着物の「御召」や「お召」という言葉は聞いたことがあるけれど、小紋や紬と何が違うのか、疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。
お召は織りの着物の中で最高級とされる特別な生地で、歴史とも関係が深い由緒ある着物でもあります。とても着やすく実用性が高いのも特長です。
この記事では、お召が持つ歴史や魅力、どんな場面で着られるのか、コーディネートやお手入れまで解説します。自信を持ってお召をコーディネートに取り入れ、上質な着物ライフを楽しみましょう。
- 「お召(おめし)」とは?名前の由来と基本知識
- 「お召(おめし)」とは?
- お召しの歴史と名前の由来
- 他の着物と何が違う?お召ならではの3つの特徴
- お召は先染めの強撚糸(きょうねんし)
- お召独特の「シボ」と質感
- 耐久性と高級感
- お召の種類とデザインのバリエーション
- お召の格は?TPOは?初心者が迷う着用シーンのポイント
- お召は「織りの着物の中」で最高格!柄ゆきがポイント
- お召も普通の着物と同じ?シーン別着用法
- お召は男性の正装としても最適
- どこを見る?お召と他の着物、違いを見分けるポイント
- 染め?織り?お召の特長からチェック!
- お召は「シャリッと感」が魅力!手触りと見た目の違い
- 「小紋柄のお召」という表現
- お召の着物を長持ちさせる!メンテナンスと保管法
- 水に注意!お召のお手入れとクリーニング
- お召の保管の注意点
- お召はサイズ選びに注意?ポイント解説
- 着物通も愛すお召で高級感ある装いを
「お召(おめし)」とは?名前の由来と基本知識

「お召(おめし)」とは?
お召の正式名称は「御召縮緬(おめしちりめん)」と言います。ですが、製法としては一般的な縮緬とは別物です。以下のように違いがあります。
一般的な縮緬
染めの着物。白生地に後から色を載せる。
お召
織りの着物。糸を先に染めてから柄を織り、模様を生み出す。
お召しの歴史と名前の由来
その名前の由来は、江戸時代まで遡ります。江戸幕府の第11代将軍・徳川家斉が、この生地を非常に好み、日常着として愛用なさったことから、「お召しになる」が転じて「御召」と呼ばれるようになりました。将軍が愛した着物というエピソードからも、その品格の高さが伺えます。
現在では、京都の西陣で織られる「西陣御召」が代表的ですが、新潟県十日町市の「十日町お召」や、新潟県南魚沼市塩沢地方の「塩沢御召」など、各地で独自の風合いを持つお召が作られています。特に西陣御召は、徳川家との縁が深く、現在も高級な先染め織物として確固たる地位を築いています。
御召は、全国各地で生産されてきた歴史ある織物です。代表的なのは京都の西陣で織られる「西陣御召」と、群馬県桐生市で生産される「桐生御召」で、かつては「西の西陣、東の桐生」という言葉があったほどでした。
他にも、新潟県十日町市の「十日町御召」や、新潟県南魚沼市塩沢地方の「塩沢御召」など、各地で独自の風合いを持つお召が作られています。特に西陣御召は、徳川家との縁が深く、現在も高級な先染め織物として確固たる地位を築き、現在も日本を代表する御召として知られています。
他の着物と何が違う?お召ならではの3つの特徴
お召が他の着物と一線を画す理由は、その独特な製造工程と質感にあります。
お召は先染めの強撚糸(きょうねんし)
最大の特徴は、糸の段階で先に染めてから織り上げる先染めであること、そして強撚糸という強いねじりを加えた糸を使用していることです。通常の着物よりも糸を強くひねることで、生地にコシと弾力性が生まれます。
お召独特の「シボ」と質感
強撚糸を使って織り上げた後、お湯に通して揉み込むことで糸の撚りが戻ろうとし、生地の表面にシボと呼ばれる細かな凹凸が現れます。このシボがあるおかげで、肌に張り付かずシャリ感のある爽やかな着心地を楽しむことができます。また、この凹凸がクッションのような役割を果たし、シワになりにくいという大きなメリットを生んでいます。
耐久性と高級感
お召は非常に丈夫な生地です。裾さばきも良く、どんなシーンでも着こなしやすいのが魅力のひとつ。それでいて絹織物特有の穏やかな光沢があり、洗練された都会的な雰囲気が高級感の源です。紬のような素朴なカジュアル感とは異なる楽しみ方ができます。
お召の種類とデザインのバリエーション
お召はその柄の出し方によって、いくつかの種類に分けられます。代表的なものをご紹介します。
- 無地御召
その名の通り無地です。一色で織り上げられたもので、紋を入れれば略礼装として着ることもできます。男性用の着物によく使われるのも、この無地御召です。 - 縞御召・格子御召
縞(ストライプ)や格子(チェック)を織り出したもの。粋で都会的な印象を与え、普段着から上質な外出着として楽しめます。徳川家斉が好んだお召も縞お召とされ、大名縞、万筋、棒縞、子持ち縞などの種類があります。 - 紋御召(もんおめし)
地紋が配された無地御召を指します。地模様のように柄が浮かび上がるような表情になるため、着用時の光沢が美しいです。無地のように使え、帯次第で幅広い着用シーンで活躍します。紋御召の中にも絵御召(えおめし)、風通御召(ふうつうおめし)、縫い取り御召(ぬいとりおめし)などの種類が存在します。
お召の格は?TPOは?初心者が迷う着用シーンのポイント

初心者の方が最も迷いやすいのが格の問題です。染の着物も含めて、着物全体の中でどう扱うべきかを解説します。
お召は「織りの着物の中」で最高格!柄ゆきがポイント
通常ならば着物の世界では、染めの着物は格が高く、織りの着物はカジュアルというルールですね。しかし、お召はその例外にあたります。お召は織りの着物の中で最も格が高いとされており、合わせる帯や紋の有無によって、フォーマルからカジュアルまで幅広く着用できます。
つまり、お召の着用シーンは柄ゆきで判断しましょう。紋があれば略礼装、全体に柄があれば小紋としてカジュアルに着ます。ごく稀に付け下げや訪問着もあり、染の着物と同じようにフォーマルで着用することができます。
お召も普通の着物と同じ?シーン別着用法
例外の格ということで少し複雑ですが、だからこそ通っぽく着られるのがお召の面白いところでもあります。シーン別に着こなしを見てみましょう。
- フォーマル(礼装)
珍しいですが、絵羽模様になっているものもあります。訪問着として扱いましょう。 - セミフォーマル(略礼装)
一つ紋を入れた無地や、上品な柄の絵御召であれば、金銀糸の入った豪華な袋帯を合わせましょう。結婚披露宴などは友人や同僚であれば問題ありません。お茶会も格式によっては参加可能です。 - カジュアル
紋のない柄物のお召に名古屋帯や洒落袋帯を合わせれば、観劇、ホテルでの食事会、展覧会、街歩きなど、少し背筋を伸ばしたいお出かけに最適です。 - 茶道・お稽古
控えめな無地感のお召は、主張しすぎず上品なため、お茶席でも非常に重宝されます。
お召は男性の正装としても最適
男性にとっても、お召は欠かせない存在です。男性用の着物としては最高級の素材であり、お召の着物と羽織をセットにしたアンサンブルに袴を合わせれば、男性の一般的な礼装(第一正装に近い装い)となります。
どこを見る?お召と他の着物、違いを見分けるポイント
お召は特に小紋と見た目が似ており、初心者が混同しやすい着物でもあります。見分けるポイントを解説します。
染め?織り?お召の特長からチェック!
最も大きな違いは、柄の作り方です。小紋は白生地に後から色や柄を染める後染めですが、お召はあらかじめ染めた糸で柄を構成する先染めの織物です。柄ゆきに違いが出るため、見分けやすいポイントです。
お召は「シャリッと感」が魅力!手触りと見た目の違い
お召は強撚糸によるシャリシャリとした独特のコシと、表面のシボによって少しのざらつきを感じる手触りです。光にかざした時、お召には織り目による奥行きのある光沢が見られるので、チェックしてみましょう。
「小紋柄のお召」という表現
混乱を招くのがこの言葉です。これは「お召の技法(織り)を使って、小紋のような総柄を表現した着物」を指します。この場合、生地の性質はお召ですが、見た目の雰囲気は華やかな小紋に近くなります。
お召の着物を長持ちさせる!メンテナンスと保管法

お召は非常に優れた生地ですが、その特殊な構造ゆえに注意点もあります。
水に注意!お召のお手入れとクリーニング
着用後はまず着物ハンガーにかけて、数時間ほど陰干しをして湿気を飛ばしましょう。お召はシボがあるためホコリが溜まりやすくなっています。柔らかいブラシで優しくブラッシングしてください。
最も注意すべきは水です。強撚糸を使っているため、水に濡れると撚りが戻ろうと縮む性質があります。雨の日の着用には注意し、万が一汚れた場合は、自分で対処しようとせず、必ずお召の扱いを知っている着物専門店にクリーニングを依頼してください。
お召の保管の注意点
着物にとっての天敵であるカビは、湿気によって発生します。保管する際はしっかりたとう紙に包んで、通気性のよい場所に保管しましょう。タンスに乾燥剤を入れるだけでなく、定期的に虫干し(空気の入れ替え)を行うことで、お召特有のシャリ感がきれいに長く維持できます。
お召はサイズ選びに注意?ポイント解説
お召はシワになりにくい反面、一度深い折り目がつくと取れにくい性質もあります。また、その性質ゆえに中古で購入する場合も注意が必要。前述の縮みによって寸法が変わっていることがあります。必ず自分のサイズ(特に裄丈)を正確に測ってから選ぶことが大切です。
着物通も愛すお召で高級感ある装いを
お召は高級感がありながらシワになりにくく、着崩れしにくい優れものです。敷居が高いように感じるかもしれませんが、質の高いものこそ初心者の強い味方になってくれるもの。
独特のシャリ感と美しい光沢、スムーズな裾さばき。一度袖を通せば、将軍がなぜこの着物を愛したのか、その理由がきっとわかるはずです。
まずは、気軽にレンタルでお召の魅力を体験してみませんか?着物ライフをより豊かにする1枚に出会えるはずです。


