り入れたい人にぴったりの生地です。一方で、他の生地に比べると通気性や吸湿性が物足りず、真夏には蒸れやすく感じる場面もあるでしょう。
高い価格帯の浴衣:代表的な素材は
高価な浴衣は上質な天然素材が惜しみなく使われていることが多く、それが価格に影響していることが多いです。代表的な素材と、その違いを見てみましょう。
- 綿(コーマ、綿絽、綿紅梅など)
一口に綿と言っても、高価な浴衣は織り方が異なります。なめらかで肌触りの良い「コーマ地」、横糸に隙間を作って透け感と通気性を持たせた「綿絽(めんろ)」、太い糸を格子状に織り込んで生地に凹凸を作り、肌に張り付かないようにした「綿紅梅(めんこうばい)」など、涼しく快適に着るための工夫が凝らされています。 - 麻(小千谷縮など)
麻は天然繊維の中で最も涼しいと言われる素材です。特有のシャリ感があり、風通しが抜群。見た目にも涼やかで、夏着物にも使われる生地です。 - 綿麻(めんあさ)
吸水性の高い綿と、通気性の良い麻を織り交ぜた、いいとこ取りの素材です。適度なシャリ感とシワになりにくさを兼ね備え、大人の浴衣素材として非常に人気があります。 - 高機能ポリエステル(セオαなど)
素材メーカーが開発したセオαなどの、特殊なポリエステルのことです。一般的なポリエステルと違って吸水速乾性に優れ、さらりとした着心地です。シワにならず、自宅で洗えるため、ポリエステルの良い所を活かした便利な素材です。
【浴衣の価格ごとの違い②】染め方の違い
生地をどのように染めて色・柄つけをしているかも、価格を大きく分ける要因です。
安い価格帯の浴衣はインクジェットプリントなどの大量生産技法
安価な浴衣はたくさん生産してコストを抑えることがほとんどです。そのため、色・柄は機械を使って生地の表面にインクを吹き付けるプリント技術で表現しています。多色使いや華やかな柄も表現しやすく、色々な色柄のものを作ることができます。
しかし、布地の片面からしか染料が入らないため、生地の裏側が白っぽい色になるのも特徴のひとつ。生地の裏側は歩くと人にも見えてしまうので、「着姿が安っぽく見える」と避ける人もいます。
高い価格帯の浴衣は注染、有松絞りなどの伝統技法を用いる
高価な浴衣は、職人の手仕事による伝統的な技法で染められていることが多いです。中でも代表的なのが「注染(ちゅうせん)」です。特殊な糊で防染し、上から染料を注ぎ込んで生地の下まで染料を貫通させる技法です。そのため、糸の芯までしっかりと染まり、裏表が同じように美しい柄になります。他にも、生地を細かく縛って染める「有松絞り(ありまつしぼり)」などの絞り染めが有名です。
手作業ならではの絶妙なにじみやぼかしが、機械プリントには出せない奥深い味わいを生み出します。手作業の手間と時間をかけて作られるため値段は高価になってしまうのですが、立体感のある生地が肌に優しく寄り添い、過ごしやすい着心地をつくり出します。
【浴衣の価格ごとの違い③】縫製・仕立ての違い
見落とされがちですが、着用時のシルエットの美しさを決めるのは仕立て(縫製)です。ここにも浴衣の価格帯を分ける違いが隠れています。
安い価格帯の浴衣はオールミシン縫いの仕立てが主
大量生産される安価な浴衣は、すべてミシンで縫われていることがほとんどです。ミシン縫いは丈夫でスピーディーですが、縫い目が目立ってしまったり、直線的に縫い上げられた生地が硬くつっぱってしまい、体の丸みにフィットしにくくなりやすいです。
高い価格帯の浴衣は手縫い、または併用で仕立てられている
高価な浴衣や反物からお誂えする浴衣は、和裁士による手縫い、または強度が必要な部分だけミシンを使い、表に見える部分を手縫いにする併用仕立てが主流です。手縫いの着物は、表から縫い目が目立たないだけでなく、縫い糸の張りに適度な遊びがあるため、生地がしなやかに体のラインに寄り添います。手縫いで仕立てた浴衣が着崩れにくいのはそのためです。
【高い浴衣を体験】実際に着ると何がどう違う?安い浴衣と高い浴衣を着比べ
筆者が実際に高価な浴衣を着用してみました。いったい安価な浴衣とはどんな差があるのでしょうか?丸1日過ごして検証します。
なお、筆者が毎年着ている浴衣は量産品の3,000円~8,000円程度のもの。生地は平織りの綿とポリエステルの混紡で、プリントがされているミシン仕立てのものです。
今回着用した浴衣はこちらです。オンライン着物レンタルショップ「京都きもの市場」のものをお借りしました。
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【高い価格帯の浴衣を体験】ハリがあってしなやかな生地が着付けを助けてくれる
高価な浴衣を着用してまず感じたのは、着付けのしやすさ。
生地はしなやかかつハリのある手触りで、素朴な織物らしい風合いです。そのため、生地がスルスルとすべってしまうことがなく、狙った場所に腰ひもがピタッと留まってくれます。
生地の程よいハリが無駄なシワを作りにくく、おはしょりや脇もすっきり処理しやすいと感じました。生地が言うことを聞いてくれるような感覚で着付けができました。
これは、織物などの高価な浴衣ならではの生地感ゆえの特徴だと感じます。
【高い価格帯の浴衣を体験】鏡を見て納得!着崩れにくさに大きな差、あり!

また、着付けをしている最中で縫い方による違いは大きく感じるところはなかったものの、ピシッと着付けができたことや、前述したように着付けを楽にできたのは高価な浴衣ならではの良い仕立てのおかげだったのでは、と感じました。
それよりも感じたのは、着崩れのしにくさです。着用当日は色々な場所をめぐり、長時間歩き回ったり立ち座りを繰り返しました。それでもあまり着崩れを感じず、鏡を見ても乱れは最小限で済み、衿元も美しいままキープできたと感じています。
これは着付け時と同様、安価な浴衣に比べてすべりにくい生地感によるもの。一度留めた場所に布が留まってくれて、体の動きにひっぱられて崩れずに済んだためだと感じました。
さらりとした生地は裾さばきも良く、身軽に1日を過ごせました。
【高い価格帯の浴衣を体験】さらりとした肌触りと着心地で涼しさが格別!夏の不快を最小限に
最も違いを感じたのは、やはり着心地と涼しさ。着用日は5月初旬で全国的に晴れ渡り、少し歩くと汗ばむような夏日の日でした。
生地には織の地目が走っており、地目のスキマは空気穴のようで、見た目から空気を通してくれそうな印象があります。生地には少しのハリ感があるため、着付けに影響ない程度に肌に密着し過ぎるのを防いでくれます。
長時間の着用でも熱がこもらなかったのは天然素材と前述の生地感のおかげでしょう。かいた汗が逃げ場なくペタペタする感覚がないので、丸一日快適に過ごせました。毎年酷暑が続いているので、こういった少しのことがかなりの負担減になりますね。
【高い価格帯の浴衣を体験】総合的にお値段以上の優秀さ!使い勝手の良い夏の普段着レギュラーにぴったり
そもそも浴衣は、普段着の中でもカジュアルな位置づけ、かつ、お祭りや花火などの夏イベントに着るものと考えがちです。しかし高品質な生地・仕立ての浴衣であれば、お出かけ着のように日常のワードローブに加えることが可能です。
これは高価な浴衣ならではの楽しみ方。正絹の夏着物より気軽に着られるのも嬉しいところです。となると、逆に普段使いしやすい選択肢として、シーンを限定せず取り入れていきたいと感じました。
なお、今回レンタルしたものも、半衿や帯まわりの小物までフルセットになっており、パッと見は夏着物のような印象を与えるコーディネートで出かけることができました。
ブランドの浴衣は何が違う?憧れ老舗メーカーの魅力
高価な浴衣について調べていると、よく目にするのが有名老舗ブランドの名前です。長年着物通に愛され続ける、代表的な2つのブランドを紹介します。
江戸の粋を受け継ぐ「竺仙(ちくせん)」でベーシックに伝統を着る
天保13年(1842年)の創業以来、江戸の粋を現代に伝え続ける老舗「竺仙(ちくせん)」。竺仙の浴衣の最大の特徴は、熟練の職人が彫り上げた型紙を使い、昔ながらの注染技法で染め上げる伝統のものづくりです。白地や紺地をベースに、秋草、波、幾何学模様などを単色で染め抜いた柄行きは、決して派手ではありませんが、見る人を惹きつける品格があります。
流行に左右されないものが多いため、10年、20年と年齢を重ねても着続けられる一生ものの浴衣を見つけられるブランドです。
帯の老舗が手がける「誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)」で差のつく着こなしを
「誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)」は、京都・室町で約280年の歴史を持つ帯の老舗匠です。その魅力は伝統的かつ前衛的な世界観です。例えば、破れ格子、登り鯉、骸骨といった斬新でインパクトのあるモチーフを、高度な染色技術で描き出します。また、希少な天然素材を織り交ぜた独特のシャリ感を持つ生地を使うなど、少しのスパイスが美しい着姿を生み出します。
着物通にも、個性派にも愛される骨太なものづくりを楽しめます。ちょっと他の人とは差のつく着こなしをしたい方にぴったりのブランドです。
正統派、個性派、あらゆる素敵な浴衣があって迷ってしまいますよね。高価な浴衣は一度購入すると一生ものです。まずはレンタルでその魅力を体験してみるのもおすすめ。
初心者必見!浴衣の失敗しない選び方
高い浴衣と安い浴衣の違いがわかったところで、自分に合った失敗しない浴衣選びのポイントをご紹介します。
【浴衣の選び方】年齢や見せたい印象に合わせて素材を選ぶ
浴衣は年齢とともに似合う素材や色柄が変わっていきます。
- 10代〜20代前半
鮮やかな色使いや大柄の花柄が似合う年代。扱いやすく色柄が豊富なポリエステルや、お手頃な平織りの綿浴衣でも、若々しく可愛らしく着こなせます。帯もふわふわの兵児帯(へこおび)などで華やかにアレンジするのがおすすめです。 - 30代
少し落ち着いた大人の女性らしい色柄にシフトすると良いでしょう。安っぽく見えない綿絽や綿麻の素材、淡い色合いの古典柄などがおすすめです。小物で色遊びを取り入れて、可愛らしい雰囲気も残しておいてもいいですね。 - 40代〜50代以降
品のある上質な素材を使ったものがおすすめです。紺地や白地などシンプルな色合いや、絞り染めの浴衣が似合いやすい年代です。こっそり、帯に、献上柄の博多帯や麻の名古屋帯を合わせて、高級感を演出するのも大人の女性らしく素敵です。
【浴衣の選び方】体型別に似合うデザインを知る
浴衣は全身を覆う布なので、似合うものとそうでないものがはっきり分かれるという特徴があります。素敵な一着に出会えるよう、ご自身の特徴に沿って似合いやすい傾向を知っておきましょう。
- 背が高い方
背が高い方は大きめの柄が着負けずに映えるため、ディスプレイではちょっと派手かな、と感じたものもしっかり着こなせます。大胆な花柄やモダンなデザインを格好よく着こなすのがおすすめです。 - 背が低い方
小柄な方は、柄のモチーフが小さめのもの(小花柄など)がおすすめです。余白があるデザインを選ぶと、すっきりとした印象も同時に作れます。可憐な柄が似合う特権を活かしましょう。 - ふっくら・グラマーな方
縦のラインを意識した柄(縞や流れるような草花)を選ぶと、全体の印象がすっきりします。色は濃い地色(紺や黒)を取り入れると、より相乗効果できれいな着姿になるでしょう。思い切って大胆な柄選びをしてみるのもおすすめです。
【浴衣の選び方】着用シーン・TPOで選ぶ
浴衣は、意外にもアレンジ次第で色々なシーンで着ることができます。TPOに合わせた選び方を見てみましょう。
- 花火大会や夏祭り
暗闇の中でもパッと目を引く大柄や、少しコントラストの強い色合いがよく映えます。カジュアルに楽しみましょう。暑い時期に開催されることが多いので、快適さを追求するのも重要です。 - 日中の街歩きなど普段着
現在の慣習ではあまり気にし過ぎる必要はありませんが、本来浴衣は、白は夜着て、黒は昼間に着るものとされています。真っ白の浴衣ではなくクリーム色程度のものにする、などは年齢が上がるほど意識しておいてもいいかもしれません。なお、普段着にする場合は着こなしは気にせず、自由に楽しんで問題ないでしょう。 - ホテルでのお食事・観劇などのお出かけ
高級レストランや美術館など、冷房が効いた屋内にお出かけする場合は、カジュアルすぎる着こなしは浮いてしまうことも。そんな時は、浴衣の下に半衿(はんえり)を付けた長襦袢を着て、足袋を履く夏着物風の着こなしにトライしてみてもいいかもしれません。帯もお太鼓結びができる名古屋帯を合わせれば、上品なよそ行きスタイルが完成します。
しかし襦袢を着てもあくまで略装ではあります。注染や綿麻のような落ち着いた素材・柄選びをして落ち着いた組み合わせを心がけましょう。また、行き先がドレスコードのある場所ではないかチェックするのもお忘れなく。
上質な浴衣の第一歩に!「京都きもの市場」のレンタルがおすすめ
浴衣の値段には、着心地の良さや着姿の美しさを裏打ちする「素材」「染め」「仕立て」の確かな理由があることがおわかりいただけたでしょうか。
しかしいきなり高価なものを購入するのはハードルが高いですよね。まずは、プロが厳選した確かな品をレンタルで試してみてはいかがでしょうか。
京都きもの市場なら、数千円から1万円台というリーズナブルな価格でレンタルが可能です。着付けに必要な小物や、コーディネートされた帯もフルセットで届くため、準備の手間がかかりません。着用後のお手入れも不要なので、注文するだけで楽しめる気軽さが魅力です。
ぜひ、極上の一着を見つけて、涼やかで美しい夏の思い出を作りましょう!








